メディアの話その87 ウイルス・メディア・グローバリゼーション

メディアは、必ず3つの構造から成り立っている。

それはハードウェア、コンテンツ、プラットフォームである。

コンテンツを再生するためのハードウェアがあり、コンテンツを流通させるためのプラットフォームがある。

テレビやラジオの場合は、番組がコンテンツであり、ラジオ受信機、テレビ受信機がハードウエア、プラットフォームは放送技術と放送局だ。

書籍や雑誌は、小説だの記事だのといった文章がコンテンツであり、紙の束がハードウェア、印刷工場と流通・販売までのネットワークがプラットフォームだ。

スマホでいうと、コンテンツはすべてアプリになり、ハードウェアはスマホ、そしてプラットフォームはインターネットということになる。

で、ウイルスである。

「ウイルス」は、比喩ではなく、メディアそのものである。

ウイルス本体は、DNAあるいはRNAという遺伝情報を有した「コンテンツ」である。ただし、ウイルスは自分自身で複製できない。「情報」だけなのだ。

ウイルスを複製して増やしてくれるのは、宿主である細胞生物。新型コロナウイルスの場合は、おそらく最初はコウモリ、そしてセンザンコウ、いまは人間である。つまり人間が、ウイルスというコンテンツを増やすハードウェアになっている。

ではプラットフォームは何か。コロナウイルスは人と人とが直接、あるいは近距離で密接につながることで伝染する。つまり、人そのものの動きがプラットフォームになる。中国・武漢で2019年12月に発見された新型コロナウイルスは、4ヶ月で200カ国以上に広まった。武漢から200カ国に確実に人から人へバトンタッチが行われたわけである。いまのウイルスの大感染のプラットフォームはグローバリゼーションそのものだ。

ウイルスという「メディア」についてはまた考えてみる。





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