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がん様々 17 副作用の山場を見極める

がん患者による、がん患者のための、
がん治療マニュアル


3章 抗がん剤治療•後半戦

4 ドセタキセル&ハーセプチン 第2回目 治療前の食事がとれず焦る私

抗がん剤治療用の栄養摂取が重要な抗がん剤投与日は、人間の身体は細胞の塊であることを、より感じさせてくれる日でもありました。

投与日は結構忙しいのです。
受付をして、抗がん剤治療ができる状態かを判断するための採血をし、採血の結果上がり待ちと共に腫瘍内科の受診待ち。治療ができると判断されたら抗がん剤が準備されるのを待ち、ベッドが空いたら抗がん剤投与開始。
病院により違いはあると思いますが、大体がこのような流れです。

そしてこの日の私、食べるタイミングを逃し、抗がん剤のための栄養過剰供給ができない…と焦っていました。その焦りは的中、夕方のメモに「気持ち悪いが吐き気はない、頭痛続く」と記されていました。

吐き気はないが、気持ち悪い。気持ち悪い…これが起きるかどうかで、副作用を乗り越える数日間の様子が変わるのです。

後半の抗がん剤治療の副作用で最大に厄介となったのが、1回目で強く出た、踵痛、関節痛、手足の浮腫。抗がん剤の回を重ねるごとの蓄積で、症状は強くなると言われていました。

2回目の投与では、投与日夜から、手足の浮腫と足首痛で寝にくくなり、3日目には、踵と足裏と手に痛みと浮腫が出て、歩きにくさが起きました。関節痛のお薬を服用し、関節痛対策のストレッチと極軽めのトレーニングをゆっくり入れ寝る、そのようにして症状を楽にしていきました。

この頃から、浮腫が更にひどくなっていき、ある時は、少し座位が続くと、膝や股関節がきちんと曲がらなくなるまでになり、脚ってこんなに浮腫むんだ!!!というくらい、腰回りから脚が見たことないくらい”ぶっとく”なっていました。

脚を高く上げ、ストレッチと極軽い運動をし、また脚を上げて寝てを繰り返すことで、浮腫はあれど曲げられるようになる状態になる、という対処法が必須となりました。しかし歩きづらかった。
これは、副作用が慢性化した状態です。この経験があったため、この先何年もかけて予防法と対処法に磨きをかけていきました。

同じ抗がん剤を投与している現在は、このより磨かれた方法を取り入れ、3回目の治療を終えた現在、このような症状は起きておりません。末梢神経障害がうっすら出ていますが、管理できているレベルです。
現在の治療のこの先、回を重ねる毎でもこの状態を維持できるのか!? しっかり管理し、よく観察していこうと思います。

“より磨かれた方法”とは、初回投与日からはじめることが大切なストレッチです。就寝前のベッド上で寝ながら出来、深層の筋肉を意識した、半径2〜3センチの範囲で行う小さな動きのストレッチ。
人によっては、最初は、それまでの日常の状態から足裏がつったりの症状が出ると思いますが、動作を続けることでその症状も軽減されます。
これらも今後、動画でお伝えしたいと思っています。

話を5年前に戻します。
治療中は、夏でも浮腫防止ソックスを欠かさず毎日履いていました。
それを履いている膝下は浮腫まずに済みましたが、膝上から腰回りまで相当…かなり浮腫み、今までに見たことのない脚の形になり、我が人体の新発見を目にする度に「あらららら…こんな形になるもんなのか」と笑いがでたほどです。

人体って、皮膚が伸びる限界の範囲まで容易に伸び縮みするのですよね。まるで、意識できない細胞に身体が乗っ取られているようでした。
後の経過の中でまたお話しますが、この状態をストレッチで都度戻していくのは難しく、ターンオーバーとの上手な付き合いが必要となります。

私が愛用していた浮腫防止ソックスは幾つかありますが、ドラッグストアで売っているような「一般医療機器」と表記されている着圧ソックスです。
これは、現在も状態によって履きますが、3回目の治療を終えた現在はまだ1日使っただけ。

投与日から大体2週間ほど経った頃に、手の平を返したように体調が切り替わり、一気に戻ってきます。この回は、浮腫が残ったことを除いてはもれなくそれでした。

この抗がん剤副作用の私の山場は、投与翌日から2週間ほどで、山場のピークは投与から6〜8日目頃。激しい腹痛と共に起きる下痢がそのサインです。そのピーク時期を過ぎれば下山期間に入り、徐々に副作用症状は弱まっていきます。

下山時期は、ピークから数日後にやってくる熱の乱高下があります。わずかな頭痛と脚の筋肉の軽いダル痛さが、熱上昇のサインでした。
熱の乱高下とは、免疫反応による発熱で、36.5〜37.7度くらいの間を急激に上がったり下がったりするのです。これが数日続きますが、”38.5度以上出るような、必要に迫られたとき”以外は解熱剤は使いません。生活は、普通に過ごせます。

当たり前の反応であり、気まぐれな反応なので誠実には付き合っていられず、異常反応だけは感じ逃さないよう過ごしていました。
山場のピークを越えれば、あとは徐々に下山していくのみです。そして元に戻ります。

そもそも、抗がん剤治療が始まる前までの私の平熱は36.8度。この時から、抗がん剤治療中の平熱は、一時的に37.2度となりました。
37.5度くらいまでは普通に生活して問題なし、とお話いただいていたので、普通に生活。

「ドセタキセル&ハーセプチン第1回目」にも書きましたが、何が原因か特定できないくらい、容易に熱が乱高下するのです。この乱高下は、抗がん剤に細胞、特に免疫細胞が、免疫機能のバランスを保つために反応を起こしていると思っています。抗がん剤治療中の一時的な熱です。

あとは、この期間は傷などから細菌やウイルスが体内に入れないよう、気を付けて生活しなければいけません。


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