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アラフォーは人生の転機が訪れる時期であり、仕事で一人前になる時期である

キャリア理論ではアラフォー(40歳前後)の時期は人生やキャリアの転機が訪れる時期であると言われています。この考え方は心理学に基づいており西洋的です。一方で、東洋では「四十を強とのたまふ」(「礼記」)という言葉が紀元前からあります。「40歳を強と言い仕事で一人前となる」という意味です。東西どちらでも40歳は人生の節目と見られているのは面白いですね。


Middle age crisis(中年の危機)

キャリア心理学ではアラフォーの時期は個人の内面では価値観の大きな変化が生じて、外部では社会で求められる役割が変わるなど変化が起こり、多くの個人が混乱し悩むことが多いとされます。所謂、中年の危機です。

今までの自分を形づくっていた価値観や信念のようなものが古くなり、現在の自分にフィットしなくなってくるのがアラフォーです。しかし、従来のものは古くなったけれども、新しい価値観や信念はまだ見えていない宙ぶらりんの空白期であり、だからこそ悩みます。

この空白期に新しい自分探しを行い、古い自分をリセットして、徐々に新しい自分、そして新しい人生・新しいキャリアのステージに移行します。
このことについては、私のマガジン 働きがいと稼ぎを倍増させるキャリア論 で詳しく書いていますので、興味ある方はご一読下さい。

四十を強とのたまふ、仕ふ

紀元前の中国、秦や漢の時代に記されたとされる礼記では40歳について「四十を強とのたはふ、仕ふ」と書かれています。

江戸時代の石門心学の祖である石田梅岩は都鄙問答(とひもんどう)で礼記の注釈書を引用して次のように説明しています。

「40歳になったら、志を強く立てて、利害に心を動かされないようにし、運不運・幸不幸も気にせず、出仕すべきである」

このように働ける一人前の人間になっているべき、ということです。

その為にどうすれば良いか。方法は述べられていないようですが、本コラムの冒頭で述べた中年の危機を乗り越えることが必要でしょう。その方法は上述のマガジンで説明しています。ここは東西折衷ですね。

東洋風の人生の発達段階

面白いのですが、この「四十を強とのたはふ、仕ふ」という言葉に関連して、各人生段階に到達すべきことが都鄙問答で引用解説されています。

・10歳:生まれて10年たった者を幼といい、学び始める。
・20歳:弱といい、成人となる。
・30歳:壮といい、結婚する。
・40歳:強といい、仕事で一人前となる。
・50歳:艾(かい)といい、長として上に立ち、大勢の人を使う。
・60歳:老といい、自分では動かず、人を指示して使う。
・70歳:後継者に仕事を伝える。

2000年以上前の文章ですので、資本主義が発達した現代では10年くらいは早回しで考えないといけないかも知れませんが、参考になるのではないでしょうか。

アラフォーの時期は人生やキャリアの転換期です。ある日を境にパッと人生のステージが切り替わる訳ではなく、古い自分でも無く、新しい自分も始まっていないというどっちつかずの空白期を経る必要がありますが、そこを乗り越えると次の人生ステージが始まります。

このことは今回引用した事柄にもあるように古くから言われていることであり、普遍的なことなのでしょう。

アラフォーとはそういう年代と分かっておれば、単に悩むことや元気をなくすのではなく、40歳を一つの節目の時期として認識し、40代以降をどう生きるか、どう働くか、目標を立てても良いかも知れません。

(2024年7月22日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士


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