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「ヨコハマメリー学」への誘(いざな)い

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2018年12月12日発売の『白い孤影 ヨコハマメリー』(ちくま文庫)をより深く読み解く上でのヒントをまとめてみました。 宮崎駿の映画『風の谷のナウシカ』を論じた『ナウシカ論』… もっと読む
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2020年1月の記事一覧

横浜で謎の「ホームレス歌人」を追った本と引き比べてみる

『白い孤影』を書く際に、念頭に置いた本が2冊ある。 ひとつはあとがきに書いた塩野七生さんの『サロメの乳母の話』。 もうひとつは新潮ドキュメント賞の候補作にもなった、三山喬さんの『ホームレス歌人のいた冬』である。 『ホームレス歌人のいた冬』は、横浜の寿町を舞台にしたノンフィクション作品だ。素性も正体も知れないホームレス歌人・公田耕一を追う物語である。 読者は著者が公田の謎を解いてくれるものと期待して読み進める。しかし同書は二重構造になっており、リーマンショックで「年越し