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空の高さ、空の色

私の地元に居た頃、結婚前の旦那がよく「ここは空が低くて気が滅入る」と言っていた。当時の私は大学の4年間東京に暮らした後ではあったが、正直「何言ってんだ」と思っていた。確かに私の地元は1年を通して降水量が多く、雨は降っていなくても曇り空の事が多い。すっきり晴れた青空が少ないのは確かだったけど、低いって何だよ、と思った。別に私はめちゃくちゃに地元愛が強い訳ではないのでディスられた気がしてムカついたという訳ではない。 

結婚後また東京に数年暮らし、そんなに空の違いを意識した事は無かった。今回の引っ越しで東京を離れて数日経ち、今日ふとベランダで洗濯を干す合間に空を見上げてみた。
入道雲なのか違う雲なのか分からないけど、青空に沢山白い雲がむくむくと浮かんでいて、その凹凸と言うか陰影がやけにくっきりと見えた。すごく遠くにある筈なのにものすごくはっきり見えて、ちょっと怖い位だった。部屋が3階で近くに遮る高い建物が無いせいもあるのだろうけど、何と無く空が高いという感覚が分かった気がした。(写真撮るのは忘れたので全然ここの空ではない)
そして、ああ私は地元でも東京でもない見知らぬ土地で見知らぬ空の下に居るのだと、改めて思った。
諦めと心細さと不安と、少しだけ未知への期待。

ここに何年暮らす事になるのかは分からないけれどまだ少し赤の他人のような部屋が当たり前の空間になり、色んな場所や道を覚え、空も見慣れた空になってゆくのだろう。そうして以前当たり前だったものや場所の方の記憶が薄れていき、過去になってゆく。

とりあえず、子を乗せてチャリに乗るのめちゃくちゃ怖ろしいので早く慣れたい…。

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