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そのコンペ、本当に必要ですか?という話

現職はブランディング企業、前職はデザイン会社にいた身として避けては通れない一大イベント。それが「コンペ」。

コンペ:コンペティション (competition)
複数の業者を競わせて、その中で優劣をつけ、業者をひとつ選ぶ方式。例えば(あくまで「例えば」であるが)何かの調達先を選定する際に、複数の納入業者(サプライヤー)に目的物の条件、予算、提出物の提出期限などを提示し、たとえばその仕様書などを提出してもらい、その中から優れた調達先を1社選定すること。(Wikipediaより)

「会社のWEBサイトを新しくしたい~」「イベントの集客を任せたい~」など大小さまざまなコンペがこの世には存在するのですが、山下が言いたいのは「ちょっと待て、そのコンペは必要なのか?」です。

「いや、必要に決まってるやろ」と心から信じてやまない方はそっとブラウザを閉じるか戻るボタンをクリックすると良いと思う。時間は有意義に使おう。

ただ、もしも、仮に、「そういやコンペ受ける側がどんなテンションか知らないな~」と一瞬でも心をよぎったならぜひ読み進めてもらえると嬉しい。

そもそもなぜコンペを開くのか

こんな言い方をするとコンペ全否定派に映るかもですが、決してそんなことはない。コンペをする理由も分かっているつもりだ。ちょっと下に書き連ねてみる。

・これからを見据えたパートナー探し



…あれ?なんか他にある?あんまりなくない?
いやまぁ他にもあると思うんですけど、本質的な目的に沿ったものは出てこないなぁという印象。

というのも、これまでの経験の中で多かったのが

①安くていい感じのところを見つけたい
②いろんな業者の意見を聞きたい
③会社の体制上、コンペしないと発注できない

とかなんですよね。
これって凄く歪だなぁって思うんですよね。

①安くていい感じのところを見つけたい

まずこの「いい感じ」には「僕たちのことを理解してくれて、それをドンピシャで表現してくれる」がニュアンスとして含まれるんですけど、ここが企画の一番のミソになるんですよね。ここをケチるということは、なんですよね。もちろん高けりゃ良いのかってことでもないので、その見極めの糸口は提供する必要はあるが。

しかし結局安さで選ぶならコンペである必要はないし口頭レベルで良いです。そして安さで選ぶ発注者は情報開示も少なく「なんかどこもピンと来んかったわ」とか言ってくるところ多い。(100%山下の独断と偏見)

②いろんな業者の意見を聞きたい

これもよくある。
「やっぱり色んな声を聞かないと分からないじゃないですか~」的なことを言われたことありません?僕はあります。そのたびに僕は「自分たちのゴールがフワフワしたまま丸投げすんな(そうですよね~)」と答えています。

いや、でも超一理あるんですよね、この意見。いろんな情報から取捨選択はできるに越したことがない。本気でパートナーを探すなら尚更。

ただ、イケてる発注者とイケてない発注者の差はここで生まれると思っていて。要は「課題の本質を考えようとしているか」がポイントなんですよね。

本質を理解する必要はないです。理解しようとする、いわば「一緒にゴールに向かって走ってくれる姿勢」があるかどうか。これがあるならイケてる発注者さんだと山下は思う。

丸投げしようとする発注者は大体ゴールテープの向こうでソファに座りながら「もっと早く走れ」と言ってくるタイプです。道中に給水所なんてありません。なるべく省エネで走り切りましょう

③会社の体制上、コンペしないと発注できない

これもよくある。担当者さんにこれを言われるとどうしようもない。あの手この手でコンペを回避しようにも封殺されて終わり。だって担当者さんも企業文化に封殺されてるもの。会社の慣習は簡単に覆らない。

コンペすると検討してるっぽくなって良いですよね。「コンペで決定したので!」って説得力ありそう。当て馬にされる可能性も大なので見極めが肝心。

少しふりかえってみる

かなり雑にまとめた気がしますが、ここまでを振り返ると山下の「コンペが嫌い」という一面が見えてきますね。コンペに親でも殺されたのかな?と思う人もいるかもしれませんが、両親は健在です。母は先日還暦を迎えました。いつもありがとう。

無駄なコンペは嫌い

上に書いた通りコンペ全否定派ではない。コンペがきっかけで新しくお付合いできたクライアントももちろんいるし、コンペを通じて得た学びだってある。

ただ世の中にはやっぱり無駄なコンペが多すぎる。じゃあどうやって減らしていくのか。

制作業者ががんばる

これに尽きると思う。本当に。なにも「発注者の奴らマジ無理。超ウザい」なんて微塵も思わないんです。彼らには彼らの事情がある。そして僕らには僕らの事情がある。それが上手く交わっていないだけのこと。

そしてその原因はもちろん制作業者にもある。なので少しずつでもその捻じれを直していきたい。

なにをがんばるのか

「信頼関係を作る」

これが山下の中の答え。あくまで現状やけど。
無駄なコンペに繋がる要因は「そこまで発注者が大ごとに捉えていない」にあるんじゃないかな。

それならコンペが決まってから、もしくは普段からモノづくりやそこに対する姿勢を一緒に育んでいくことが必要だと思います。

・コンペで必要になる資料は企画の心臓かつ背骨だと分かってもらう
制作側の本気を本気で受け止めてもらう
なにを判断軸にすべきかもこちらからのやり取りでハッキリさせる

などなど、できることはたくさんあるはず。

また無駄なコンペが起こるのは、ひっくり返せば自分たちに信用がないから、とも言える。普段の仕事から誠実に正直に、クオリティへコミットし続けていれば、正面からぶつかり合えていたら、この世から無駄なコンペはなくなるんじゃないか。

今日のまとめ

さてさて、コンペへの想いの丈を述べてみたところ、誠意のない不健全なやり取りが嫌いってことに辿り付きましたね。コンペはこれらが浮き彫りになりがち。

発注者だろうが業者だろうが一人ひとりの意識が変われば、健全なやり取りも増えるんじゃないでしょうか。山下はそんな未来に向けて頑張ります。

最後にひとつ。

コンペフィは用意して。無理ならコンペ開かないで。

一番言いたいのはこれです。それではまた。

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