見出し画像

社内改善 うまくいかないときの見落としがちな「下調べと政治」

「こっちのやり方のほうが絶対いい!」と思い、リーダーシップを発揮してズバッ!と提案したものの、意見が通らなかった経験はありませんか?

動機は、完全なる善意。会社のため、みんなのため、お客様のため。

反論の余地のない正論。

なのに、なんかすかされてしまった。。。んだよチクショー

ちゃんとロジックやデータで反論されるなら納得いくけど、そもそもとりあってもらえない。

そんな経験は、自分もあります。


社内で改善提案をするときに、大事なパーツは2つあると思っています。

1.改善の内容

2.下調べと政治

ちゃんとした改善やKaizenのフレームワークを学びたい方は、シックスシグマ(Six Sigma)なりリーン(Lean)なりを学んでください(なかやまきんに君風に)

1の「改善の内容」は、上記もそうですが、すでに多くの書籍等で語られています。


問題は、「改善の内容はいい!とにかく正しい!はず!」なのに、とりあってもらえない場合です。

「なんだよ、みんな問題意識が低いよ」「保守的な人が多いなぁ。変えていかないとダメだよ」と愚痴ったり、「見せ方が悪かったのかな?ばっちりデータの裏付けもあるんだけどなぁ」と内容を見直しするまえに、下調べと政治がちゃんとできていたか?を考えてみてください。

あまり書籍などの改善ノウハウでは語られない、サラリーマンが注意すべき改善提案のポイントを取り上げてみたいと思います。


改善の「下調べと政治」とは?

一言でいうと、結局動いてもらう相手は人間なので、配慮しようね、ってことです。

<まず下調べ>

改善したいと思った事柄があったとします。

プロダクトの方向性、会議の進め方、承認プロセス…なんでもよいです。

「今こうなっているのは、『だれが』『どんな意図や背景で』こうしたか」を、調査して言語化すること。

必ず、誰かがベースを作っています。

相談して作ったよ、って場合でも、必ずだれかが意思決定にはかかわっています。

そういうバックグラウンドの調査を怠らないこと。それが後述する政治の話にもつながります

調べていくうちに、大別すると以下の2パターンに分かれると思います。

パターン1.実は、なんとなーくそうした(もしくは大昔の仕組みで、もはや誰が作ったかわからない)だけパターン。

パターン2.「XXさんがYYという背景で作った」的な、わりかしクリアにわかったパターン。


パターン1なら、ある意味ラッキーです。「実は改善のアイディアあるんですが…」といえば、だいたいは「お、そうか。今のやり方が全然ベストだと思ってないんだよね。ぜひ改善してよ!」となりやすいです。


パターン2の、誰かが何かしらの意図で作ったものの場合、注意が必要です。

意図を聞いた時点で、「あ、そういう理由だったんだ。じゃあ前提がそもそも違ったので、自分のアイディアは通らないな」と、自分で取り下げることができます。

取り下げちゃうのはなんだかな、と思ったあなた。

この時点で、ちゃんとメリットがあります。

・無駄なことをしなくて済んだ=自分のリソースが浮いた。

・組織の力学を学べた=こういうケースがある、と学んだので、次の改善提案するときに、より組織にあった内容を提案できるようになる。

今回は自分のアイディアを棄却したとしても、相談すべき相手の選定や、ステイクホルダーは何人いるのか、もっと根本の問題が見えた、などなど、あなたの当該組織でのサバイブ力は確実に蓄積されています。

納得できる理由にせよそうじゃないにせよ、準備の段階で自分のアイディアを取り下げた場合は、「テッテレー!かいしゃでのさばいぶりょくが1あがった!」と思うようにしましょう。


<次に、政治>

前述の「誰かが何かしらの意図で作った」パターンだった場合で、それらがクリアになっても自分のアイディアの良さには影響しない、と思った場合。

「よし、提案いったれ!」と自分GOが出た場合。

なんなら、ここからが本番です。


組織という文脈での「政治」は、ネガティブなイメージで使われやすいと思います。「それは非合理だってのはわかるけど、政治的な理由でね」みたいな。

自分は、ゴリゴリの外資系IT企業に10年いました。

外資系といえば、合理的な考え方の塊、みたいなイメージがあると思います。ロジックさえ正しければ、意見が通る、みたいな。

もちろん、いろんな局面で、非常に洗練された、合理的なやり方がありました。勉強になりました。そんなイケイケの(古い)外資系IT企業でも、中身は人間なわけで、政治はありました。

政治は、「組織である以上仕方がない」とネガティブにとらえるのではなく、「どんな組織でも結局は人間。うまく使おう!」と考え方を変えちゃいます。

と、マインドセットを切り替えたところで、具体的には以下のようにもっていきます。

「XXさんがYYという背景で、現在を構築いただきました。XXさんのおかげで、みんながZZを考え、できるようになりました。

XXさんが作ってくださったこのアイディアを、学ばせてもらった我々後輩がさらに活かすべく、こんなバージョンアップを考えてみたのですが、いかがでしょうか」


なんだよ!結局おべっかかよ!とおもったあなた。

正解です('Д')


正解というと語弊がありますが、こういった配慮こそスキルであり、改善アイディアを通すためのコツだと思っています。

ちょっとテクニック的なところを解説します。


・「XXさんへのおかげで」みたいなところ

ここは、初めに作った人へのリスペクトです。おべっかじゃなくて、本当に。

あとからいちゃもんつけるのは簡単です。一番初めに何かを決めるというのは、時間、根気、責任とか色々絡んで大変です。

今回の自分の改善アイディアが浮かんだのも、大袈裟に言えば初めに作った誰かがいたから、浮かんだわけです。

下調べをしっかりやっていればいるほど、自然とリスペクトと感謝が湧いてくると思います。

プラス、周囲に「この人のアイディアは思い付きじゃなくて、ちゃんと裏付けがあって話す人だ」という印象を持たれます。これ大事!


・「こんなバージョンアップを考えてみたのですが」のところ

ちょいテクですが、先の例文では「バージョンアップ」という言葉を使いました。改善ではなく。

改善だと文字通り「善く改める」ですが、人によっては「今がそんなにだめなのかよ!」と思う人もいます。

「バージョンアップ」でも「よりよく」でもいいですが、現在のアイディアがベースにあるよ、ってことをさりげなく伝えたいため、誰が作ったか明確パターンの場合は、初期フェーズでは特に改善という言葉は使わないようにしたほうが良いと思います。

話が進んでいき、作者本人が「あの改善のやつどうなったっけ?」みたく言ってくれたら、もう使っていい思います笑


まとめてみました


・ちゃんと裏付けがある人(っぽい)と思われること。

・リスペクトを持って接してくれる人(っぽい)と思われること。一緒に仕事をしたらちゃんと立ててくれる人(っぽい)と思われること。

・批判、文句を言う人じゃなく、ポジティブに変えていこうとしている人(っぽい)と思われること。

この3つの印象が揃ってはじめて、本題である改善内容そのものに耳を傾けてもらえます。

この3つを揃えるために、下調べが重要なんです。


冒頭の質問を再掲します。

自分の改善アイディアがすかされたとき。

「なんだよ、みんな問題意識が低いよ」「保守的な人が多いなぁ。変えていかないとダメだよ」と愚痴ったり、「見せ方が悪かったのかな?ばっちりデータの裏付けもあるんだけどなぁ」と内容を見直しするまえに、下調べと政治がちゃんとできていたか?を考えてみてください。


私自身、過去の改善提案の経験を振り返り、うまくいったとき、いかなかったときを分析、言語化したら、こんな感じになりました。

特に失敗したときですね。そのときは「なんだよ、良くしたいってアイディア出してるのに!」って思ったものの、今振り返ると、内容そのものの問題じゃなくて、下調べと政治が足りていなかった場合がほとんどでした。

同僚でも部下でも自分でもいいですが、「どうもこの人の意見は通りづらいような気がする」と思っている方がいたら、ちょっとでもヒントになれば幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?