文章を書くことのむずかしさとは

先日、あるパーティーで、コンサルタント会社の社長さんと話をした。 

「文章を早く書く方法って、ありますかねえ」 
ぼくがもの書きと知ると、その人は尋ねてきた。 

「キーボード操作が遅いんですか?」 
「いや、それは人並みなんですが、どうも詰まってしまって」 
「適切な文章が思い浮かばないということですか?」 
「そうなんだと思います」 

でも、その社長の話は論理的だし、話すことにムダがない。そのまま書き言葉に直しても、十分通用しそうに思われた。 

「社長のお話しになっている内容を、そのまま書けばいいんだと思いますよ」 
「それがね、書くとなるとつい固くなってしまって」 
「いっそのこと、音声入力でも試してみますか? それで本をたくさん書いている知り合いもいますよ」 
「そんなのがあるんですか? ぜひ教えてください」 

その場はそれで終わったが、「文章がうまく書けない」という表現には、多くの要素があるものだなあと考えさせられた。 

・書くことが思いつかない 
・書きたいことはあるのだが、うまく整理がつかない 
・人に話せる状態にはあるのだが、それを文章にできない 
・ゆっくりなら書けるが、時間がかかってしまう 
・自分ではいい文章と思うのに、人から酷評される 

文章がうまくなりたいと思う人は、このどれかの段階にいるのだろう。ひと言でアドバイスするなら、やっぱり「たくさん書いて練習することです」しかないか。 

最大公約数的な言葉って、あまり親切には聞こえないな。

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