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GoToトラベルキャンペーンについての極めて浅い考察

 うーん、どうなのかねえ。

今実施するのがいいのかねえ。GoToトラベルキャンペーンについていろいろ考えてみた。

個人的には、この夏休みは「GoToトラベルキャンペーン」を利用していろいろ旅行するつもり。しかも、訳あって、私の今年の夏休みは9月だ。地域共通クーポン(旅行代金の15%分の商品券)も発行される(かもしれない)。

ただし、旅行先は近場。青森県内とは言わないが、岩手とか秋田とか。コロナ対策の意味もあるが、まあ、予算の都合が大きい。単純に、旅行代金が安くなるのはありがたい。

 が、それは少し置いといて、政策的適否も考えて見る。

新型コロナ流行の経緯とGoToキャンペーンの成り立ち

 「GoTo(トラベル)キャンペーン」は令和2年度(第1次)補正予算による新型コロナ対策(感染予防措置のほか、景気対策事業も含む。)に盛り込まれた事業である。この補正予算は、4月7日に閣議決定されて4月30日に成立している。

 ということは、たぶん3月後半に事業のスキームが考案されていると思われる。こんな大型事業、1日2日でスキームをまとめて、大臣や首相のOKをもらえるとは思えない。

 振り返ってみる。思い出してみる。新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正されて「新型コロナ(Covid-19)」が追加されたのが3月13日(施行は3月14日)。東京都、大阪府、神奈川県等の地域に特措法に基づく非常事態宣言が出されたのが4月7日。2月は、まだ、横浜港に停泊したクルーズ船の乗客・乗員が集団感染したと連日ニュースになっていた頃だ。

 いろんなことがありすぎて忘れてしまった人もいるかもしれないが、3月というのは、少なくとも専門知識のない一般人は「大変な事態になったが、一定の時期が過ぎれば(一旦ピークを過ぎれば)元通りの生活に戻れる」とまだ考えていた時期である。ピークを過ぎても引き続き感染予防対策が必要、ピークは何回も来るものである、と深刻には考えていなかったと思う。

 「GoTo(トラベル)キャンペーン」を発案した時点では、新型コロナの蔓延は短期間で収まると思い込んでいた可能性が高い。3月のその判断自体は批判されるほど重大な落ち度とは言い切れない。今(8月上旬時点)でも、観光関連事業の支援という観点から「コロナが落ち着いたときに実施」することに反対する人はいないだろう。

 しかし、役所の予算というものは、単年度予算が基本である。令和2年度の予算は令和2年度中に使うのが基本ではある。「令和2年度中に、コロナが落ち着く」ことがあるかとなれば、今(8月上旬時点)考えるとかなり怪しい。

【まとめ】

「GoToトラベルキャンペーン」は「コロナが落ち着いたら」実施するべき。

今(8月上旬)の状況を、「まだ、日本では累計4万人(治癒した人を含む)しか新型コロナ患者がいない」と判断して、全国的な移動も補助対象となる形で、実施するべきか?

ずさんな制度運用(極めて細かい点)

この「GoToトラベルキャンペーン」ものすごく急いで実施している。緊急に観光関連業界を支援する必要があるということか。そうかもしれないが、もっと緻密に運用できないか、と田舎の小役人は思ってしまう。

「GoToトラベル公式サイト」には、仮登録ではあるが、キャンペーン対象となる宿泊事業者の名称一覧表が掲載されている。7月30日18:00現在の情報では、ホテル名「のため、法人名称はありません」というホテルもある。明らかな入力ミスである。役所ならば、チェックして「この申請は不備があるので修正してください」と連絡するべき。申請内容のチェックにまで手が回っていないのだ。その状態で宿泊事業者の名称一覧表を発表されても旅行者は混乱するだけである。

「GoToトラベルキャンペーン」に関しては、実は7月17日付けで全国のお役所(独立行政法人も含む。)に通知が出ている。内容は「(公務員が業務で行う)公費出張については、GoToトラベルキャンペーンを利用しないでください。」というものである。公費出張は全額交通費を公費(税金が財源)で支給しているから、というのが理由である。当然と言えば当然である。

ということは、民間企業のサラリーマンが業務上行う「出張」は、GoToトラベルキャンペーンを利用できるのか。たぶん「旅行」と「出張」は区別しきれないので利用できるのだろう。この状況では「出張」も減少しているだろうが、出張経費の削減に回る分も相当あるのだろう。ホテルは、出張だろうが旅行だろうが宿泊してもらえば確実に売上になる。うーん。

それから、もう一つ。ポイント利用について。「旅行代金(宿泊代金)にポイントを利用した場合、割引額は、ポイント使用後の残額の35%ではなく、元々の旅行代金の35%とする。」らしい。

「楽天トラベル」や「じゃらん」といった予約サイトでは、宿泊予約時にポイントを使用できる。1泊1万円(税込)のホテルを予約サイトで予約した場合を考える。わかりやすくするため、一人旅、移動手段はマイカーを使い、ホテルの駐車場は無料とする。私がサイトで予約し、7000ポイント(7000円相当)のポイントを使用したとする。ホテルでの現地決済を選択。通常ならば、チェックアウト時に3000円払う。ん、35%補助だから、500円返金されるのか?現状はまだ、ほとんどのホテルが「後から返金」スタイルだから一旦3000円払って3500円返金申請するのだろうが、どうなるのだろう。こうした状況はすぐに思いつくのだから、あらかじめ対応を決めといて欲しいものである。こんな細かいことは、どう決めようと(例えば、ポイント使用分は絶対返金しない、と決めても、事前にわかっていれば、6500ポイントだけ使用するのである。)宿泊需要自体を減少させることはない。皆の混乱を防ぐため、事前に決めておけばいいだけである。

【まとめ】

役所(観光庁)の仕事としては、詰めが甘い。頑張れ、観光庁の実務担当者。事業実施の判断自体は政治判断かもしれないが、制度運用面の細かいところを整備して欲しい。

 いや、これほどニュースになっていることなのに、いろいろわからないことが多すぎる。大金かけてやる事業なのに、その恩恵(は、もちろんあるだろうが)あまり伝わってこないのである。








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