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訪問看護ステーションとの効果的な連携を考える - チーム医療の質の向上を目指して

こんにちは、やまとドクターサポートの原田です。毎週開催している「15分間の医師カンファ」では、現場での気づきや悩みをテーマに、やまとの全診療所の医師が様々な視点から解決策を考える場を設けています。今回は、訪問看護ステーションとの連携のあり方について話し合いました。

課題背景

訪問看護ステーションとの連携強化は在宅医療の質を高める上で重要です。多くの診療所で定期的なカンファレンスを実施していますが、その運営方法や効果については様々な課題が挙げられています。

カンファレンスでの意見交換

A医師(問題提起):「当院では5つの訪問看護ステーションと月1~2回のカンファレンスを実施していますが、課題を感じています。1つのステーションにつき20~30分の時間を取っているのですが、時にはディスカッションが活発になる一方で、MCSでのやり取りを単に確認するだけになってしまうこともあります。せっかくの対面での時間をより有意義に使う方法について、皆さんのご意見を伺いたいと思います。」

司会:「なるほど。具体的にモヤモヤする点はありますか?」

A医師:「MCSの内容を単に確認するだけになってしまい、『そうですね、では引き続きお願いします』といった表面的なやり取りで終わってしまうことがあります。顔と顔を合わせる貴重な機会なので、もっと有効活用できないかと感じています。」

B医師:「私たちの診療所では、特に重症困難事例を担当している訪問看護ステーションとカンファレンスを実施しています。昼休みの15~30分程度で行い、以下のような工夫をしています:

  1. 事前に対象患者のリストを共有

  2. 医師側から特に相談したい事例や細かいニュアンスを伝えたい患者を選定

  3. 看護師側からも気になる点や質問がある患者を選定

  4. それらの患者に焦点を絞ってディスカッション

今後は、方針に迷うようなケースについては臨床倫理の4分割法なども活用してみたいと考えています。」

C医師:「当院でも定期的なカンファレンスを実施していますが、MCSの内容は既知として、『どうしましょうか』から始めるようにしています。問題のない患者はさらっと終わらせ、課題のある患者に時間を使うようにしています。また、MCSには載せられないような些細な話や笑い話も、実は信頼関係構築の上で重要だと感じています。」

D医師:「私たちの診療所では、事前にアシスタントを通じて話し合いたい患者を選定しています。基本的に訪問看護師側から話したい患者を中心に進めていますが、1人の患者に20分ほど使ってしまい、予定の30分を超過することも多いです。今後、訪問看護ステーションを増やしていきたい一方で、時間調整の難しさを感じています。」

E医師:「お互いの価値観が見えるような会話を重ねることは非常に重要だと感じています。当院が連携している訪問看護ステーションとのカンファレンスでは、30分の中で4~5人の患者さんを取り上げますが、1~2人については本音で意見をぶつけ合い、次の診療でのアクションまで決めるようにしています。これには事前の準備や意思疎通が重要だと感じています。」

F医師:「私の場合、カンファレンスの進め方に課題を感じています。ファシリテートのスキルが十分でないため、話題の振り方や問題の抽出がうまくできません。現状では顔合わせの場になりがちで、突っ込んだ話は担当者会議や初回訪問時に行うことが多くなっています。」

G医師:「最近、小規模な訪問看護ステーションが増えており、連携の難しさを感じています。従来からの関係の良好な2~3のステーションとは密に連携できていますが、新規のステーションとは温度差を感じることもあります。医師会を通じて何らかの対策が必要かもしれません。」

H医師:「当院では6つの訪問看護ステーションと週1回または2週に1回のペースでカンファレンスを実施しています。特に以下の点を意識しています:

  1. 重要な患者については電話でニュアンスを直接伝える

  2. 看護師に対して答えを押し付けず、必ず意見を聞くようにする

  3. 医学的判断だけでなく、看護師の考えや希望も重視する

このようなアプローチにより、看護師のスキルアップにも繋がっていると感じています。」

おわりに

訪問看護ステーションとの連携、特にカンファレンスの運営については、各診療所で様々な工夫がなされています。単なる情報共有の場ではなく、チーム全体のスキルアップや信頼関係の構築につながるような場として活用していくことが重要だと考えられます。今後も各診療所での経験を共有しながら、より効果的な連携の形を模索していきたいと思います。