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【漢方】夏到来、伝説の「三伏貼」とは?

まもなく中国では一年で最も暑い時期である「三伏(さんぷく)」シーズンに入ります。この時期になると中国では「三伏貼(サンフーティエ)」という膏薬(コウヤク)を体に貼る伝統習慣があり、多くの病院でもその宣伝が行われるようになります。しかし近年、三伏貼を貼った結果、体に副作用が出る事件も起こっており、その効果についてSNS等で議論が起こっています。今回はこの「三伏貼」について少し紹介しましょう。

【三伏の時期ー陰陽五行説】
三伏(さんぷく)とは、中国古代の「陰陽五行説」に基づく選日の1つで、初伏(しょふく)・中伏(ちゅうふく)・末伏(まっぷく)の総称です。 

今年の三伏は以下の40日間となっています。
初伏:2020年7月16日-2020年7月25日、10日間
中伏:2020年7月26日-2020年8月14日、20日間
末伏:2020年8月15日-2020年8月24日、10日間

三伏は一年で最も気温が高くて湿っぽくなる時期です。また、この時期には人体の「風・寒・暑・湿・燥・火」の六邪気も盛んになるため、「養生」(養生とは伝統医学に基づき、健康を増進し病気の自然治癒をうながすこと)を実践することがとても重要になるとされています。

【冬病夏調ー夏に冬の病気予防】
中国医学(以下「中医」)では「春・夏は陽を養い、秋・冬は陰を養う」という考え方があり、夏を人体の「陽気」が最も盛んになる時期とする一方で、冬によく見られる健康や病気の問題は夏にすでにその兆しが形成されているとします。そのため、この陽気が盛んな夏に適度な養生を行うならば、冬に起こるはずの病気も予防できると考えられています。

【三伏貼】
三伏貼は三伏シーズンに膏薬を体のツボに貼ることで、これにより一部の健康や病気の問題が秋冬に繰り返し現れるのを防ぎます。その成分には生薬の斑蝥(ハンミョウ)・毛莨(モウコン)・細辛(サイシン)・白芥子(ビャクガイシ)・生姜やアルコールといったものが使用されています。しかしながら、各種成分の選択種類や構成割合には特に規定(生産・質の基準)がなく、中医の専門家や病院が独自に調合しています。

捕获

中医では三伏貼は気管支喘息・慢性の気管支炎・肺気腫・肺心病・慢性呼吸不全・慢性のせき・繰り返し風邪・慢性鼻炎・慢性咽頭炎等、主に肺(呼吸器系)の疾病に治療効果が期待できるとされています。

ですが、2019年7月に江西省の小児専門病院で三伏貼を貼るサービスを提供したところ、一部の児童に皮膚のかゆみ・焼けるような痛み・水疱等の副作用が出たためニュースとなり、社会的な注目を集めました。

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現在、中国ではネット通販等で気軽に三伏貼が買えるようになっている一方で、SNS等でその使い方に注意を呼びかけたり、その治療効果に疑問を出す専門家(医師)も現れており、毎年夏のこの時期になる議論が起こっています。

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