メモの魔力

1. 緒言

 この本は、SHOWROOM(株)代表取締役社長、前田裕二氏によって書かれた本である。前田氏の軌跡などは、『人生の勝算』に記載されているので、こちらを参照願いたい。
 普段、仕事などで先輩社員や上司から「メモを取れ!」と言われたことがないだろうか。私自身も記憶力にはちょっとだけ自身があり、最初はメモをあまり取らず、記憶にだけ頼っていたが、社歴が経つにつれてタスクも徐々に増え、覚えることが多くなってきてしまい、仕事にミスが出てしまうことが増えてしまった。更には、緊急性は低くとも重要な「勉強」という部分において何を勉強すれば良かったかさえも忘れてしまうことがあった。
 このメモの魔力には、ただメモをするだけでなく、メモによって【新しい価値を生み出す使い方】が記載されているので、ざっくりとそれについて紹介しよう。

2. 【メモを第2の脳として活用する】

 メモを取る理由として前田氏は「より本質的なことに少しでも多くの時間を割くため」と述べている。つまり、「無価値なことに時間を浪費するのではなく、人生という限られた時間の中で価値のあることに1秒でも多くの時間を費やすため」にメモを取るべきだと。メモを「第2の脳」とすることで自身の脳の容量を使わないで済む。
 メモは「記録するため」と考えている人がほとんどだと思うが、「知的財産に使ってこそ初めて真価が発揮される」と述べている。メモを上手く使うことでそこから価値あるものが想像される。
 メモによって5つのスキルが鍛えることができる。
① アイデアの創造(知的生産性の向上)
② 情報伝達の伝導率向上
③ 傾聴能力の向上
④ 構造化能力の向上
⑤ 言語化能力の向上

 メモを意識的に使用することでこんなに多くのスキルを鍛えることができる。これを知ってしまったら、意識的にメモを使用するしかないのではないだろうか。
 前田式アイデアを生むメモの取り方は、「ノートを見開きで使用する」ことだ。詳細は省くが、ざっくりと説明すると、
左ページ:【標語・ファクト】
右ページ:【抽象化・転用】
を記すように構成されている。詳しくは、本書を買って見てみてほしい。
 マインドマップ式にメモを作成することで、転用(アイデアの具体的化)がスムーズに行うことができる。これこそが前田氏のメモの取り方だ。
 更に、日常でも気になることがあればその都度メモをするようにしているという。例えば、大阪と東京では同じチラシ配りでも、大阪ではチラシと附属してアメちゃんを渡すと通常の3倍の効果が得られるが、東京ではアメちゃんを付けても大阪の1/3程度の結果にしかならないそうだ。どうでも良いことかと思うかもしれないが、このような事実に対して必ずメモを取るという。このファクトから、抽象化→転用のスキームを確立させている。
 どうでも良いような事象1つに対してもここまで深堀をするとそれがビジネスに活かされる。これは、社会人(研究・開発者)にとってやらない手はない
 この原理を利用して生み出されたのが、『SHOWROOM』である。かつて、前田氏は幼い頃に両親を亡くし、小さい頃にもらったギターで路上ライブを行ってお金を稼いでいた経験がある。そこから得たファクトを抽象化し、転用してビジネスとして成功を収めている。
 このメモに更に価値を与えるツールとして、「4色ボールペン」「記号」を使用している。

3. 【メモで思考を深める】

 抽象化こそがメモの根幹となる。新しい発見や発明、知的創造で思考を深め、より良い発見や発明を行えるようになる。
 抽象化をする際に最も重要なのが「問い」である。この問いにも3種類の方法がある。それが、【What型】, 【How型】, 【Why型】である。
① What型の例:目の前の現象や考え方を抽象化して、別の名前を付けて呼び直す。
② How型の例:目の前の現象にはどんな特徴があるか、ということを深堀して考える。
③ Why型の例:ヒット映画が当たった理由を抽出して、別の企画に転用したい。
 上記の3種類の方法で最も価値が高いのは、「どんな?」, 「なぜ?」による抽象化である。抽象化をすることで、物事の「本質」が見えてくるようになる。

4. 【メモで自分を知る】

 上記のWhy型を自分に向けてみると、「自分は何をやりたいのか?」という問いにたどり着く。ここで、「自分を知る」ことができれば、現在自分のやっていることは、やりたいことに沿えているか、時間を浪費していないかなどを見つめ直すことが出来る。つまり、最短で自分の夢が叶えられる
 この先の未来では、「やりたいことが明確になっている人」から順に「豊か」になっているらしい。ここで述べている「豊か」とは、経済的にも生活の質という意味でも豊かであるということだ。その為、就活を行う気持ちで「自己分析」を行ってみると、潜在的であった気持ちや目標が見えてくるかもしれない。いずれ、転職を考えている人であっても、今のうちに自己分析を行うことで、いずれ活かせるかもしれない。

5. 【メモで夢をかなえる】

 よく、「引き寄せの法則」では、「夢を紙に書くと現実になる」ということが記載されているが、前田氏はスピリチュアルな視点ではなく、科学的に次の様に述べている。
 ① 夢へのマインドシェアが高くなり、夢について様々な思考をこらし、抽象化することができる。あとは、これを転用して具体的な方法を考えていけばOK。
 ② 言霊の力。言葉にすることで、誰かの意識が変わり、それが何らかの形でポジティブに返ってくると述べている。
 ソフトバンクの孫氏は、未来に対しての明確なビジョンを常に描いており、それはタイムマシンで10年後に行って帰ってきたかのようにありありとビジョンを語るという。それだけ、「夢」に対して強い想いを抱いていることが想像できる。
 夢を実現するために、先ずは考え得る全ての夢を書き出してみることが大事であるという。その際のポイントとして、しっかりと「終わり」を意識することが大事である。
  そして、それができたら次は夢に優先度を付ける。前田氏は優先度が退化順にS~Cのランクをつけると良いと述べている。
 また、人それぞれ「トップダウン型」「ボトムアップ型」の2種類のモチベーションの型があり、自身がどちらの型であるかを認識することが大切である。「ボトムアップ型」は、「自分がワクワクする度合い」で重要度を決める人に当てはまり、「トップダウン型」は、目の前の面白そうなことに飛びつくことで日々の行動が決まっていくの人に当てはまる。
 そして、モチベーションの型の確認と優先付けが終わったら、優先度の高いものに関して、行動を細分化していく。行動を細分化することで、より効率的に優先度の高い目標にフォーカスすることができ、最短での目標達成が果たせる

5. 最後に

 前田氏は、通常の人がメモを取る何十倍も何百倍ものメモを取っているそうだ。その理由は、「メモという魔力を利用することで運命に努力抗うため」と述べている。
 前田氏が小学生の頃にどうしても勉強で勝てなかった一人の少女の姿が今でも夢に出てくるらしく、その少女に勝つために「メモ」という武器を自分のものにし、その力を最大限に発揮することでその子に勝とうと努力したそうだ。
 その習慣があったからこそ、前田氏は高みへと昇ることができたという。なので、これを読んでくださった皆さんも本書を購入し、自分を、世界をメモの魔力で変えていこう。

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