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ハノイのオペラハウスで起きた想定外の出来事①

Chao! それは昨日のこと。仕事を定時で切り上げた私は、金曜日の夜だし、このまま一人家にいても退屈だな、何か面白いことはないかな、とボンヤリ考えていた。

そんなときふと、偶然出会ったベトナム人から聞いた話を思い出した。

「日本人の友人でしばらくハノイに住んでいた人がいたんだけど、彼は観劇が好きでしょっちゅうオペラハウスに行ってたよ」

時計を見ると17時45分。今から予約できるだろうか?と思いつつスマホで検索してみたが、日本語で出てきた情報はどれも古く、公式サイト?のようなものはいまいち使い勝手が悪くてなかなか知りたい情報にたどり着けない。

これ以上時間を無駄にはできない、直接聞くしかない!と気持ちを奮い立たせ、グーグルマップに書いてあった連絡先に、電話をかけてみた。

…案の定、電話に出た相手はほぼ英語が通じなかった。仕方ないので、片言のベトナム語で必死に会話を試みる。

「Em...Em mướn đi xem opera...hom nây có opera không? (私、オペラが見たいです。今夜はオペラありますか?)」

なかなか一発では通じなかったが、向こうが若干の英語を解していたこともあり、最終的には「今夜8時からショーがある、7時半に来ればチケット買える」みたいな情報を引き出すことができた。

7時20分ごろ到着すると、オペラハウスの前にはすでにショーを待つ客で賑わっていた。偽物だかホンモノだか分からないチケットを売ってくるオバサンたちをかわしながら、私はその門が開くのを待っていた。

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(着飾ったマダムたち。皆楽しそうに、写真を撮り合っている。)

門はまるでもったいぶるかのように、7時半ではなく、3分遅れで開かれた。入口にはコロナ防止対策で、手のアルコールと検温が実施されていた。

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ようやく中にたどり着いたものの、当日チケットらしきものを販売している気配がない。おかしいな、と思い、近くにいたスタッフらしき人に尋ねたものの…まさかの英語が通じない!

ハノイではカフェやレストランはもちろん、タクシーさえも往々にして英語が通じる。あまりに皆英語ができるので、ベトナム語を勉強するモチベーションがわかない!と悩んでいたくらいだった。まさかこんなところに通じない場所があったとは。

しかし、このシチュエーションで通じないのは困った。そうこうしているうちに、スタッフが2人、3人と増えた。皆、私を厄介な人物だと思っているだろうことがひしひしと感じられた。はじめのうちこそ自信満々に「電話の相手からここに19時半に来れば買えるって言われたんです」と片言のベトナム語でまくしたてていた私も、だんだんと自信がなくなってきた。

ここまで読んでいる皆様は、「諦めて、また次来ればいいじゃないか」と思っていることと思う。そのとおりかもしれない。実際オペラハウスは私が住むSun Red Riverから徒歩5分、明日だって明後日だって来ようと思えば来れる。

でも、私はどうしても諦められなかった。今日見なければ、もう二度とここには来ない。どこかでそんな気がしたのかもしれない。

時間にして5分だろうか、私の粘り強さに根負けしたスタッフの一人がある真っ赤なドレスに身を包んだ男性を連れてきた。彼の名はHenrry。見た目だけでもなかなかインパクトのある方だったが、この後彼はまったく思いもよらないある行動に出た(次に続く)。


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