お腹の底から熱くなる話(店)

至高なり
カレー赤坂
エチオピア

冒頭から謎の一句。
唐突すぎて何のことだか分からないのも無理はありません。
誤解の可能性があるのでどっちみち解説が必要なのですが・・・。
意味はシンプルなのです。

    『赤坂で食べるエチオピアのカレーは最高だ』

です。

誤解の可能性があるというのは、
高田馬場とかの有名なカレー「エチオピア」という店名を
指しているわけではないということ。
赤坂で有名な「safari」という、
アフリカ・エチオピアのカレーがピカイチな料理屋のことです。
7、8年前くらいに職場が赤坂付近に移転して以来、
ランチにいろいろ食べましたが、

    カレーならココです、完全に。

普段インドカレー大好きを公言してますが、

    ココです、完全に。

無水でとにかくたまねぎを煮込みまくる、
インドらへんとは違うスパイス使い、
スパイスやハーブ類の組み合わせなんかは
地域性(もしくは国民性?)があるのはとても面白いですね。
最初は、

    エチオピアのカレーかぁ、珍しいなぁ

と思いましたが、数年赤坂を巡っていると、
赤坂の多国籍具合に触れ、「珍しい」という感覚は完全にマヒしてきます。
場所柄、江戸期より花街として隆盛を極めた赤坂。
特徴のある、統一感のある料亭など、
ちょっと歩いただけでその片鱗を感じることができます。
(政治家たちにも重宝されたというのも場所柄ですね)
と同時に、韓国街としての歴史もある赤坂。
新大久保に行かなくても十分韓国料理を満喫できるレベルです。
中国系も多いですが、そのほかのアジアや、アフリカ、欧州、南米など、
恐ろしいほどいろんな国の料理屋がひしめいているわけです。
と思うと、

    エチオピアが珍しい

がどんどん埋もれていきますよね。
でも、味は埋もれません。
味も見た目も究極的にシンプルですが、
そこにはとても純粋な、

    食べるとそれだけで身体が元気になる

料理があるわけで。
それが赤坂のエチオピア料理「safari」で食べられる、

    名物「ドロワット」というカレー料理

なんです。
「ドロ」とは「鶏肉」、「ワット」とは「カレーみたいな煮込んだやつ」
という意味なんだとか。
つまり、日本人感覚で解釈すると「チキンカレー」というわけですね。
しかし、「カレー」というのは便宜的に使うグローバル共通語でしかなく、おそらく現地エチオピアでは単純に「元気が出る煮込み料理」
ということなんではないかと、
ここは勝手に解釈しておいてよいのではないか、と。
ひた暑いエチオピアで暮らすための強靭な肉体を作るための必須な料理。
現地へそんな思いを馳せながら「ドロワット」を食べていると心なしか、
お腹、つまり胃がじわじわとマグマ的に熱くなってくるのを感じます。
慣れてくると(何度か食べ重ねると)辛口にするのですが、
この辛口の具合が絶妙でたまりません。
普段辛いのを割と好む方なので、
この「辛口」が別段とても辛いわけではないのですが、
唇や口の中がホットになるタイプではないので、
即効性のある辛さではなく(おそらく)、或る程度の時間差でもって、
胃をいい意味で刺激しくさります、
つまり熱を帯びてくるわけですね。
インドカレーを食べていても同様の感覚にはなりますが、
この「ドロワット」の場合は、
もっと根源的な・・・なんて言いますか、
情熱的でシンプルな感じがします。
上を行くなら、いくらでも辛くできるそうですが、
いつも辛くしてもらうその「辛さ」の程度があまりに絶妙すぎて、

    絶句、絶品デス

まるでこちらの体調・具合を一目見ただけで把握し、
それに合わせて辛さを調整しているんじゃないかと勘繰るほど。
絶対そんなことはありませんが、もし仮にそうだとしたら魔術師ですね。
赤坂「safari」のオーナーシェフは、エチオピアの魔術師です(仮)。
コロナ禍でオフィス街赤坂も一時的に人が減り、
経営が厳しい中、テイクアウト対応もしながら乗り切り、
2020年の夏には中野にも店舗を出したらしい「safari」。
(現在は少しお客さんは戻ってきている様子?)
日本の夏がどれだけ暑くなろうと、日本の冬がどれだけ寒くなろうと、
夏に食べれば「夏バテ」知らずに、
冬に食べれば「身体の芯から温かく」なる。
「ドロワット」はそんな食べ物なわけです。
2021年の11月、12月あたり、ずっと店の看板が出ていなかったため、
ついに「店を閉めた」と早合点してしまいましたが、
実は身内の事情で急きょお国に帰っていたという・・・。
(2022年の年末、23年の年始辺りも結構休みが長かったような)

「ドロワット」が食べられなくなったら困る、
という話をするためにこんな長文になってしまったわけですが、
そう・・・とてもとてもシンプルな話だったのです。
なんていいますか・・・、

    「食」って大事、ってこと。

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