見出し画像

好きなことがないとダサい… なんて思いたくないのに。

Matcher(マッチャー)というサービスで就活相談を受けることがあるんですが、最近気になっていることがあり、先日つぶやきました。

「やりたいこと、無いんです…」って言える子だったら、まだわかりやすいです。一方で、なんとか無理くり考え、伝えようと必死な子もいる。そういう子を見ていると、好きなこと、やりたいことがある人と比較して引け目を感じているように感じます。

「好きなことがないとダサい… なんて思いたくないのにそう思ってしまう。そして、そのダサい側に自分がいる」

その気持ち、置かれた状況、すごくよくわかります。

良いか悪いか、僕にはわかりませんが、そんな子に会うとついこんな言葉をかけてしまいます。

「やりたいこと、好きなこと、いま無くてもぜんぜんいいと思うよ」

最初は「え?」っていう顔をする学生が多いんですが、無理にやりたいことや好きなことを掘り出すようなコミュニケーションを続けるよりも、この言葉をかけてあげた後の話のほうが本音が聞けて、盛り上がり、自然体な答えにたどり着くことが多いなと感じます。


好きなことを答えても、すぐに忘れる

僕自身が就活していた時や社会人になったばかりの時は、自分自身、出会う人、相談を持ち掛けてくれる子、みんなに聞かれ、僕もみんなに聞いていました。やりたいこと、好きなことは何?と。

子供の頃に夢中になってやっていたことは?もしお金の心配をしなくていいと思ったら本当は何がしたい?あと数か月で死んでしまうと告げられたら、何をする?

そんな質問をたくさん浴びてきましたが、たしかにそれなりの答えは出てきます。その場では話も盛り上がり、テンションも上がります。ただ、寝て起きて、さらに数日も経てば忘れてることがほとんどでした。そして、またやりたいことや好きなことがない状態に焦り、相談したり自己分析をしたり…を繰り返す。

そんななかでいくつかやりたいことが見つかったと思っていたんですが、今思えば「それをやりたいと言うと、周りがちやほやしてくれるから」「目立てるから」と選んでいたというか、むしろそんな風に選ばされていたことだったんじゃないかなと思います。


好きなことがない人は、ダサい…

この当時、ある思い込みに駆られていました。

やりたいこと、好きなことがないとダメ。

やりたいことや好きなことがある人がいい感じ。そうじゃない人はダサい。


そんな考え方でいることに疲れてきたある時、桜林さんの記事世界は「夢組」と「叶え組」でできているを読みました。

夢中になる能力がある「やりたいことがある人」を「夢組」だとしたら、やりたいことがない人は「叶え組」だ。

このふたつはチームになるといいと思う。仕事でも夫婦でも、「夢組」と「叶え組」はお互いに力になれるし、自分にはない能力を持っている相手を大事にできる。

自分が「夢組」なのか「叶え組」なのかわかっていれば、無理して自分とはちがう何者かになろうとしなくてすむ。

初めてこの記事を読んだ後、無理やりになんとかして「夢組」になろうとしていた自分に気づき、肩の力が抜け、心が救われた気がしました。


この記事の良いところは、そうした思い込みから解放してくれるだけではなく、「夢組」と「叶え組」の説明に加え、「叶え組」の複雑な心境も代弁してくださっている点

「やりたいことがない人」も、やりがいはほしくて、やることに意味がほしい。あなたがいるから助かる、あなたがいないと困る と言われたい。

「叶え組」の本人が言葉にできない、あるいは伝えづらい心境をまさに言語化してくれていると感じました。


じゃあ、いま夢中になれることがない人は皆「叶え組」なのかと言えば、そうではない。というのも、夢中になれるものが見つかるまでの間の潜伏期間のようなものもあると思います。

その潜伏期間を経て、夢中になれるものを手にした方の例として挙げさせていただくのが、マザーハウス 代表取締役兼チーフデザイナーの山口さん。

画像1

「毎日違う結論が出ても、最後まで考え続ける」
一人でグルグル考え、日ごと、違う結論を出していました。途中でいろんな人の意見を聞くたびに、あっちかな、こっちかなとグラグラ揺れて、純度の高い自分の気持ちを研ぎ澄ますまでに、ずいぶん時間がかかってしまった。

そして、出た結論は、「私、やっぱりチャレンジしたい」。
山口絵理子 個人か組織か「わがままはエゴじゃない」|日経doors

山口さんのお話は一例ですが、日々いろんな感情や出来事が混ざっていくなかである時から「夢組」に…というロールモデル。

就活や転職の相談を受けるうちに、「いまは夢中なことがなくて、いつか自分も「夢組」に…」という方は多いんだなと感じました。今は今で納得しているけど、いつか山口さんのように夢中になれることを見つけたい、と。

そして、そういう方に僕がお話できることはだんだんと限られていき、いまは決まってお伝えしていることがあります。

それは、「夢中になれることを見つけたいけど見つからない時期の過ごし方」について。この時期の過ごし方がすごく大切だなと思っていて、いつも僕なりの提案をしています。

提案なので、もちろんこの話をしてどうお感じになるかはそれぞれと思いますが、お話すると熱心にメモを取りながら聞いてくれて、喜んでくれる方が多いので、少し書かせていただきます。


答えが出ないときは、無理をしなくていい

夢中になれることを見つけたいけど見つからない時期は、むやみに行動したり無理に答えをだそうとしなくてもいいんじゃないかなと思っています。一方で、そういう時期の過ごし方には僕なりのプチ戦略があります。


ⅰ 嫌なこと、苦手な種類のストレスに遭遇しにくい環境に身を置く。

まずは、自分が認知している範囲の余計なストレスから自分を遠ざけてあげる、あるいはそういう環境を選ぶことが最初のステップ。

加えて、まだ明確に打ち込みたいことが見つかっていないのに、わざわざ忙しい業界や業務量が多い環境に飛び込まなくてもいいんじゃないかなとも思います。

可能な限りノイズを避けて、時間的・感情的にも余裕を作れると、自分の興味・関心がより感じ取れるようになります。


ⅱ 余白を活かして、知らない場所へ出向く。

なんとなく興味・関心があることが見えてきたら、時間的余裕(余白)を活かしてそれにトライしてみる。

これまでやったことがないことにトライすると、多面的に新しい感情・自分が引き出されて意外な気づきがあったりします。

自分自身の手で広げられる世界ってすごく限られるのと、探しているものがその中に無いから困っているのだから、自分が知らない自分を引き出してくれるような出来事、人、場に出向くことが大切だと思います。


ⅲ できることを活かして、場に加わる。

いろんなところへ出向き、新しい体験をしていく中で、おもしろいと感じる場所や惹かれるコミュニティに出会ったら、「今の自分にできること」「人よりもスムーズにできること」でその場やコミュニティに貢献する。

このとき、自分にとって完璧な場所、人、ものは無いという前提で出会うものを捉えることが大切だと思います。コントロールできないものは受け入れて、コントロールできるものは変えていく。尊重しながら、主張もする。そうやっていきながら、場も自分も変化する中でアジャストしていけば自分に合う環境は創れる。


ⅳ できることが増えると、選択肢が増える。

頑張っていると、できることが増えていきます。そうすると、自分が担えるものも変わるし、付き合う人も変わってきます。やがて視座が変わり、これまで身の回りにあったけど意味を感じなかったことに意味を見いだせるようになったり解像度高く観察することができたりするようになります。

ここまでくると、以前とは違うことに興味を寄せたり関心を持つようになりして、やりたいことや大切にしたいことが少しずつ見えてくることがあります。


ⅴ 小さく始めてみる。

新たに関心を持てることに出会えたら、一気にそこにのめり込もうとしなくてもいいと思います。安定を確保しながら、少しずつ体験してみる。試してみる。おもしろかったら、少しずつ割合を増やしていく。

リクルートワークス研究所では、転職も今後そのようなスタイルに近づいていくと発表しています。

画像2


ここで大切なのは、小さくてもいいから一歩踏み出すこと。なぜなら、情報量が膨大で感情も敏感になりがちな現代においては、溜め込んでおくとどんどん新しい情報や感情が上積みされていって、あっという間に忘れてしまうからです。たとえ、それが大切な感情だったとしても。

博報堂が展開するWEBマガジンで取り上げられていた「欲求流去」という言葉に置き換えると、より身近に感じていただけると思います。

 買物欲はあるが、その欲求はメッセージアプリのタイムラインのように、常時更新されていく。結果、欲求は大きくなる前に流れていき、買物に結びつかずに消えていく──。その現象がすなわち欲求流去である。「モノが売れない」と言われるのは、欲求があるのにそれが流去しているからだということだ。

さらに、欲求流去の実態についてさらに詳しく見ていくと、「この半年間を振り返り、ある商品を“欲しい”と思ったにもかかわらず、いつの間にかそのことを忘れてしまったり、欲しいという気持ちをなくしてしまったりする(欲求流去)経験はありますか?」という質問に、75.1%が欲求流去の経験があると回答。うち約7割が「この1~2年で欲求流去が増加している」と認識している。

(『【キーワード解説】「欲求流去(よっきゅうりゅうきょ)」-博報堂買物研究所 山本泰士|博報堂WEBマガジン センタードット』より)


ⅳまでうまく進んできても、ⅴで小さく始めることをしなければ時間とともに興味・関心が忘れ去られていって、またⅰを始める前に戻ってしまうので要注意です。

ⅳで新しい興味・関心を捉えたときにフットワーク軽く動ける時間と意識を用意しておくことを忘れずに。


まとめ

最後までご覧いただき、ありがとうございます!

自分のキャリアや働き方を考える際、さまざまなドキュメンタリー番組、本に登場する方やエピソードも参考になりますが、より身近な方々のエピソードのほうがリアルに感じられるときもあります。

公募制キャリアインタビューメディア「CREEDO」、29歳以下世代のためのコミュニティ型メディア「U-29.com」では、社会で活躍している方のさまざまな転機・物語に触れることができます。

こうしたコンテンツに触れ、いろんな生き方、働き方、キャリアモデルのサンプルを集めていくと、情報や世間体に左右されることなく、納得感や安心が醸成されていくのでお勧めです。


また、僕が本業で勤めている株式会社オンリーストーリーは「一人一人のONLYSTORYを実現する」を合言葉に、関わるクライアント企業(法人)とメンバー(個人)をはじめとするすべての人が自己実現・目標実現をできるような環境づくりを行っています!

転職先や就職先をお探しの方がいれば、お気軽にご連絡ください^^


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?