うたかた女学生

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穴を塞いで、ネイビーブルー

学校に向かう途中、意識すればするほどたくさんの紫陽花が咲いていることに気づいて自然と足取りが軽くなる。紫陽花って、土壌のphが酸性だと青系、アルカリ性だと赤系、中性だと紫系になるんだって。これ知ると、あじさいの漢字が「紫陽花」なのがなんかすごいいいなあって思うのよね、何がいいのかわかんないけど。 「何がいいのかわかんないけどなんかいい」これを生涯大事にしていきたいと思っていて、逆に全ての事象に理由や意味を求めてくる人とは相容れないなあと思う。例えば映画、本、絵画、音楽の感想

    • トラサレーヌ

      人と出会い別れるたびに愛とはなんだろうかと考える。 人の数だけ愛があるとしたら、恋愛工学なんて鼻で笑うほど意味がない。いつだってわたしたちは愛の形を、色を、神経細胞の火花を散らして追いかけている。 愛という領域は予測不可能で、正しさや清らかさには到底たどり着けない場所にあるのでしょう。どれだけ汚いものだとして、不誠実なものだとして、非道徳的だとして、それが愛なら全て美しいのでしょう。 愛は第三者によって断罪されていいものではないし、かと言って許されて良いものでもない。愛

      • 読書なんてしょーもない

        今日もいつも通り、オンライン授業を受けて、本屋に行き、フラフラ帰路につき、途中、カフェを通りかかった時目に入ったガパオライスを家についてから作って、今は湯船に浸かっている。日記をサボっていたので何か書こうとして、ふと本屋のことを思い出した。よく行く本屋に足を踏み入れ前から読んでみたかった綿矢りさの小説を探す。いろんな幸せがあるわたしの人生の中に、「本を探す」というのがある。本命の小説を探している途中に目に入った全く買う予定がなかった一冊の本と、お目当てのもう一冊を抱えてレジに

        • カタラまた会う日まで

          なんの前触れもなく、「あ、消えたい」と思うことがある。それは「死にたい」とはむしろ対極にあって、このままなにもかも放棄してパァっとこの世からわたしの肉体がきえたなら、精神はどこに浮遊するのでしょうか、という疑問がわたしの体内で恒常的に発生しているからなのだとおもう。わたしたちは桜の花びらのように美しく散ることはできないから、死んでからも一生汚い自分の肉体が残り続けるから、そのやるせなさで「消えたい」と祈り続けるのだろう。 祈り、「消えたい」が祈りなら、「死にたい」は呪いでし

        穴を塞いで、ネイビーブルー

          紫陽花をウイスキーで割りましょう

          「紫陽花みたいな女の子だね」 高校生の時、隣のクラスのちょっとませた男子生徒に口説き文句で言われた言葉だ。放課後、夕焼けを背負った渡り廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。「いっつも寂しそうだけど、なんで?」「はい?」パッと見て、顔と名前が一致しないので、話したことがない人だ。「なんかあったんですか?見るたびに寂しそうだから気になって」「別にないですが」いきなりおかしなことを聞いてくる人だな、もただそれだけ思った。「ごめんごめん、ずっと気になってたんだよね。あ、インス

          紫陽花をウイスキーで割りましょう

          お腹いっぱい豊かな堕落

          あなたにとって生きるとはどういうことですか?と小学生の道徳の授業で問われたことがある。人の助けになること、人と関わり合うこと。ひとりひとりが席を立って発表する。私の番まであと何人?ああどうしようなんて答えよう、なんて冷や汗を握りつぶしながら下を向いていると、あっという間に隣で椅子から立ち上がる音が聞こえた。クラスの中でも大人っぽい、女子から人気の男の子だ。「効率的に生産的に物事をこなして成功すること」こんなに真っ直ぐ声を放つことができる人っているんだなあ、とそれだけ思った。数

          お腹いっぱい豊かな堕落

          オーシャン・フロント

          電波が無くなったらそこがわたしたちのオーシャンフロントだよ、ときゃらきゃら笑う。 男の子たちはいつも戸惑っていて、わたしはなんであなたが戸惑うのかわからない、という顔でひとりはしゃいでいた。そうね、せっかく海が見える部屋を選んでくれたのに、こんなおかしな女を連れてきてしまったこと後悔してる?後悔してほしい。部屋に入った途端電波が弱くなったのも、あなたの目線が緩んだのも、ひたすら波に耳を傾けたって、一向にさざめきが聞こえないことも。全部後悔してください。 あの女と出会ったのが

          オーシャン・フロント

          閃光

          汽水域で魚が淡水か海水かを嗅ぎ分けるように、絶妙な語感や音の響きに体を委ねては削りあげる。 常識を疑ってばかりいた中学の頃のわたしには、歌っているときしか上手に息ができなかったので、家にいる時はもちろん、学校でもずっと歌っていた。授業中にどうしても我慢できなくなって、先生にはお腹が痛いと嘘をついて屋上に行き、一人で花火をしながら歌うという、今思えば最上級に痛い少女だった。そんな少女時代の日記にこう書いてある 花火をしながら歌っているわたしは誰かの芸術になれるだろうか。

          色水の夢に救いなんていらない

          綺麗な花をすりつぶして色水をつくっていました。出来上がった色水は、それはそれは透き通っていて綺麗で、幼い私の心を鷲掴みにして離さなかったのです。じょうごをつたってペットボトルに流れ落ちていきます、キラキラ太陽の光を反射して。時折見える細かい花の繊維が愛おしく感じたその時でした、私の髪を柔らかな風がさらい、私はどうしようもない恐怖に一人立ちすくんでしまったのです。 彩りがない生活を送っていると、悪い夢を見るようになる。私が愛してやまない文化は「不要不急」とみなされてしまうらし

          色水の夢に救いなんていらない