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お別れはい草の香り

約4年住んだ家から引っ越した。
午後3時頃から引っ越し作業がスタートし、冷蔵庫やら何やらがどかされるとそれはもうひどい埃で(あと台所にはやたら米が落ちていた)恥ずかしかった。

ベランダ側は和室二間の間取りで、どちらにも木製のフローリングカーペットを敷いていた。それもまた引っ越し先で使うので引っ越し業者の方に丸めて積み込んで貰った。
カーペットの下の畳がカビでひどいことになっていたらどうしようと内心ビクビクしていたのだけど、捲ってみると入居した時の新品の状態とほとんど変わらなかった。そしてカーペットを敷いて生活している間は全然しなかったい草の良い香りが途端に部屋に立ち込めた。

引越してくる数日前、そのカーペットが届くのを何も無い部屋で一人待っていたのを思い出した。運送会社が混み合っていたか何かで中々指定の時間帯に届かず、先に電気ストーブが届いたのでそれを付けて暖を取りながら机も何も無い部屋で年賀状を書いていた。あの頃はまだ子も居なかった。

4年も住んだ部屋はがらんとしてもう私達の家ではなくなった。さっきまで生活していた部屋が急に赤の他人になったようで不思議だった。しばらくは電気も灯されないまま、また誰かの家になるのを待つのだろう。
いい人に住んで貰えるといいね。(あんまりマメに掃除しなくてごめんね…)

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