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メディアの話その85 新型コロナウイルスの話を書く。

自分のフェイスブックには海外に暮らす友人がたくさんいるのだけど、すごく共通することがある。
アメリカやヨーロッパ、オセアニアにいる全ての友人が「ロックダウン」状態になるのは「当たり前」で、日本がものすごく「異常」に見える、と話していることだ。
日本よりはるかに感染者数や死亡者も少ない国でも、ロックダウンしている。
アメリカについていうと、医療崩壊を起こしているニューヨークだけじゃなく、遠く離れた感染者数の相対的に少ない州でも、ロックダウンしている。

ちなみに、日本はアメリカの1つの州に入っちゃうサイズだから、石川や鳥取に感染者数が少ない、といってもそれは行政単位が細かいだけの話で、アメリカの規模でいったら、全部ひとまとめで「日本」。

ウイルスは行政単位で暮らしているわけじゃないし、人間の都合なんか聞いてくれない 人の移動とともにウイルスは移動するから、人が自由に行き来できる範囲はぜんぶおなじ枠内。だから人の動きを封じ込めるロックダウンが効果をもたらすし、国単位でがある程度の指標になるのは、人の移動が自由じゃないから。だから、入管における水際作戦も効く。


海外から投稿してくださっている私の友人たちの多くは、有名経営者や作家や翻訳家、NPOの代表、コンサルタントといった方たち。「出羽守」じゃなく、エビデンスに基づいて、非常に冷静に現地の情報を伝えてくださっている方たち。著名人、メディアの連載を持っていらっしゃる方も複数いる。


その方たち全員が共通していう。


「日本は異常だ」と。「なぜのんびり出歩いているんだ」「なぜ外で飲み会をやってるんだ」「なぜ、学校や塾や予備校で子供たちを集めようとしちゃうんだ」と。

彼らの話を総合するとこうだ。

いますぐに都市封鎖を行い、学校は全部閉鎖、塾や予備校など習い事もすべて閉鎖。社会インフラ事業以外は、すべての仕事はリモートワーク。学校のスタートは5月末まで末。食料品や日用品などの小売ビジネス以外はすべて閉鎖。

そう、他国でやっているロックダウンを日本で、とりわけ東京大阪の大都市圏でやらないとあぶない。


日本人が例外的になんらかの理由で、新型コロナウイルス に耐性がある民族だ、という美しい物語がない限り、どうなるか。


イギリスと日本。ニューヨークと東京を比較して、感染者数の伸びみると、数週間のニューヨークのの感染状況といまの日本の感染状況は、そっくりである。


4月1日の日本が、感染者数2149人   死亡者数66人。
    アメリカ 感染者数18万9618人 死亡者数3873人
    イギリス 感染者数2万2412人 死亡者数1411人

3週間前3月13日のアメリカが、2179人 47人
2週間前3月18日のイギリスが、1966人 56人。
このあたりが、いまの日本と同じ数字である。

そして、
ニューヨークがロックダウンしたのは3月22日。
アメリカ全土で33276人死者417人のタイミング。

イギリスがロックダウンしたのは1日後の3月23日。
イギリスで5742人死者282人のタイミング。

2週間後にイギリス、3週間後にアメリカに予測上はなり得るわけである。シンプルに、機械的にいまの数字をみるとそうなる。

アメリカの半分はニューヨークだから、東京がいまのニューヨークと同じ状態になる可能性がある。
4月1日も東京は66人。累積感染者数が2倍の数になるのにわずか5日だ。この増加の角度。すでにニューヨークが激増したときとおなじ。つまり対応しないと今のニューヨーク以上になり得る。


岸由二慶大名誉教授がわかりやすいグラフをつくってくださったので下に共有する。

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5日で2倍のスピードで患者数が増える状態はニューヨークといっしょ。かなり強力な「ロックダウン」を行わない限り、いや行ったとしても、3、4週間後に東京はニューヨークと同じか、それよりひどくなる可能性がある。


防がなければいけないのは、感染者増加に伴う医療崩壊。目標は明確。医療崩壊を絶対に防がなければならない。でないと救える命を救えなくなり、さらに医療従事者が感染して、医療規模は絶対的にさらに少なくなり、という負のスパイラルが生まれる。

一方、私たち人類はある意味でとても頭が悪い。自分たちがつくった行政区分や法律や仕組みで、水害や地震やウイルスのような自然災害を区分しようとしてしまう。

東京はあぶないけど、埼玉や千葉や神奈川、ましてや石川や島根は大丈夫に思っちゃったりする。ひとつの巨大クラスターとして考えたら毎日数百万人が行き来する首都圏はすべておなじクラスター。さらにいえば、日本のサイズはアメリカの1州と同じ規模。ウイルスは行政単位で生きていない。国境だって関係ない。イルスからしたら県だの市だの区だのはないのといっしょ。

新型コロナウイルスは「移動」についてはとってもシンプルで、人ともに移動する。人が運び役だ。近距離の飛沫感染を除けば、広範囲の空気感染はないはず。ということは、人の動きをコントロールすることが、新型コロナウイルス の感染拡大を防ぐ。

すでに記したように、だから人の移動が自由である限り、小さな行政単位での施策はあまり意味がない。ウイルスは人といっしょに動く。そして日本の行政単位や法律を守ってくれない。

一方、国単位で見るのがある程度有効なのは、人の行き来が国単位だと自由じゃなくなるから。入管での水際作戦が効果があるのも、人とともにウイルスがやってくるのを防ぐことができるから。

だから、人の動きをとめること、一人の人間が多数の人間に感染させるおそれがあるクラスターの形成をやめること、この2つがきく。それをロックダウンといっても、都市封鎖といっても、外出禁止といっても、外出自粛といってもいい。とにかく例外なく、ひとからひとへウイルスが伝染する可能性をゼロにする。

2週間後、へたをすると1週間後、あのとき私たちはのんびりしていて、バカだったなあ、とため息をつく。ため息をつくどころじゃなくて、身内から感染者が出る。自分の所属する組織から、自分のお客から感染者がでる。そもそも自分が感染者になる。
これは、多くの欧米の当事者の方々がおっしゃっている話でもある。


愚者は経験に、知者は歴史に学ぶ、の典型をいまの日本は辿っている。

「俺の感覚じゃ、たぶん大丈夫」と思い、目の前の3週間の歴史、ヨーロッパとアメリカでおきた歴史をまったく見ていない。
以上は、脅しで書いているのではなく、すべて事実をもとに書いている。しかも誰でも手に入る情報で書いている。

データは日経新聞 https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/
東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
東京都
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/…
ジョンズホプキンス https://coronavirus.jhu.edu/map.html

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