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事業別採算から事業の撤退を判断する際に起こりやすいミスリード

管理会計において事業別の採算から経営資源をどの事業に重点的に配分するか、もしくは事業を徹底するかといった判断を行いますが、多くの事業者様が誤った判断をしているケースに直面します。今回は管理会計における事業の撤退判断の妥当性について考えたいと思います。


管理会計における事業別の採算管理とは

まず事業別の採算管理とはどのように行うかという点について解説をします。端的に言えば、各事業セグメントを決定してセグメントごとに売上と費用を分けて管理するという事になります。
一般に売上はセグメントごとに明確に分けることができますが、費用は明確に分けられないものが多々あります。
具体的には変動費はセグメントごとに分けることができますが固定費は分けられない科目が多々存在しています。例えば、地代家賃です。仮に3つの営業所がある企業であれば営業所毎の地代家賃は明確に分けることができ営業所毎の地代家賃を出せますが、1つの営業所しかなく1営業所で複数の事業を行っている場合はどうでしょうか?
明確にセグメントごとの地代家賃を算出することは困難ですね。
また別の例を挙げれば社長の役員報酬なども分けることができません。
社長は全事業の執行責任を負うため個別のセグメントに費用を分けることは出来ませんね。なお、このように明確に分けることができる固定費を個別固定費と呼び、分けることができない固定費を共通固定費と呼びます。

このような共通固定費を分けたいと思った場合に配賦という考え方を用います。配賦とは、配賦基準と呼ばれる、ある基準をもとにセグメントごとに費用を分けるということです。
一般に配賦基準は売上高、人員数などがあります。科目ごとに配賦基準を分けることもあり例えば地代家賃や建物減価償却費であれば占有面積比などがあります。

赤字事業を撤退すると業績は本当に良くなるのか

共通固定費を配賦して事業別の採算管理を行うことは一見合理的に思えますが、危険な面もあります。その最たるものは事業撤退の判断を行う場合でしょう。以下の具体例で考えてみます。

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