見出し画像

ごはんについて書くための習作42

昨日の夜中にInstagramのDMで「子連れなのですが、ご飯食べに行ってもいいですか?」という(意図の)問い合わせをした京都の飲食店から返事が来ていた。「いいですよ、いつ来ますか。ここはお酒と音楽を楽しむ場、それだけはお忘れなく。」という(意味合いの)返事。ありがたい、朝食を食べ終わった後、候補日を送った。

インターネットサービスと連携している銀行口座から妻が40,000円を引き出したことが即時通知される。

午前中、プロジェクトのSlackのDMで進行の上手くいかなさの話題と子供の話が入り混じる。「新学期になったって、人間、過去の積み重ねだぞと息子には伝えてあります。」などと書きながら、そっくりそのままフリーランスになって早9ヶ月が経った自分にブーメラン、ブーメラン。フリーブーメランス。
「集中しなさい」「よく噛みなさい」なんて息子に言いながら、自分は家族から見えないプライバシーフィルタのついたMacbookのモニタの方で、Twitterを眺め、Amazonで新しいリールを買い、チョコレートとチョコレート味のカスタードケーキを食べて午前中が終わった。この文章を書いている夕方16:00、ドーナツを3つ食べることはまだ予想できていない。

午前中の打ち合わせの間に妻と子供は友達と遊ぶために出掛けていったので、12時過ぎの宅配を受け取り、独り昼ごはんへ向かう。zoomの画面にミラーリングされた自分の様子を見て、昨日、終日ユニクロのパーカーで打ち合わせをしていたことを後悔していた。

幼稚園が春休みなので朝のバス停までの送り迎えがなく、昨日はまったく外に出なかった。昼ごはんの目的地を唐揚げの美味しい定食屋に定めたところで、今日は少し歩こうと、まっすぐ行った方が近いところを商店街を抜けて遠回りし始める。商店街の途中にある中華料理屋の前に来たところで、最近来ていなかったことを思い出し、入店してしまう。歩数も積み重ならず。

3度ほど来店して、やや味濃い目の設定なので「ワンタン麺」がちょうどよい塩梅だということを見出していたので、同じくらいのレベル感のメニューを探す。「ネギチャーハン」、これはよい塩梅だろう。「あんかけチャーハン」、これも少し濃い目にはなるが悪くないだろう。「チンジャオロースチャーハン」、あまりに茶色いチャーハンが目に留まる。たいして歩いてもいないのに、チャーハンの中でもナンバーワン濃いメニューを注文してしまった。

運ばれてくるまでタナカカツキさんの『サ道』を読む。外に本を持ち出すときは食事の机が煩くならないようカバーを外してシンプルな状態で持ち出すのだが、カバーを外すとサイケデリックなイラストが描かれていてカバー外せず。比べるものではないが柳田國男の『婚姻の話』の100倍読みやすい。「チンジャオロースチャーハン」がくるまでに半分以上読み終わった。

「チンジャオロースチャーハン」、チンジャオロース混ぜご飯と呼んでも差し支えない混ざり具合。茶色く染まったご飯、きっと柔らかいのだろうと思いながら噛み締めると、想像の100倍噛みごたえがある。これはチャーハンである。そして甘い。添えられたスープはおそらくラーメンと同じスープだろう。れんげでスープを掬って9割ほど飲み、1割残った状態で気付かれないようそっとチャーハンに掛けつつ食べる。「チンジャオローススープチャーハン」。

前職ではチャーハンをよく食べていたことを思い出す。日比谷駅近くにあった「慶楽」のスープ炒飯、東銀座の「ほっかい」の鶏チャーハン。どちらも私が会社を辞める前に閉店してしまった。どちらも何十年もそこにあったのに、それに比べたら短い私の在職期間中に無くなるなんて運が悪かったなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?