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役者から考えてみる映画と演劇の違い7つのポイント

昨日こんなことをまとめてみたんですが、

じゃあそのなかで、役者にとってはどうなのかって話も整理してみます。ざっくり分けて7つのポイントで比較してみました。

▼映像演技と舞台演技の比較表7

映像演技と舞台演技の違い

①芝居

まずは「画角の違い」です。次々とカットが切り替わる稼働するカメラ視点である映像演技と、観る人によって注目する角度が異なる固定された客席視点である舞台演技の違いです。

前者は良くも悪くも撮影・照明・音声で編集することが可能です。(各部のプロのみなさん様々です!)ただ寄りの画が中心となるので、表情や目の動きの機微が求められるため、繊細で緻密な演技力が必要です。

後者は言わずもがな”生”なので一発勝負です。今でこそ映画でもワンカット撮影が流行っていますが、舞台上にいるうちはいつ何時もあらゆる角度から観られているという緊張感があります。よって身体全体の動きや佇まいが重要となり、大胆で遠くの観客まで伝わる表現力が求められます。

②準備

次に本番に至るまでの準備段階です。映像は、基本それぞれがセリフを入れ演技プランを考えたうえで現場に持ち寄り、その場でセッションする瞬発力が求められます。

反対に舞台は、ある程度まとまった期間を出演者と演出家全員で稽古を積み重ね一緒に作り上げていくことになります。それゆえ個々の力も必要ですが、同時に協調性と周りを巻き込んでいくリーダーシップも求められます。

③本番

そして真価が問われる本番。映像においては、徹底的にアングルとカット割りを撮影部が組み立て、それに合わせて俳優部がコマ切れのシーンをつなぎ合わせながらつくっていきます。待ち時間も仕事だったりするので、気持ちを途切らせないコントロールが必要です。

舞台においては、一度開幕したらノンストップで繰り広げられるため、カーテンコールまで息もつかせず没頭し、その時間役として生き続け常に周りを受け続けることが大切になってきます。これは稽古とも合わせて、芝居に対する濃密度がまったく異なるので、演技力を高めるためには舞台を経験するのが重要だと言われます。

④時間

映画は(作品にもよりますが)企画から公開まで何年もかけて製作されることがしばしばあります。実際の撮影という意味でも数ヶ月に渡り、いわゆる本番を細かく積み上げていくことになります。

反対に舞台は、稽古期間が長いケースもありますが、基本は短期間にガッと集中してつくり上げ、公演期間を駆け抜ける性質があります。

⑤場所

今回コロナ禍の自粛StayHome期間を経て、リモート撮影が多く行われていますが、改めて映像の持つポータビリティの利点が活かされ、関係者がいつどこにいようがある程度のものをつくり上げていけることが証明されました。

リモート演劇なるものもたくさん挑戦されていますが、やはり劇場というリアルの場で、役者と観客が面と向かって同じ空間と時間を共有することではじめて完成する演劇という世界観は、オンラインではなかなか難しいなというのが率直な印象です。

ただ、映像と演劇それぞれの特長を活かし掛け合わせた、新しいエンタメコンテンツの可能性も見えてきたのではと感じています。(それをライブシネマ」と読んで挑戦している集団も現れています)

⑥座組み

これは前述の準備〜稽古、時間と場所の関係にひもづきますが、映画は都度作品ごとに集まっては解散するプロジェクト的で、演劇は劇団という形態が物語っていますが会社的な側面がある気がしています。

⑦主体

最後にこれは賛否両論ありそうですが…それぞれの作品においてどの要素が色濃く出るかという視点では、映画は監督のもので、演劇は役者のものと言われる所以だと思います。(いや、もちろん関わった全員のものなんですよ!大前提として)

ってぼくが言ってたわけではなく、最近見たこちらで平田オリザさんと本広監督もそんなようなことを話していましたからね!笑


…と数多くなりましたが、もちろんどっちが良いとか悪いとかの問題ではなく、好みでもあるし、それぞれに面白さが違います。どちらも食わず嫌いせず楽しんで、これからのwithコロナな新しい時代、そのシナジーにも期待したいところです。

とにもかくにも、偉そうにまとめているぼく自身がまだまだ経験浅すぎるので、いろいろ芸歴積まれている方のご意見も聞いてみたいですね!

以上、本日もご来場いただきありがとうございました!

与え合いの恩贈りで巡る世の中になったらいいな。 だれでも好きなこと、ちょっと得意な自分にできることで、だれかのためになれて、それが仕事にもできたら、そんな素敵なことはないですね。 ぼくの活動が少しでも、あなたの人生のエネルギーになれましたらうれしいです。