見出し画像

街はずれの小さな飲み屋さんにて

「あれ? こんなとこにお店なかったよね?」

偶然見つけた小さな飲み屋さん。ガラス張りの明るい店内。カウンター席があいていたので入ってみた。靴を脱いで上がる小あがりには若いお客さんたち。

オーナーもスタッフさんも若い。なのに、出てくる料理は、とてもしっかりしていることに驚いた。チンしてホイのなんちゃって居酒屋ではなかった。

後で聞いたところによると、中学を卒業して大阪で修業をしてきたらしい。コロナ真っ最中の9月にオープンしたという。

その店は、以前は飲食店ではなかったはず。観光客が訪れる場所ではない。店内のあちらこちらに、手作りならではの工夫がみられる。

学歴を積み重ねても人間は、AIの世話係になりかねない今の時代、より早く、自分のやりたいことに着手するほうが正解なのかもしれない。

行き届いた接客と、丁寧に作られた料理。板さんの家族(奥さんと小さな子供たち)も出入りする、とても小さな店は、家庭的な雰囲気に満ち溢れ、客側も微笑まずにはいられない。

幼いころは、将来の希望は「パン屋さん」とか「美容師さん」、「学校の先生」、「音楽家」「スポーツ選手」「博士」など、それぞれの夢を無邪気に語っただろうに、いつしか、お受験と塾に追い込まれ、良い大学・良い仕事=良い人生となる。

人生には「イフ」がいっぱいあるけれど、どう生きるかの小さな選択を重ねて今があり、そして明日となる。