「勇者ああああ」最終回

「勇者ああああ」の地上波最終回が放送された。

芸人復帰の際に掲げた「もう一度プレゼンをする」という目標は結局叶うことはなかった。


初めて勇者ああああが終わる、ということを聞かされたのは、板川さんと謎解きに行った時のことだった。

理由などは全く明かされず「番組終わるんすよ」とだけ言われた。

「えぇ!?なんで!?ウソでしょ!?」とリアクションを取れば可愛い後輩であったろうと思うが、そういう時にバカになれない可愛くない僕は「あ、そうなんすねー。残念っすわ」くらいの返答をしたように思う。

さも全然食らってませんよ、みたいなツラをして「まあでも、楽しかった…よね?」と上田晋也さんばりの白々しさでその言葉を受け止めていた。


僕が芸人に復帰しようと思ったのは、あるきっかけがある。

これは僕の生配信でも何度も語ってきたことだが、芸人を辞めて1年以上が経ったある日、友人3人と食事をしていたときにふとそのうちの1人が「お前って凄かったんだな。未だにヤマクエのプレゼンが見たい!って言ってる人いるよ」とこぼしたのだ。


友人のその言葉がきっかけで芸人を辞めて以来全く見ていなかったTwitterで「ヤマグチクエスト」と入力し検索をすると、「帰ってきて」「また熱いプレゼンが見たい!」と言った声がいくつもいくつもあった。

僕が精神的に参って芸人を辞めた経緯もあり、勝手に敵ばかりだと思っていた人たちの中に、まだこれだけ応援してくれている人がいるんだと初めて分かった。

その時に、こんな僕でもまたテレビでプレゼンをしたら喜んでもらえる、僕はまだ誰かに笑顔を届けられるんだ、と復帰を決意した。

応援してくれている方々に恩返しがしたい。

その想いだけで復帰した。


つまり、僕にとって「勇者ああああ」が終わることは、初めに記した通り、この時掲げた目標が叶わなくなることを意味した。

なので板川さんにさらっと「終わるんすよ」と言われた時、本当はそれが現実の言葉であるのかどうかすら分からなくなるほど絶望していた。

悔しかったし、情けなかった。

僕は結局、自分の力では何一つ叶えられない、何者にもなれないままなんだなと心から思った。


そんな思いのまま、最終回を迎えた。

最終回の内容はそんな僕の葛藤や苦しみを嘲笑うかのように、いつもと同じように馬鹿馬鹿しくて、頭空っぽで見ていられて、死ぬほど面白かった。

あんなにですよ。さんを急ピッチで登板させまくる番組は他にないだろう。


最後もとても良い意味でヘラヘラと終わり、みんなが笑顔で手を振りながら番組が終わった。

「ヤマグチクエスト」というタレントの全てを形成した番組が終わった。


それでも僕は笑っていた。

なぜだか終わった気がしなかった。

それは、月1の配信が決まっているからとかそういう意味ではなくて、単純に「こんなに面白くてこんなに出演者、視聴者に愛された番組がこのまま終わって良いわけがない」と思ったからだ。

地上波では最終回となったが、番組自体がなくなるわけではない。

配信でプレゼン企画があれば呼んでもらえる可能性もゼロではない。

まだ諦めてはいけないのだ。


勇者ではいろんな思い出がある。

ゲーマーの異常な愛情の初出演の際、板川さんが手応えがなかった僕を収録後に食事に誘い、酒を飲みながら一緒にSwitchで遊び、絶対面白くなりますよあのコーナー、と言って励ましてくれたこと。

「アメリカロケがあるのでパスポートを取っておいてください」と言われ、ウキウキでパスポートを取ったらバラシになり、オンエアを見たら柿本がアメリカロケに行っていたこと。

憧れの桝田省治先生の目の前で「俺屍」のプレゼンができたこと。

大勇者ああああで、にゃりあい君が優勝できなかったばかりに課金額の3万円をなぜか僕が自腹で払ったこと。

アルピーのお二人に出会えたこと。


番組の4年間の歴史で僕が関われたのは初めの1年間だけだったけど、それでも「ヤマグチクエスト」というタレントにとってはその1年間が全てだった。


地上波ではもうできないかもしれませんが、僕はもう一度勇者ああああの歴史に足を踏み入れたい、プレゼンをしたいという想いが強くあります。


これからも1番組ファンとして、1出演者として復活を心より願っています。

ひとまず、アルピーさん、スタッフさん4年間本当にお疲れ様でした。


そしてどうか、ヤマグチクエストをよろしくお願いします。


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