価値観

クリエイターは知っておくべき、「価値観は移り変わる」ということ

どうも、多摩美術大学統合デザイン学科のやまかずと言います。

色々考えてたらクリエイターの本質が少し見えてきた。正解かはまだ分からないけど、クリエイターなりたての人とかは是非最後まで読んで欲しいし、間違ってたら教えて欲しい、だからこそ共有します。ただ合っていれば読者の方の今後の活動の核になるだろうと思っています。

結構前に大学の先生が「デザインで人の価値観を変えることが、価値だ。」っていう話をされてたんです。

自分はずっとこの意味が分かっていなかったんですが、チームラボの猪子さんの話を聞いてやっと理解することが出来ました。


価値観を変えるとは

アートが分からない堀江貴文さんに最先端のアートチームの代表、猪子さんがアートについて非常に分かりやすく、噛み砕いて語ってる記事がありました。下記はその重要な部分の要約です。


-----------------------------(要約始め)

アーティストとサイエンティストは同じだ。

サイエンティストは、「人類の見える範囲」を広げてきた。

アーティストは、「人類の世界の見え方」を変えてきた。

例えば、今の人は、「雨を描いてください」と言われると雨の絵を描くと思います。でも、1877年にパリで描かれた有名な絵『パリの通り、雨』には雨の絵はない。雨の情報は、ぼやけた空間と傘を差している光景、それと濡れた路面だけ。当時の人には雨はこう見えていた。

(「パリの通り、雨」ギュスターブ・カイユボット 1877)

ちょうどそのあたりの年頃に日本では浮世絵師が雨を世界で初めて線で描いている。中でも有名な歌川広重が描いたのはこの作品。

猪子さんの推測は、「人間は過去まで遡って、目を縦横無尽に動かしたりして見た映像を脳で再構築しており、当時の日本人はこの再構築スピードが遅いため、パースペクティブ遠近法のないようにこの世が見えたし、線でものは見えていた。」というものです。この絵は描かれた後、有名になり、世界的に影響を与えた。パリの人々は雨が線に見えなかったため、それがとても新しく見えたらしい。

(「大はしあたけの夕立」歌川広重 1857)

こういう作品が世界に広がっていくと、みんな「雨はこう見えるんだ」と思ってしまい、結果世界の見え方を変えてしまう。つまりアーティストは「人類の世界の見え方」を変える。

(要約元:【対談】堀江貴文×チームラボ代表・猪子寿之が語る「アートが変える未来」

-----------------------------(要約終わり)


この内容をイメージ化すると、こうなります。

自分はこの記事で、「デザインで人の価値観を変えることが、価値だ。」っていう話は、「アートは人の見え方を変える」って話に繋がるんじゃないかと思ったんです。

また、その後に、猪子さんはアンディ・ウォーホルが世界を変えたことについて話しています。


-----------------------------(要約始め)

産業革命が起こり、大量生産が可能になり、安価にいい製品が消費者に届くようになった時代の初期は、お金持ちはオーダーメイド服を買うのが主流だった。誰もが、かっこいい大量生産物を評価せず、オーダーメイドこそ素晴らしい、セレブだという価値観がそこには存在した。

そんな時代にアンディ・ウォーホルは、キャンベルスープ の缶のイラスト版画と、マリリンモンローの肖像画の版画を大量生産品と同じように大量に制作し、並べて展示した。キャンベルスープ は当時大量生産されていた物だった。

その作品を、当時の人々は評価してしまった。セレブだからかっこいいのではなく、「みんなが知っているものはかっこいい」という概念はここで作られた。そんな概念、美の基準がこの時代に出来てしまったため、それから既製品でも高級品は売れるようになった。

それまで既製品は大量生産されるものだから、かっこ悪いから、高級品として売れなかったのに。

(要約元:【対談】堀江貴文×チームラボ代表・猪子寿之が語る「アートが変える未来」

-----------------------------(要約終わり)


この話を聞いて僕はすごく驚きました。今自分たちにはこの概念・価値観がインストールされてるからこれは当たり前ですしね。

また、この価値観の移り変わりっていうのは哲学の思想変化の話に似てると思いました。

ソクラテス以前の時代は、「全ての物事は神のせい。天変地異が起これば神のせい。物理現象は神のせい。悪いこと、怒ることも神のせい。神の魂が体に入って悪いことをしてるんだ。」っていう時代でした。(ホメロス・ヘシオドスの思想の時代)ただ、ソクラテスの思想が導入されたことで、魂は理性的なものとして捉え直され、過去の思想は無くなりました。

こんな感じでアート以外でも、価値観のような、根本的な考え方が人にはインストールされるんだなと驚きました。

これを考えてると、落合陽一さんがデジタルネイチャーって思想を広めようとしている理由もなんだか分かってきました。他に、有名なモテクリエイターのゆうこすさんもLivePicksで「モテたいアピールをする人が、「何してんの?」って思われるけど、それでもいいんだよってことを私が証明している。」って言われてたんですけど、これも価値観のシフトを促してるいい例だなと思いました。

そういえば、考え方を変えたのは、デザイナー、サイエンティスト、思想家だけではないぞと、さらに自分は思いました。例えば、お笑い界でいうとダウンタウン

彼らはハイスピード漫才が流行っていた時に、遅いテンポで普段通りにトークしたんです。それで漫才界にはゆっくりの漫才が流行ったとよく聞きます。

みんながダウンタウンを面白いと評価するから、みんな「遅い漫才いいね!」っていう考え方にシフトしたんです。

他にクリエイターでいうと電通のえぐちりかさんの手がけたcm、「PEACH JOHN」とか。

スカートをめくれることが一般的には下品だと言われますが、彼女の作品は、美しいモデルさん、美しい編集、音楽、洋服によって「美しい!」と言えるまでになってます。賛否両論出ますが、価値観を変えるってことはこういうことが普通起こります。

他に、美人の価値観の変化も似ていると思います。下記の動画は100年間で日本の美人の定義がいかに変わったかを表現してるものです。

これもどんどん価値観がシフトしているからこそ起こっている現象だと考えられます。


おっとすみません、どんどん他に展開していってましたね笑

立ち戻るってみると、猪子さん代表のチームラボの思想は、デジタルアートより物質としてのアートの方が評価されるけど、その価値観を変えたいっていう物でした。

あと物質的にあるかないかは価値として重要じゃない。デジタルでできる美は、今までの美とは違うってことをいろいろと提示しているわけで、それも世界では、美の基準を変えるかもしれないと思われています。50年後、100年後に、21世紀前半に誰が一番美の基準を変えたかってなった時に、チームラボになるかもしれないわけなんです。(引用:【対談】堀江貴文×チームラボ代表・猪子寿之が語る「アートが変える未来」

これも考え方・価値観を変えるために活動してるプロジェクトですよね。


ここまで紹介してきた「価値観を変える行動」に共通して言えることは、「みんながダメだとしているもの」を「価値」変えることでした。これまでの例を見てれば価値観を人間は難しいけど取り入れることは可能だということがわかります。日常の話と繋げると、学校で教授が「質問あるひと〜?」って言って手をあげる人なんてほぼ居ないんですよ。いても100人中1,2人くらい。でもアメリカだとバンバン手を挙げるし、日本でも小学生とかバンバン手を挙げるんですよ。これも価値観が違うから起こるんだと思います。



価値観を変えることは重要なのか

ここで深掘りして考えないといけないのは、価値観を変えることは重要なのか?これを知ることで、自分はいかに行動すればいいか今後の指針が立ちます。

その疑問に自分はこう答えます。「この世には明らかに間違ってるのにまかり通っているもの、また時代性によって変化しなければならない考え方が存在しているからそれは重要だと自分は思います。日本だと、年功序列や、同一化思考が前者にあたるのではないかと思います。後者は落合陽一さん。」

また、これ以外にも発展して考えると、自分だけが好きなものってありますよね。そういうものだってこの考え方だと、有名になれば世界の通常にだって出来るんですよ。人間は価値観なんてスルスル入っていくものなんです。だから「これがかっこいいんだよ」って提案していくことが、クリエイターの役目なのではないかと自分は悟りました。

よって、これが本質だと思います。

価値観を提案していくことがクリエイターの役目



価値観を変えるには

再び猪子さんの話に戻ります。YouTubeホリエモンチャンネルで猪子さんが話していたことがあって、それは「誰かが成功すれば価値観が変わる。」です。

堀江貴文さんはロケット事業をしてるけど、なかなかお金が集まらない。しかし、イーロン・マスク氏が成功してくれそうなおかげでお金が集まるかもしれないとおっしゃってます。これも誰かが成功して、「ロケット開発が儲かるのではないか」と他人に思わせることが出来てるから起こっている事です。これも価値観のシフトではないかと自分は思いました。

そういえば、ダウンタウンだって面白くなければただの遅い漫才をする人。遅い漫才が凄いなんて誰も思わないでしょう。歌川広重の作品に新しい!凄い!ってならなかったら、線の雨は見えなかった。アンディー・ウォーホルの作品に凄いと思わなければ、大量生産時代は上手くいかなかった。

つまり、価値観を変えるためには、

「価値観」+「何かしら絶対に評価されるべき要素」

という公式が必要だと自分は推測しました。

例えば、このバズツイートが先ほどの公式に当てはまってるのではないかと思いました。このツイートには「アジシオかっこいい!」「アジシオ惚れたww」ってコメントが来てます。普通評価されないアジシオを、「絶対に評価されるべき要素」である「水に落としたもののハイパースロー撮影」を掛け合わせることで、アジシオの価値観を変化させている良い例だと思いました。


また、価値観を変えたいってモチベーション、衝動がないならば下記のことを考えればいいのではないかと自分は思いました。前項(価値観を変えることは重要なのか)で、好きなものを価値観として広めれれば、自分の好きな世界に出来るって話をしたんですけど、だから、価値観を変えるのは楽しいんだと思います。変えた人って基本有名になれるから、承認欲求も満たされますしね。価値観変えるの楽しい!って思えればいいんじゃないでしょうか。

価値観変えるの楽しい!

以上です。



あとがき

あと、ここで話をしたことに加えて、今ある価値観を知ること・これからの価値観はどうあるべきかっていうのを考えるのは重要だと思います。だからこそ、歴史や未来については学ばないといけないなと今は思っています。


最後まで読んでいただきありがとうございました!

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