舞踏とキャバレー:貴重な証人たちが語る知られざる歴史の詳細-序

土方巽の弟子たちが、金塗りでキャバレー廻りをしていたことはよく知られています。
しかし土方が7軒とも8軒とも言われるキャバレーを自ら経営していた事実は余り知られていません。
土方の店では何が行われていたのか?
キャバレーと舞台公演はどんな関係にあったのか?
こうしたことを証言していただく機会を設けました。
(2016年4月2日 横浜市野毛地区センター会議室にて収録)
*このイベントは土方巽が横浜の黄金町に住んでいたことに因んだアートプロジェクト「土方巽 1960 しずかな家 II」のなかのプログラムのひとつです。

登壇者プロフィール(敬称略)

大野慶人(おおの よしと)
1938年東京に生まれる。1959年土方巽の「禁色」で少年役を演ずる。60年代の暗黒舞踏派公演に参画。69年初リサイタル後に舞台活動を中断、85年「死海」で大野一雄と共演、カムバックした。86年以降大野一雄の全作品を演出。
近作にヴッパタール舞踊団ダンサーとの共演「たしかな朝」(2010)、音楽家アントニーとの「Antony & Ohnos」(2010)。ソロ作品「花と鳥」(2013)はヨーロッパ(2014)、ブラジル(2015)を巡演。
http://www.kazuoohnodancestudio.com/
 
小林嵯峨(こばやし さが)
1969年土方巽に師事。75年まで土方巽燔犠大踏鑑に在籍。その間の全ての土方作品に芦川羊子、玉野黄市らと共に主力メンバーとして出演。。伝説的舞台「四季のための二十七晩」「静かな家」においても全編にわたり出演。
75年独立し「彗星倶楽部」を結成。83年土方巽作品「日本の乳房」で欧州六カ国を巡演。87年よりソロ活動開始。96年「サンフランシスコ舞踏フェスティバル」、2003年フィンランド「Anty festival」参加、同年川崎市岡本太郎美術館主催「舞踏家土方巽抄」に参加。 1995年より舞踏カンパニー“NOSURI”主宰。
http://kobayashi-saga.sub.jp/index.html

田野日出子(たの ひでこ)
モダンダンサー。土方巽の死後、土方のキャバレー「将軍」で振付を担当する。「白州 夏のフェスティバル」への参加のほか、舞踏家とのコラボレーション経験を持ち、モダンダンスの枠に囚われない活動を展開。
1966年三条万里子に師事。69年〜73年ニューヨークに舞踊留学。マーサー・グラハム・スクール、ジョフリー・バレエスクールにて学ぶ。 帰国後、公演活動、振付、後輩の指導にあたる。 80年ボディ・カルチュアセンター設立。
http://hidekotano.jimdo.com/

川本裕子(かわもと ゆうこ)
1991年より和栗由紀夫に師事。土方巽直系のメソッドを学ぶ。「和栗由紀夫+好善社」で主な作品に出演。2000年 女性3人の舞踏ユニット「東雲舞踏」を立ち上げ独立。07年より単独で「東雲舞踏」を引継ぎ、創作活動や舞踏の普及活動などに力を入れている。
「ど」(05年東京、ロンドン、パリ、グダンスク)「ハルノ唄」(07年東京、仙台、バンコク、KL)「星屑のぴかル森」(12年東京、KL、“月間ベストダンサー”に選ばれる)「The Garden Monkey」(13年マカオ、西安)「イワヲカム」(14年 東京、西安、香港 “月間ベストダンサー”に選ばれる)
近年はAsia Butoh Tree Projectで、東アジアを中心に公演、レクチャー、WS、振付などを行い、舞踏の芽を撒いている。ケント大学、英国ロイヤル・オペラハウス、特別講師。

武藤大祐(むとう だいすけ)
1975年生まれ。ダンス批評家。群馬県立女子大学文学部准教授(美学・ダンス史・理論)。最近は近現代アジア舞踊史、およびメッシュワーク振付理論(自前)。共著『バレエとダンスの歴史――欧米劇場舞踊史』(平凡社 2012)、『Choreography and Corporeality』(Palgrave 2016)。

檀原照和(だんばら てるかず)
1970年生まれ。ノンフィクション作家。舞台活動を経て執筆活動を始める。単著に『ヴードゥー大全』(夏目書房 2006年)、『消えた横浜娼婦たち』(データハウス 2009年)。共著『太平洋戦争―封印された闇の史実』(ミリオン出版 2015年)。1992年から黄金町の移り変わりを見続けている。

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