見出し画像

映画「プロメア」をみて

タイトル通り今日はアニメ映画「プロメア」を観た感想を。
(なるべくネタバレ要素は省いたつもりなので、これから観る方も大丈夫かなと思います。)


まず、とっても面白かった!!
内容としてはまごうことなきアクション映画で攻守がひたすらに入れ替わる。というか攻守とかいう概念あるのか?後半はひたすら殴り合いである。
戦闘シーンはとにかく派手で気持ちいい。

お話の内容は、端的に言うと「猪突猛進型の主人公が痛快に突き進んでいく」ストーリーなのだけど、本当にクリエティブが極まっていて、いろいろな視点で見れる。何度も言うけれど面白くかっこいいので、ぜひ見て欲しい。

アニメにさほど明るくない個人感想であるけれど、リアルを美しく精細に描いて綺麗な絵作りというよりは、現実にはない色使いとデフォルメされた表現や、CGらしいポリゴン感がうまく合わさったアニメという感じで、アニメーションだからできることを全力でやりきった!という印象だろうか。

「炎」がこの物語のキーなのだけれど、その表現の仕方が、特に美しく、とてもかっこいい。極彩色の炎が私たちの知っている炎ではないことを印象付けている。

映像は、いわゆるアニメっぽい黒縁で描かれた輪郭線がほぼなく、前述した「炎」、ほかにも「煙」「火花」「光のフレア」など、本来なら実態を持たないものに与える形が、直線的な描かれているのも面白い。そして全体がかなりハイトーンのカラーで絵が構成されているのに、綺麗にかき分けられてる。

一つの面の描写に光のグラデーションがない分、立体感が薄く見えがちだけれど、それがものすごいCGで作られているはずのアニメーションを一枚一枚のイラストレーションのように見せてくれる。なんというか手書きっぽいカットとCGがすごくナチュラルに溶け込んでいるという感じだろうか。どうやって作ってるかなんて皆目検討もつかない。

ところどころで見られる登場人物や戦闘や技の名称で使われている文字のエフェクトやフォントもとてもかっこいいし、音楽の入り方もめちゃくちゃかっこいよくて気持ちいい。少しエレクトロっぽい感じもあり、ロック全開なところもあり。音声入りの楽曲が3曲くらいある。それぞれの場面で映像とのシンクロ具合がすごい。

全体的な雰囲気はあまり日本的ではないのに、盛り込まれるモチーフが、火消しや反対勢力がゴリゴリのバイクに乗ってる感じなど、日本的な要素が盛り込まれていてこれをかっこよく昇華させているのもうまいなあと思うポイントだった。かっこいいばっかり言っていて薄ぺっらくなってきているけれど、かっこよかったので許されたい。

---

さて、もともとは友人から勧めてもらったこの映画。本作の脚本家の中島かずきさんの舞台を見たことがあったので、「それなら!」と教えてもらっただけあり、ストーリーは予想裏切らず、申し分なく好きだった。印象的だったのは、シリアスになる場面でついついクスッとしてしまうところがあるというところや、善と悪だけの白黒にはっきりなれないところ。

息を呑むような戦闘シーンで、めちゃくちゃな技名のビームを出したり、人類の命運をたまたま来た人間にたくしてみたり。そういうところに、つい頬が緩んでしまったのだけど、そういうなんだか悲しみが持続しないテンポがすごく人間らしいなと感じる。

個人的には、どんなに悲劇的で辛いことがあっても、心底おかしいことがあれば人はクスッとしてしまうものだと感じていて。その後にまた、ふっと悲しみがやってきたり、また笑ったり。そんな繰り返しで生きていけるものなんじゃないかと思うのだ。そういうところがこの作品でも見られて、ぐっと引き込まれてしまった。

善と悪だけの白黒にはっきりなれないところについては、もう字面そのままなのだけど、描かれている人間は善悪が表裏一体で、皆一方方向からは判断できない姿を持っている。そういう部分を合間に描いていて、悲哀を感じるところはただのアクションだけに終わらない部分があるように思う。だけれど一方で、これを気持ち良くすぱっと終わらせてくれるところに、アクションの勢いあるテンポの痛快さが残っていて見終わった後の爽快感はとても気持ち良かった。


すごく楽しかったので、次はサントラを聴いてみようかな。他のTRIGGER作品を見てみるのも楽しそうだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?