医師のキャリアにおけるモチベーション維持 - 専門医取得後のキャリアパスをどう描くか?
こんにちは。やまとドクターサポートの原田です。毎週開催している「15分間の医師カンファ」では、現場での気づきや悩みをテーマに、やまとの全診療所の医師が様々な視点から解決策を考える場を設けています。今回は専門医取得後のキャリアパスについて話し合いました。
Take Home Message
年代やキャリアステージに応じて、目標設定とモチベーションの源泉は変化する
20~30代は専門性の確立と新たな分野への挑戦、40代以降は指導的役割や地域医療への貢献が主軸となる
キャリアチェンジのタイミングは30代後半から40代がベスト
資格取得や教育活動など、具体的な目標設定が継続的な成長を支える
カンファでの意見交換
A医師:「家庭医療や総合診療の領域では、3~5年でレールが終わってしまいます。その後のキャリアパスをどう描くか、皆さんの意見を伺いたいと思います」
B医師:「年代によってキャリアの考え方も変わってきますよね。まず20代の方々は、どのように考えていますか?」
C医師:「私は7年目の若手ですが、まずは内科専門医を取得し、その後緩和ケアを学びました。20代のうちにできるだけ多くの経験を積もうと思い、今は在宅医療に携わっています。ただ、この先どのようにキャリアを発展させていくべきか、まだ模索中です」
B医師:「なるほど。30代の先生方はいかがでしょうか?この時期は特に重要な分岐点だと言われていますが」
D医師:「医師10年目になります。30代は体力も気力も充実していて、新しいことへの挑戦もしやすい時期だと感じています。私は常に次の具体的な目標を持つようにしていて、現在は総合内科専門医の取得を目指しています。また、若手の指導にも関わり始めました」
E医師:「私は救急科出身で12年目です。救急は比較的早く一人前になれる分野なので、30代に入ってから新たな挑戦を考え始めました。今は在宅医療にも関心を持ち始めています。30代後半は本当にキャリアチェンジの重要な時期だと実感しています」
B医師:「40代以降のベテランの先生方は、キャリアについてどのようにお考えですか?」
F医師:「私は医師21年目です。20年近く外科医として経験を積み、専門医や学位を取得しました。40代でのキャリアチェンジは決断のタイミングとしては遅い方でしたが、3年前に在宅医療に転向しました。待遇面でも満足していますし、他職種との協働という新しい経験が、私にとって大きな刺激になっています」
G医師:「私は30年以上のキャリアがありますが、産業医の上級資格取得など、新たな目標を持ち続けることが重要だと考えています。40代以降は、単なる転職ではなく、これまでの経験を活かせる場所を選ぶことが大切です」
H医師:「42年のキャリアがあります。最近は新しい薬や治療法が次々と登場するので、それらを学ぶことが日々の目標になっています。また、2025年度から始まる医師の学び直し支援事業にも興味があります。後進の育成にも力を入れていきたいと考えています」
I医師:「40代半ばですが、医局に残って高いポストを目指すか、医局を出て好条件の職場に移るか、開業するかなど、様々な選択肢を検討しています。この時期は経験も実績も十分にあるので、自分の理想とする医療を実現できる場所を選びたいと考えています」
実践的なアプローチ
キャリアステージに応じた目標設定
若手:専門医資格の取得
中堅:新たな分野への挑戦
ベテラン:後進の育成、地域医療への貢献
モチベーション維持の工夫
定期的な資格試験への挑戦
教育・指導者としての活動
他職種との協働
地域医療システムの改善
成長の機会の創出
新しい治療法や薬剤の学習
他分野との連携
指導医としてのスキル向上
おわりに
医師としてのキャリアにおいて、モチベーションの維持は永遠の課題といえます。初期のレール型の成長から、自ら道を切り開く探索型の成長へ、そして経験を重ねる中で日々の診療に深い意義を見出す段階へと、モチベーションの源泉は変化していきます。大切なのは、自分なりの目標を持ち続けながら、常に新しい学びや成長の機会を見出していくことなのかもしれません。