メディアの話。クヌギの林。里山。田んぼ。糸島。
糸島の朝の散歩。
「糸島でクワガタ取れるところない?」と地元の大学生に聞いたら、
「子供の頃、お父さんに連れてってもらったところがあります! お父さんも子供の頃、そこでクワガタとってたって」
で、行ってみた。
海沿いの道からかつて干潟だった田んぼを抜けて「里山」的な小さな山がポコポコあるエリアに。
山のへりの田圃道を走ると「あそこです!」
30*30mほどの薪炭林。
全てクヌギだ。
まだ青々とした葉をつけた枝がたくさん落ちている。
下草はなくって風通しがいい。
切り株から伸びた直径10センチ強のクヌギの林。
ここまで丁寧に管理された薪炭林は、もう何年も見ていない。
「昔は蹴りを入れて捕まえてました」
蹴りを入れる。
もう9月に入っているから、シーズンは終わり。
それでも牙の短いノコギリクワガタのオス2匹とコクワガタのメス1匹が落ちてきた。
この薪炭林、誰がどうやって管理しているんだろう。
切った薪はどうしているんだろう。
上流部には大きな溜池がある。
さらにその上にもう一つ、ため池があるが、こちらはもう別の流域。
手前のため池の奥には水が流れ込んできて
その上流部には、幾つものログハウスと別荘が。
最近できたもののようだ。
すぐ先のマリーナの利用者の別荘のようだ。
再び、谷に戻る。
薪炭林の向かいの田んぼを眺める。
一見、「里山の美しい田んぼ」に見える。
が、よく見えると、その「里山」は、先ほどの薪炭林と異なり、全く手入れがされていない。竹がびっしり茂り、常緑樹が繁茂している。
そのせいで、田んぼに森の影が覆っている。
影がかかったところは日当たりが悪くなり、当然稲の成長にも影響が出る。
かつて、こうした場所の田んぼの周りの林は、木を刈り込んで、田んぼに影がかからないようにしていた。落ち葉が落ちたりしてこないようにしていた。
こうした風景を「昔懐かしい里山風景」と見てしまうのは、田んぼの管理をしている農家の人たちの苦労を知らないし、そもそも農業を知らない。農家の人たちは、本当は山の手入れをしたいはずだけど、人手がおそらく足りない。
ちなみに、このあたりの竹や常緑樹が茂った森は、全部、みかん畑だったそうである。
メディアが作った「里山」の現実。
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