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開拓記1 搬入

待ちに待った開拓初日だった。

天気は曇り時々雨。

9月の初め、大型台風が九州に迫る中時々降る雨のおかげで残暑はマイルドな1日だった。

1日目の目標は以下だ。

①手持ちのキャンプ用具および開拓初期の装備の搬入

②蚊帳付きのタープを建てベースキャンプを定める

③土壌ジメジメ問題を解決すべく排水路を掘り始める。


① 今回1番の目的が物資の搬入だ。

ナタ、のこぎり、シャベル、ハンモック、ロープ、ブロック、ブルーシート、テント、タープ、煮炊きするための道具。

開拓初期にふさわしいシンプルな装備たちを収める小さなコンテナと共に搬入した。

②タープは土地の入り口の平坦地に建て、ベースキャンプとするはずだったがこれが想像に反して難航した。

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切った竹や木の根が出ているところがあってスペースの確保が難しい。大きめのタープはメインの柱を地面に突き刺す必要があったが、土壌は太い木の根がしっかり張ってシャベルでは歯が立たない。そうでなければ腐葉土ふかふかのやわやわで柱がまっすぐに立ってくれなかった。伐採後に残った竹の根元を利用して立てるなど試みたが、結局ちょうどよい幅で柱を立てることができずタープに関しては断念した。

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それでもテントを張って、ハンモックが吊り下がれば妻と子にしてみれば快適空間である。

③排水路を掘り始めようにも、タープを建ててみようと思ったところで気がついた。土壌に歯が立たない。近くでエコツーリズムを運営する知人がショベルカー入れちゃえよーと言っていたその言葉が頭をかすめる。

人力では、なにも進まないかもしれない。

ショベルカーを借りてくるのか、はたまた牛か馬を借りてくるのか、初期装備のシャベルでは歯が立たないのでなにかしらの装備強化が必要となった。

今日の収穫は、搬入が無事終わったこと。そして生茂る竹を少し整理することで空がほとんど見えなかったベースキャンプに太陽光が差し込んだことだった。

到着前は排水路をザクザク掘るのだと意気込んでいた夫だが、そう上手くはいかないことがわかったのも大いなる収穫だ。

【妻活動記】

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鮭、とうもろこし、ポップコーンなどを焼いては楽しみ、カップうどんをすすって山飯を謳歌した。

娘も今夜はここで寝てもいい、もっとキャンプする。と力強く宣言していたので頼もしい。


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お風呂にでも入って泥んこ汗だくを綺麗にして帰ろうと思っていた矢先、借りた車の左の前輪がなにやら固いものに接触し車体が大きく跳ねた。

ゴロゴロゴロとタイヤを引きずるように走る。パンクした。タイヤホイールはゆがみ、ホイールカバーもどこかへ吹っ飛んだ。

なんとか近くの食堂付きの牧場まで徐行でたどり着き、警察と車のレッカーを待った。

お寿司でも食べて車で帰るはずが、高速バスで帰ることになった。閉店間際の道の駅で夕飯にお弁当をかき集める。もう廃棄するだけだからと店の人がおかずをおまけしてくれて優しさが痛いくらいに滲みる。

そのうち道の駅の明かりが消えて、高速バス乗り場でしんみりと夜のピクニック。秋はもうすぐ、と風が伝えてくれた。

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