トラックの後ろに…

これは会社のOさんから聞いた話。 

Oさんは前職が大型トラックの運転手で

10t車に荷物を積んで主に東日本方面を走って居た。ある日長野から会社へ帰って来たら

同僚のAさんが青い顔して少し震えながら

Oさんに話しかけてきた。

「あの道はやっぱりヤバいわ。」

「ん?どこの道だよ?」

「あの島根から広島へ抜ける例のトンネルの有る道だよ。」

「ああ、県道423号線か…確かにあそこは

俺も走ったけど気持ち悪いよな。」

「本当は島根で荷卸ししてそのまま帰るとこだったけど、広島行きの急な荷物が出て

受けちまったんだよ。」

「でもお前、ドライバーがお化け如きにびびれるかよって何時も言ってたよな。」

そうよ、俺も昨日まではそっちの話なんか全く信じてなかったよ。 あいつを見るまでわな。」

「何だよ、あいつって? どうせ狸でも見間違えたんじゃないか。」

「いや、あれは有り得ない…特に10t車ではな…」

「ほう、聞いてやるから話して見ろよ。」

「あれは島根で荷を降ろして、一服していたら

会社から電話で急な広島行きの便が出たから

悪いが走ってくれないか?と…まだ体力的に行けそうだったから2つ返事で受けたんだよ。そのまま荷物を積みに出雲の工場からそのまま広島へ走ったんだ。夜だったから交通量も少ないから高速を使わずに下道を飛ばしてな。」184号線から54号線に入ってしばらく走ってると、モニターに違和感を感じる。

当時はまだバックカメラが主流では無く、会社が安全の為に後付けしている事が多く、運転席に大きなモニターが備え付けてあった。そのモニターに先ほどからちらちらと何かが見えていたと言う。

カメラにゴミ袋でも引っかかっていたんじゃ無いのか? と笑う。

俺もそう思って一旦車を停めてバックドアを見たんだが、何も引っかかって居ない。

おかしいと思いながら、また走り出したんだ。するとまたちらちらと今度は花柄のような柄まではっきり見えた。

なんなんだよと思いながらそのまま走り続けた。するとその花柄からにゅーと真っ白な手が伸びてきておいでおいでと手招きする。

その手を見てぞくぞくと背骨が震える感覚を感じる。出来るだけバックモニターを見ずに居るがやはり気になる。目の錯覚だと思い込みもう一度モニターを見ると白い手に力が入りまた真っ白な幼児の顔がモニター一杯に写りニヤリと笑った。運転席で叫び声を上げながら必死でハンドルを握った。

広島に着き真っ先にカメラを見たが何も居なかったがただカメラの横に小さな手形が一つ

着いていた。

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