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武生という町

JR湖西線に乗って、福井県の武生に向かっています。初めて訪れる場所ですから、気分は昂揚しています。
武生に住むお友だちに会いに来ました。数日前、大阪から行くのは遠慮した方がいいかお伺いをたてたところ「ウチはいいよ」と了承を得られたので、マスクを二枚重ねにして家を出ました。
彼女と会うのは何年振りかな、と暫く考えて結局思い出せず、最近人と会うにしてもライブやるにしても、やろうかと思ったことは無理にでもやっているのは終わりが近いんだろう、となんとなく肌で感じます。親しい人には健康で長生きして欲しいけれど、自分は特にそういった希望もなく、家族はもちろん大事ですが、人は誰もが一人なのだと生きれば生きるほど思います。子どもたちも巣立てば一人になります。
精神的に一人で立っていることができる人になって欲しいと、脆弱だった己を棚に上げて思います。
電車から海が見えるなぁと思ったら、琵琶湖でした。

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能登半島は曇りの日ばかり、と昔読んだ小説に書いていたのですが、今日の空は台風の影響かもしれません。それに、まだ滋賀でした。
実際に着いた福井は晴天でした。
友だちは全然変わってなくて少年のようでした。プライベートなことや仕事のことなど、不躾な質問にも快く答えてくれつつ武生の町を案内してくれました。
因みに武生市は越前市に合併、というか越前市という市はもともと存在しなかったそうですが、その付近一帯を越前市にされてしまい、武生という地名がなくなってしまったと、友だちは憤慨しておりました。駅の名前だけが『武生』として残っているそうです。
最初に『だるまちゃん』シリーズや『からすのパンやさん』で有名なかこさとしふるさと絵本館に向かうと、

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入れませんでした。
それで、陶芸村という場所に行き、そばを食べました。梅味のカキ氷がびっくりするほど美味しかったです。
友だちが一人で住んでいる一軒家を見せてもらい、「虫が大変だよ」「熊が出るんだよ。柿を狙いに来てると思ったら暑い時期も出るんだよ」「雪かきは大変。孤立するかと思ったよ」「時々兎や猿やハクビシンは見るよ」などという山話を聞きながら、ぐにゃぐにゃ山道を越えて海に行きました。
日本海は素晴らしかったです。

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海沿いのコンビニ外のテラスで、友だちはアイスを食べて、私はビールを飲みました。駐車場から流れてくる演歌メドレーを聞きながら、「石川さゆりかな?」(私)「いや、坂本冬美」(友だち)「昔、AMラジオ聴いてたら、朝鮮か韓国からめっちゃ放送入ったりしてびっくりした。あれ混線?」(私)「わかる。ウチ海のほうだけ思ってたら大阪の方もやってんな…口調強いからすぐわかる」(友だち)などとたわいもない話をしていると、本当に平和で幸せだなぁと感じました。
友だちは、何がしたいとかの欲がなくフラットな人間なので、話しているととても楽になりました。そういえば大学時代から、そうでした。生きる意味とか美しい精神とか答えのないことを捏ねくりまわしていて、いつもガツガツ飢えている私とは大違いです。お互い元気なうちに会えてよかったなぁと思いました。
帰りは敦賀まで送ってくれ、赤レンガ倉庫でチェブラーシカとジオラマ模型を見て、

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「いちおう名物やから」と連れて行ってもらったラブホテルみたいな外観のヨーロッパ軒(本店)でソースカツ丼を食べて、

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敦賀駅でお別れして、また電車に乗って帰りました。

とてもいい1日でした。

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