2022/12/03 学歴の暴力えもりえもさん卒業

2022/12/03 学歴の暴力えもりえもさん卒業ライブにいってきた。
ファン歴の浅い自分からみてもえもりさんが学歴の暴力の支柱的存在だったことは明らかで、えもりさんが抜け、新メンバーが入り(?)、「旧帝ハニー」に改称するこのグループの活動が良くも悪くもこれまでとは変わった形になるのは間違いないだろう。
せっかくの記念なので、えもりえもさんと、その卒業公演にて感じたことを以下に記しておこうと思う(えもりさん卒業時点では改称前なので、以下「学歴の暴力」もしくは「がくぼ」で統一)。

えもりえもさんについて

えもりえもさんのイメージとして多くのファンが抱いているイメージは「おもしろ京大卒」ではないだろうか。キレと勢いのある文章、毒がありつつも過度に他人を貶める訳でもなく、それでいて過度な自虐に走る訳でもない、狂気と賢さの絶妙なバランス感覚は奇人変人が集う京大のイメージを良い意味で代表していたと感じる。
一方でもしかしたら「おもしろ京大卒」としての完成度の高さがえもりさんの弱点だったかもしれない。完成度の高さ故にその枠にはまりすぎていたようにも思える。個人的にいえば、私の職場にも(一部社員の間でカルト的人気を誇る)京大卒の社員がおり、ある意味では「おもしろ京大卒」成分はその人から摂取することはできた。そういった意味では、面白さは評価するものの、一定以上の興味を持てずにいた所だった。


そんな自分にとって転機となったのは11/19のフムフムニュースだった。

「なんかヲタクもアイドルも珍獣がいっぱいいて観察してると面白いからアイドルやってる」という身も蓋もないことを、職業特有のオブラートに包んで文章を作成することができる能力により、誰も傷つけない形になっているのがこの記事だ。
私はこの観点がとても好きで、というのも自分もアイドルヲタクをしている楽しみのウェイトはそこがかなり大きく(最近こそ良くも悪くもガチ感を出してしまっているが…今はいったん置いておく)、同じような観点でアイドルをやっている人がいるというのがとてもうれしくなった。この記事を読んで一気にえもりさんの事を好きになった。

といってもこの記事が世の中に出てからがくぼのライブは卒業までたったの2回。その後は積極的にえもりさんと物販で話す様になったが、それでも自分が物販にいけたのは出会ってからの合計で結局4,5回程度だったと思う。
おそらく仲の良さ閾値が一定を超えると加速度的に会話が楽しくなっていくタイプだなと思ったので、ほんと好きになるの遅すぎた。

少し時系列が逆になるが、自分はえもりさんが卒業を決めた理由も好きだった。以下は11/5のがくぼ初ワンマン直後の本人コメントの抜粋だ。

そんな大切な場所を離れる決断をした理由は「そろそろ、 潮時だから」です。 本当はもう少し早く卒業する予定だったのですが、 学歴の暴力の居心地が良くて、居座ってしまいました。

しかし、そろそろ潮時です。 全ての物事において、 「タイミング」は重要な要素です。見計らうことは難しいですが、 私はここを 「潮時」 としたいと思います。

学歴の暴力 公式Twitterアカウント投稿【学歴の暴力より お知らせ】 えもりえもコメント

人によっては淡泊というか味気ないというか、そういう印象を持つ人もいるかもしれない。
でも、趣味でやっているアイドル活動だからこそ、楽しく活動できている内に綺麗にやめるのはとても大切なことだと思う。もちろん本人的には色々考えて決めた決断なのだとは思うが、そこを見せずに淡々と語るところがえもりさんらしくて素晴らしいと思った。
卒業は寂しいけど、逆説的に言えばこのタイミングでスパっとやめる人だからこそ信頼できるなとも感じた。

卒業ライブについて

卒業ライブの会場だった栄シアターZONEは自分にとってはじめての会場だった。なんとなく後ろの方が逆に混みそうだなという予感があり、適度に前に行った方が逆に快適だろうと思い3列目くらいに陣取ったら割とその予感はあたっていたかと思う。

ライブはとても楽しかった。がくぼのメンバーは「MCやショートコント、物販が本番でライブはおまけ」と自虐的にいうがすごくもったいないと思う。頭の回転の良さ故に他のアイドルと比べてそれらが魅力的なため、相対的に見れば…という話はあるかもしれないが、自分はがくぼのライブはメンバーみんな楽しそうでとても好き。
こういった特別なライブって妙に気合が入ってしまう場合が多く、そこは良い意味で普段通りのライブがみたいなって思う事が多々あるのだが、今回は特別肩に力がはいっている訳でもなく、単純に観客が多くて盛り上がる、そんな良いライブだったように思う。

誤算だったのはなつぴなつさんからえもりさんへの「送辞」だった。

この「助けたいです。助けられる自信があります。」という言葉を聞いた時、自分でもびっくりするような感情がこみあげてきてもらい泣きしてしまった。人前なのでそこまで泣かなかったが、このライブDVDが販売されていたら部屋で一人で見て号泣してると思う。

何の記事でみたかは忘れてしまったが、なつぴなつさんが「生きるためにアイドルをやっている」と書いていたことがすごく記憶に残っている。
アイドルが楽しいという気持ちは(それが「地下」であっても)自分にも少しわかる。かなりレベルの低い例えで申し訳ないが、自分がかつてヲタク友達とカラオケにいったとき、妙なテンションになったヲタクがMIXをいれ、私の名前をコールし、(気持ち悪い)笑顔でケチャされながら歌った時に、「笑い」とは別次元の高揚感をかすかに感じたことを覚えている。ヲタク仲間とのじゃれあいでさえそうなのだから、本気で愛を向けてくれるヲタクの前で歌って踊るのは楽しくない訳がない。とはいえ、それが「生きるためにやっている」とまでいうのは少し自分の理解を超えていた。

「学歴の暴力」というアイドルは、テレビとかでよくみる「高学歴なのに〇〇やっちゃってます笑」という高学歴をフックにするスタンスではなく、「高学歴女子の苦悩を歌います、高学歴ビームをだします、高学歴ならではのおもしろトークをします」と、高学歴を真正面から武器にしたアイドルだ。謙遜して「一応〇大です笑」なんて言わなくていい。なぜなら学歴は暴力なのだから。
この明確で分かりやすいコンセプトの提示と、「助けられる自信があります。」という言葉の力強さ。それらを裏付けるえもりえもという人間の圧倒的な説得力。そんな彼女とアイドルができること、それこそがなつぴなつさんにとって「救済」であり、「生きるためにアイドルをやっている」という事につながっているのではないか。泣きながら手紙を読んでいるなつぴなつさんを見てその気持ちが少し分かったような気がした。

…これらは全て私の想像だし、より正確に言えば後から考えた「自分の感情が揺れ動いた理由は多分これだろう」だ。この解釈が正しいかはわからないし、なつぴさんやえもりさんに「答え」を聞くつもりはもちろんない。というか多分違うだろう。人前で泣きながら発露するような大切な感情を、他人が分かることなんてできるはずがない。
少し変な事をいうが、この「分からない」という感情を自分はとても大切にしている。人の気持ちを勝手に分かったつもりになることほど無神経なことはない。それでも分からないながらに何か分かったような気がする。そんな瞬間が自分は大好きだ。

1つ言えるのは、このアイドルとアイドルの美しい物語に対して、ヲタクが入り込む隙なんて1ミリもないということだ。
私はこの時点で物販にいって会話することができなくなってしまった。「卒業おめでとう!これまでありがとう!」の一言だけしか言う時間がないなら逆に良いが、幸か不幸か地下アイドルの物販時間は長い。何か気の利いたことを言おうとしてしまい安っぽくなってしまうか、逆にくだらない話を「あえて」振ってしまい後悔するかの二択になることが目に見えている。
念のため書いておくと、別にアイドルの想い出を汚したくないだなんて大それたことは考えていない。ほかならぬ自分自身の想い出が汚れてしまうことが何より嫌だった。
※更に念の為書くと、自分の行動が「正しい」とは思っていない。入場無料である以上物販の収入は生命線だ。なんか我ながらまるで高尚なことをしているかのように記載しているが、ちゃんと物販に行ってお金を落とすヲタクが100%正しい。

できるだけはやく一人になりたかった。自分は「会場の一体感」なんてものはクソッタレだと思っている。自分の大切な感情を、他のヲタクとシンクロさせたくない。
ヲタクのアンコールが聞こえる。正直にいえばヲタクのアンコールは無機質であってほしい。アンコールの時点で会場にいることが耐えられなくなり、会場を出ようとしたところ、メンバーが思ったよりはやく出てきた。ほぼ最後列で一応見届けた後、そそくさと会場をでた。
会場近くの池田公園で2,3時間くらいコンビニで買った安酒を煽りながら感傷にひたって以降の記憶は断片的だ。大須のラーメン屋に行った後栄のカラオケに1時間ほど入り、名駅のカスカードでエッグロールを買い、新幹線で東京にもどった。家についたら鍵を紛失していた(鍵は本日まで見つかっていない。)。

おわりに

自分は学歴の暴力を初めて見てから4カ月弱、本格的に見始めてから1カ月程度の「新参」だ。ヲタク歴が長ければ偉いという訳ではないとは思うが、過ごした時間の長さが思いの強さに比例するのはアイドルヲタク趣味に限らずだろう。
今の時期がある意味一番熱量が高い時期であることも確かだが、それでも自分の歴の浅さからして、更に言えば推しでもないメンバーに対して、なぜここまで心が動いたのか自分でも未だに納得がいっていない。「それだけ素晴らしいアイドルだから」と結論づけるのはあまりに安易で彼女たちに逆に失礼だろう。

ある意味で、今回noteを書くことで何か見えてくるものがあるかもしれないという思いで書き始めたが、結果5,000文字弱の長文になったことに自分でも驚いている。
そういえば自分はアイドルについて小難しいことを考えてダラダラ書き連ねるのが昔は好きだったが、少なくとも10年はこんなことをしていないと思う。
人生の半分以上が「己がアイドルヲタクである」と認識している期間であるくらいには長くアイドルヲタクをやっているが、あまりヲタクを楽しむ才能があるタイプではないと自身を評価している。
結果として「つかず離れずの位置から少し斜に構えたスタンスで楽しむ」というのがここ数年ヲタク活動をする際の最適解になっていたし、それはそれでもちろん楽しいけど、本当は本気で向き合えるアイドルに出会いたいとずっと願っていたように思う。
学歴の暴力に出会ってから、先月急遽ソロ出演になったあずきさんのライブでは猛烈に最前で見たいという感情に襲われたし(この事自体は機会があればいつか)、今はこうして自分の熱量を文章にして表現したいという感情にあふれている。
ある意味では、自分がなりたかったアイドルヲタクの姿を実現できている気がする。少し大げさに言えば、自分もなつぴさんえもりさんあずきさん同様に学歴の暴力に「救済」されているのかもしれないし、それがあの時感じた感情の答えなのかもしれない。

えもりえもさんが作り上げた学歴の暴力(旧帝ハニー)をこれからも最大限に楽しむことが彼女に対する最大の讃辞かもしれない。そんな気持ちを胸に、これからもしばらくはヲタクを楽しみたい。


小難しいことを書き連ねてきたが、最後にストレートな感情を言葉にすると、改めてえもりさんの卒業はやっぱりとても寂しい。もっといろんな話がしたかった。「昔付き合ってた相手が脱税してた」みたいなえもりさん相手にしかできなさそうなTHEくだらない話めっちゃしたかったな。ないとは思うけど、いつかまたそんな機会があれば。






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