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日本ロボット学会学術講演会オープンフォーラム OF5:ムーンショット型研究で目指すAIロボット(2022年9月9日)

はじめに

ムーンショット目標3「自ら学習・行動し人と共生するAIロボット」の進捗状況報告会
ご挨拶の名大の福田敏男プロジェクトマネージャーが最初に概要の説明を始め、予定の5分を大幅に超過して始まった。

プログラム

OF5:ムーンショット型研究で目指すAIロボット
主催 国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)

  1. オーガナイザー 菅野重樹(早稲田大学),永谷圭司(東京大学),原田香奈子(東京大学),平田泰久(東北大学)

  2. 時間帯 10:00-12:00

  3. 場所 6号館セミナーAD室 見逃配信あり

  4. 概要 「ムーンショット型研究開発制度」は,超高齢化社会や地球温暖化問題など重要な社会課題に対し,人々を魅了する野心的な目標を国が設定し,挑戦的な研究開発を推進するプログラムです.目標3では「2050年までに,AIとロボットの共進化により,自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」を目的として,Coevolution(AI技術とロボット技術とが連携して自ら性能を向上させる技術)とSelf-organization(環境等に適応するため自分自身の知識や機能を自己的に改変するAI技術とロボット技術)の2つの視点を踏まえた研究開発を推進しています.
    それらの技術を有するAIロボットの活躍の場として「人が活動することが難しい環境で,自律的に判断し,自ら活動し成長するAIロボット」,「自然科学の領域において,自ら思考・行動し,自動的に科学的原理・解法の発見を目指すAIロボットシステム」,「人が違和感を持たない,人と同等以上な身体能力をもち,人生に寄り添って一緒に成長するAIロボット」という3つのカテゴリが設定され,様々なプロジェクトが進められています.本オープンフォーラムでは,研究開発プロジェクトが描く,人とロボットが共生する2050年の社会像とその実現に至る様々な技術を紹介し,皆さんと一緒に未来社会を議論する場とさせていただきます.

セッション1:プロジェクト紹介と目指す社会像

10:00- ご挨拶 福田敏男(名古屋大学)

こちらの絵を使用して、2050年のAIとロボットの姿を紹介された

福田先生はスライドを準備していて、会場にはスライドが映されていたのだが、遠隔からは見えない。
途中からプロジェクターの投影画面をWEBカメラで撮影した画面が共有された。
福田先生は、30分で、全てのプロジェクトの概要を話された。

10:05- 一人に一台一生寄り添うスマートロボット

 菅野重樹(早稲田大学)
1台のロボットが、一人の人間に一生寄り添い、共に生きていく社会を目指す。

「クララとお日さま」のフレンドロボットのようだ

10:15- 多様な環境に適応しインフラ構築を革新する協働AIロボット

 永谷圭司(東京大学)
オープンデザインロボットが、作業に応じて自己変形し、環境に対応して作業をこなす
2050年に実現を目指すムーンショット目標として、ロボット技術により「自然災害の応急復旧」「月面有人探査の拠点構築」を設定

2050年における自然災害現場での応急復旧イメージ
2050年の月面におけるインフラ構築のイメージ

10:25- 人とAIロボットの創造的共進化によるサイエンス開拓

 原田香奈子(東京大学)
ビデオを見ておわり

10:35- 活力ある社会を創る適応自在AIロボット群

 平田泰久(東北大学)
「できるかも」という気持ちを育てるお手伝いをするロボット
例として「足こぎ車いす」の紹介があった

セッション2:若手研究者が描く2050年のAIロボットビジョン

11:00- 深層予測学習が創る人間共生ロボットの実現に向けて

 伊藤 洋(早稲田大学・日立製作所:菅野PJ)

11:10- ヘテロ群ロボットが生み出す協調行動の未来

末岡裕一郎(大阪大学:永谷PJ)
機械翻訳と群ロボット(ヘテロ(多種協調))は同じ思想にもとづいて行われる

11:20- 身体図式の自律獲得機能を有する知能ロボットシステムとサイエンス開拓

 河原塚健人(東京大学:原田PJ)
Twitter:@KKawaharazuka

成長するロボット構築の話

11:30- 共に成長するロボットに向けた感情発達ロボティクス

日永田智絵(奈良先端科学技術大学院大学:平田PJ)

ロボットが感情を持つ!
クララとお日さま(社会的感情)そのものの研究だ

11:40- 2050年のAIロボットを考えるパネルディスカッション

福田先生、まだ会場に残っていたようで、いろいろと質問をされていた。

おわりに

目標3「ロボットとAI」は、ムーンショットに最もふさわしいテーマだと思っていたのだが、最も陳腐化したアイデアしか出ないテーマでもあったのだ!

すでに「極限作業ロボット」「マイクロマシン」「認知発達ロボティクス」などの大型プロジェクトでロボットによる自動検査、ロボットによる血管内検査、心を持って自己成長するロボットなどが、すでにできたことになっている。
人工知能に関しても状況は似たり寄ったりで、たいていのアイデアは大型プロジェクトですでに提案され、できたことになっている

いっぽう、SFではロボットや人工知能は止めどなく進化し、SFに登場する技術はなんとなく実現可能だと思ってしまう

例えば映画「ターミネータ2」に登場する液体金属ロボット「T-1000」でさえ、ムーンショットでアイデアが出されても陳腐に感じてしまう状況だ。

目標3は、アイデアが出尽くしていて、イノベーションを起こすアイデアをひねり出すのが非常に困難な状況にあるのだ。

いっぽう、陳腐化した「T-1000」を作ると宣言した場合、5年で目途が付く可能性は非常に低い。

このような困難の中、目標3は、9個ある目標の中で、最もテーマ設定が難しい状況に追い込まれていると言える。

似たようなテーマに「目標1」があるが、こちらは「メタバース」「リアルアバター」「デジタルツイン」、はたまた「BMI(ブレインマシンインターフェイス)」など、アイデアがいくらでも広がる分野で、目標3とは似て非なる状況にある。

個人的には「目標3」こそ、SFプロトタイピングでじっくりと理想の未来社会から考え直すのがいいのではないかと思っている



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