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ブランドはプロダクトの奴隷であるべきだ

ブームは必ず終わる。ブームで終わるモノとブランドとして生き残るモノの差は?

2014年に始まったMinimal。
Bean to Barスタイルのカカオ豆からチョコレートまで一貫した製造の新しいイノベーションとブームがチョコレート業界に起こった

そして、今良くも悪くもそのブームは終わったと思う。
ここから本当にフラットにブランドとして生き残れるかになっていくと思う。世の中を見渡すとこのブームと言われるものが各所で起こっては消えていく。ブランドのライフサイクルが短くなっていると言われる現代において、一過性のブームとして終わらずブランドとして生き残っていく事はとても難しいと感じる。


そんな時代でブランドが生き残るために、手法ばかりがとても大きく取り上げられているように思う。マーケティングとかブランディングという言葉がまことしやかにささやかれている。

手法論は確かにある場面である一定の効果を出すと思うし、Minimalもそのノウハウを勉強して活用している。

ただ、ブランドとは何か?を突き詰めて考えていけばいくほどシンプルな答えにたどり着く

それは、ブランドとは、「プロダクト」でしかないという事だ。

ブランドという言葉をどこか崇高に感じ、実態がとてもぼやけて見える。ブランドと言うと何かいろんな事が包含されている気になってしまう。

でもその本質は本当にシンプルなんだと思う。
ブランドを形成するには要素はたくさんあると思うが、プロダクトがなければブランドは成立しない。

誤解を恐れずに言うと、ブームで終わるものと、ブランドとして根付いていくものの差は、プロダクトの価値の差であると思う。


すべてはプロダクトが起点


ブランドはその人の心の中にしかない。

この言葉がとても芯を食っていると思う。

ある言葉やある場面を想定した時にその人の中で一番最初に想起される“モノ”になった時にその人の中にブランド認知がされたという事

それがたった一人からnになっていき、ある閾値を超えた時に、それは認知として物質的な単なるプロダクトからブランドになるのだと思う。そう考えた時に、ブランドとはやはりプロダクトであるのだ。

もちろんここでいうプロダクトとは少し広義でサービスやプラットフォームも含んでいる。


例えばAppleはブランドと言えるだろう。Appleと聞いたときにどんなイメージを想起するだろうか。

「おしゃれ」「かっこいい」「洗練されたライフスタイル」
「熱狂的ファン」「スティーブジョブス」「iPhone」など。

様々な逸話やイメージ戦略や販売戦略によって今のAppleのブランドイメージはつくられており、上記もすべてそれぞれの人の認知でありブランドイメージとして正解であると思う。

ただ、いろんな要素をそぎ落としていくと、その本質は間違いなくプロダクトだ。

仮にどれだけスティーブジョブスが「世の中にイノベーションを起こす」と言っていたとしてもそれが実体のあるプロダクトに落ちないとそれは妄想であり、虚言者であり、説得力を持たないと思う。


Appleが世界で最も時価総額が高い企業の一つであり、熱狂的な信者といえるファンをもつのは、例えばiPhoneというプロダクトによって劇的に人々の生活を変革させたからであり、スティーブジョブスをイノベーターとして多くの人が尊敬しているのは、iPhoneというプラダクトを造り送り出したからだ。

「Mac、iPod、iPhoneと言ったプロダクトという実体」

「プロダクトを通じた個々人の経験・体験」

「ブランドストーリーやブランドを取り巻く人々や逸話」

「マーケやブランディングと販促戦略」

「多くの人へのプロダクトの販売(実績)」

上記の手順で初めてブランド形成される。

これはとても当たり前のことを言っているようですが、実は順番がとても大事である。プロダクトを起点として矢印の順番に機能して初めてブランドは形成される。

仮に逆矢印で進んだ場合は、ブームとして終わる可能性が高い

ブランドを形成するための一番大事な事は、徹底的にプロダクトを研ぎ澄ましてその付加価値を最大化する事なのだ。


プロダクトがなければどれだけその周辺のストーリーや販売戦略を描いても意味がないし、プロダクトさえしっかりしていればあとは手法論の問題である。
もちろん手法論をきちんと検討して適切なものを選択して実行することは大事だけど。


プロダクトの機能的な価値と情緒的な価値総和がブランド

プロダクトには二つの機能があって、その総和がブランド力だと思う。

まずは機能的な価値。そのプロダクトを使用したり消費する事で、直接的にもたらされる機能的な恩恵や解決する問題。
iPhoneで言えば、電話する機能はもちろん、いつでもどこでもインターネットに繋がる機能もっている事などである。

もう一つは、情緒的な価値。それはプロダクトが心理的に与える高揚感や満足感。
iPhoneで言えば、そのデザインはもちろん、Apple製品を持っている事による社会的な認知(おしゃれ、カッコいいなど)、Apple製品ファン同士の交流や心理的な連帯感などである。

プロダクトを起点にして、機能的な価値と情緒的な価値を拡げていく事でブランド力は高まっていく


ブランドはプロダクトの奴隷であるべき


ブランドはやはりプロダクトの奴隷であるべきなのだと思う。

プロダクトの価値を追究すること以外に本質的にブランド力が高まっていく事はない。

乱暴に言えば、プロダクトの始まりがマーケットインでも、プロダクトアウトでも同義だと思う。


新業態である「Minimal The Baking 代々木上原」をもうすぐオープンする。

Minimalにとってはガトーショコラ専門店という新業態である。

もちろん店舗も店舗デザインもサービスもメニューもこれまでの店舗とは違う。

その違いを決めるのは何かというとそれはやはりプロダクトなのだ。

それはガトーショコラというプロダクト。
もっというと、Minimalが創業から一歩もブレずに追究しているカカオ豆の本来個性を活かしたプロダクトだ。

そのプロダクトを徹底的に追及するために、

今回は火入れ(The Baking)をコンセプトにした。

カカオ豆からチョコレート、チョコレートからガトーショコラへの2度の火入れを徹底的に追及。

●カカオ豆の個性が活きるこれまでにないガトーショコラを造るために幾千回もレシピを更新して、火入れを繰り返し、最適で最高の火入れを探した。

●火入れを追究するためにだけに数百万円もする焙煎機を購入した。
(普通のガトーショコラを創るには必要がないものだ)

●ガトーショコラの価値を最大化するためのスペシャルティーコーヒーや日本茶とのペアリングを楽しめるメニューを開発した。必然的にコーヒーも日本茶も徹底的にこだわった。ガトーショコラの価値を高めるためにコーヒーや日本茶を追究する中でガトーショコラ自身のレシピもブラッシュアップされていった。


プロダクト起点で考えた末のクラファン特別会員募集


今回の新業態はブランドとして初めてクラウドファンディング「Makuake」を使った。

その理由は極めてシンプルだ。
クラファンだけの特別会員の募集のためだ。


特別会員の特権は簡単にいうと「会員限定の特別なガトーショコラを購入できる権利」だ。

なぜこの特別会員を募集したかというと、特別なガトーショコラは量産できないからだ。

そうそれはプロダクトの制約条件から派生した試み。これによってMinimalはガトーショコラの特別会員という特定のコミュニティを形成することとなった。

コミュニティ形成は昨今のブランドの在り方で重要な戦略として多く目にするが、これはコミュニティを創ろうという積極的な戦略ではなく、言ってしまえば、プロダクトの制約条件で致し方なく発動した戦略なのだ。

まさに、プロダクトの奴隷である(笑)


「6月14日(金)終了予定」
(残100個以下の特別会員権お早めに!)


残りわずかな支援可能期間であるが、ここまで1400人以上の支援を頂き、支援金額は1400万円を超えた。

これは間違いなくこれまで造ってきたMinimalのプロダクトであるチョコレートを食べてもらい、美味しいと思って頂き、その期待を形成できた結果であると思う。

ブランドがその人の心の中に形成されるのは、どこまで行ってもプロダクトなのだ。

特に食はシンプルだと思う。いかに私がこのnoteでいい事を書いていてもMinimalのチョコレートがそれを体現していなかったり、そもそも美味しくなかったら恐らく支援しようと思ってもらえていないだろう。

いかに頭で素晴らしいプロダクトだと思っても、食べてみて美味しくないとそれはブランドになりえないのだ。食はとても感覚的で直感的なモノであると思う。だから、どこまで行ってもブランドは根源的なプロダクトのクオリティとそれを取り巻く経験の質なのだと実感する。

クラファンが予想以上に支援頂いた。予想以上のスピードで支援が集まり、もっと会員数を増やせればもっと金額が集まるタイミングでも、やはりプロダクトが造れる数で断念もしたw

お店への期待が高まり、一刻も早くオープンすれば売上が上がるタイミングで我慢してオープンを遅らせて、追加でお金をかけてでもプロダクトをきちんと造れる環境を整えた。
(オープンが遅れてご迷惑をおかけして大変申し訳ございません)


経営者としてはお金はとても大事だ。
目の前の誘惑に何度も負けそうになる(笑)

でも、最終的にはプロダクトクオリティがすべての中心であり、ブランドはプロダクトの奴隷だ。

本当に嫌になる時もある。

それでももし、ブランドを創るうえで一番大事な事を一つ選べと言われれば、プロダクトクオリティの追究と答えると思う。

ブランドを創りたいならプロダクトの奴隷であるべきだ。

※クラウドファンディング

もうすぐ終了です。最後の会員になれる機会です。ぜひとも会員権(支援額1万のもの)は残100個を切りました。この機会にぜひご支援ください!

Minimalが造った板チョコレートが毎月3枚届くサブスクリプションである新サービス「カカオツアー(送料無料)」はぜひこちらから!

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最後までお読み頂きましてありがとうございます。このnoteは私がブランド経営やモノづくりを行う中で悩み失敗した中からのリアルな学びです。何かお役に立てたら嬉しいです。良い気づきや学びがあれば投げ銭的にサポートして頂ければ喜びます、全てMinimalの活動に使いたいと思います^_^