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大胆さと繊細さ #44

大胆さ

書の作品を作るときに、
迫力のあるものにするためには、
力強い筆力と大胆な筆の動きが
必要です。

小手先ではなく、
腕全体を使って書くことで、
躍動感のあるものになります。
特に長さが2メートル以上の大きい作品
には、そういう大胆さが求められます。

他にも、大胆な戦力とか大胆な改革
と言うように、実効性のあるものに
しようとしたときに、
大胆さが求められます。

これも、小手先の戦力や改革では
意味がないということになります。
大胆には、大きな胆力、つまり腹が
座っていることが大切であり、
やるからには、しっかりやれと
いうことです。

お寺の梵鐘や喚鐘の鐘も、
小手先では良い音が出ません。
しっかりと打ち付けることで、
良い音色が出ます。

中途半端に恐る恐る打ち付けても
響かないのです。
響くか響かないかと言うと、
人の発言でも同じように、

何かを解決しようとするときは、
小手先ではなく
大胆な発言でないと、
誰の心にも
響かないのかもしれません。

結果を考えてばかりいては、
大胆な行動はできないので、
開き直ることも必要です。

自分の発言や行動が波紋を呼ぶ
かもわかりませんが、
何かを変えたいなら、
その覚悟は必要です。

出る杭の頭を打たれたくなければ、
我慢するしかありません。
その代わり、陰で文句を言わない
ことです。

繊細さ

「大胆かつ繊細に」という言葉
がありますが、大胆さの裏には
繊細さが必要です。

書においても大胆な筆使いは
必要ですが、同時に緩急織り交ぜた
繊細な筆の動きも求められます。
ただ、力強ければいいという
わけではないのが難しいところです。

戦力や改革においても、計画内容で、
細部にわたり繊細さが必要です。
実際の計画が粗いとうまく進みません。

お寺の法要の時に鳴らす鐘も、
強く打ち鳴らしますが、打つ棒は、
強く握らずに軽く持ち、
鐘にあたるタイミングで
力を抜かないと音が響かないので、
繊細なさばきが必要です。

単純に強さがそのまま鳴り響く
ことにはならないのです。
これは、家庭の仏壇のリンでも
一緒ですので、試してください。

強さとやさしさ

大胆さと繊細さは、
強さとやさしさと言っても
いいかもしれません。

強さとやさしさがひとつになって、
人の心に響く言葉や行動になる
のではないでしょうか。

強いだけでもやさしいだけでも
何か物足りなく感じられると
思います。

強さの裏のやさしさ、やさしさの
裏の強さがあってこそ、
生きてくるのです。

それぞれの場面において、
大胆かつ繊細に、強くやさしく
ありたいものです。
(和尚の独り言)

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