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山猫のバックギャモン記 第十七章~盤聖戦本戦初戦・出目良道夫~

こんばんは。

ついに盤聖戦の本戦が始まりました。実はこれを書いている翌日も試合があるのですが、なんとなく練習する気になれず。むしろ過去の振り返りや気分転換をしてギャモンをプレイしたい欲を上げることで試合のモチベーションを高めようと思いました。

そこで本戦の初戦である片上賽王戦のことを振り返ってみたいと思います。

文章の仕組みとして演繹法と帰納法の二つがあるのですが、日本人好みの帰納法はあまり好きではないので結果から先に書いてしまいます。

2セット先取の11Pマッチを×〇〇で勝利しました。

本当に本当に自分の実力からすると僥倖でしかなく、実際試合内容の解析も私の内容は良い内容とは言えませんでした。それでも片上賽王という強豪相手にも出目次第で勝てることもある、バックギャモンの醍醐味を味わった気がします。

片上さんとの出会い

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2018年10月。僕は異動先の仙台から東京へ帰任した直後でした。当時はダブリングキューブの使い方すらわからない状態のひよっこギャモナーで、仙台の例会で教わったセオリーを少しだけ習得(ゴールデンポイントがいかに大事かなど)したことやバックギャモンエースでの練習を多少したくらい。

それでも色々な人とギャモンをした経験がないことから興味本位で王位戦初級目当てに蒲田へはせ参じました。勝ちたいというよりギャモンの大会ってどんな感じなの?くらいなライトな状態でした。

結果は12戦6勝。勝ち負けというより色々な方とギャモンが出来たことが一つの財産になりましたね。当時の私は誰もが初対面だったので対戦相手のことを覚えていませんでしたが、結果用紙を見てみると今でも対戦する方の名前もあり感慨深いです。

その王位戦の表彰式。見事王位の座についた片上さんがインタビューを受けていました。当時は今のように「森内さん5Pマッチしましょ~」という風にプロ棋士への距離感が近くなかったので、「はぇ~将棋のプロが勝ったんだ~」ぐらいに単純に凄いな~と遠くから眺めていました。

それから私がギャモンに力を入れ始め、赤坂例会に足繁く通うようになり面識を持つようになるものの、リアルボードでの試合経験はなし。唯一賽王戦(コロナ禍によりgalaxyで実施)で対戦した際はコテンパンにやられています。

初戦までの道のり

1月に発令された緊急事態宣言。感染拡大防止のためには仕方がないことだと思いますが、これによりほぼ全ての例会がクローズしてしまいリアルボードでギャモンをする機会が失われてしまいました。加えてUBC運営。素晴らしいマッチをバックアップできたことは誉ではあるものの、それが最優先だったため1ヵ月以上も実戦をしていないということになりました。

鈍りに鈍った感覚を取り戻すことが急務となり、リハビリと称して個人的な練習試合を行いました。もちろん実戦に則して11Pマッチです。

普段は5Pマッチが主戦のため、ロングマッチのテイクラインについて熟知しているというものではなく(今時点でもそうですが)、少しでもロングマッチに慣れておく、リアルのギャモン(特にPIPカウント)の感覚を取り戻すということに重きを置いて練習しました。

最初の練習試合に付き合っていただいた響さんと練習し始めた途端、今までスムーズに出来ていた初手31の5Pメイクなどチェッカーが思うように動かせずブランクを痛感します。また棋譜入れした際に気づいたイリーガルもあり、相当なリハビリが必要だと感じました。PIPカウントはもともと超遅い上に何度もロストしそうになりかなり危うい状態でした。

ですがあくまで練習なので、これが実戦で起こらなければよい。より練習が必要だと感じたため翌週も健滋さんに練習をお願いします。1マッチ目のPRはそれなりでしたが、2マッチ目のPRが4点台だったためこの練習は非常に励みになりました。

こうして練習に付き合っていただき、ギャモン界隈の人の好さには本当に感謝です。もっと色々な方に練習試合をお願いしたかったのですが、申し訳ないですがまたの機会にお願いします。もしくは練習に誘いたい場合がもしあれば、是非よろしくお願いします。

初戦開幕

決戦の地はぴえこ先生にお願いして深川いっぷくにしました。せっかくの機会、是非リアルボードで超強豪とプレイしてみたかったので片上さんへもお願いしたところ快諾いただき無事実現したことに感謝です。

2日間の練習でリアルボードの感触はそれなりに戻ってきたとは思いますが、強豪相手にどうするかという点もまた考えなくてはなりません。

練習試合をしていただいた方からのアドバイスもありましたが、強い相手には出来るだけ積極的な決断をすることで勝ち局面を引き寄せることが大事だと思います。例えばレースでPIPが微妙に負けていてXGがパスという局面でも、積極的にテイクして逆転を狙う=Luck依拠な選択肢を行うことが必要だと感じています。

ただ具体的な局面に接した経験値も少ないし、じゃあどうするの?という判断は実戦で考えるしかない状態です。ただ、そのような実戦で必死に考えることはとても楽しいことなので、結果がどうなれ一生懸命にギャモンに打ち込めれば良いと思っていました。

度重なるエラー

対局相手がプロ棋士、現賽王ということでも臆せずプレイ出来ていたとは思います。ただ、自分の思考があまり良い状態とは言えず、上記のように積極性をテーマにして動こうと思いつつもそれにより盲目となり色々な良い手をロストしてしまったことはもったいなかったと思います。

例えば下記のような局面。

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局面としては4倍キューブを渡しているにもかかわらず白4枚上がりで青がかなり厳しく、忙しい。しかもスコアで負けているのでこれを落とすとマッチ勝ちが怪しくなる。オンザバーに乗せることが急務と考えヒットしましたがこの手はブランダー。ヒット後ダンスしてくれればよいですが、62、63、53、などで飛び越えられた時のショット数が少ないし2でリターンされるも出血までとはいかないが痛い。正解の5プラを作る8Pメイクは、白のジョーカーを61だけに限定し、かつフルプラに閉じ込める余地を大幅に上げている。

それ以外にも、ただ単に自分の理解が及ばすエラーをしてしまった局面が多数で棋譜入れして涙目になっていたのはここだけの話です・・・

しかし1マッチ目を実力差で落としてからは驚異のLuckが味方し何もかも楽な局面が始まります。

また気持ちが落ち着いていたのか、難しいディシジョンに出会わなかったのか、PR6.5で立ち回れたことが大きかったのかと思います。もちろん片上さんのPRに負けているのですが、PR4.5に対してはluck+3でマッチ勝ちになれるという事実は僥倖でした。

ただ試合の展開としては内心ヒヤヒヤでした。

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僥倖のダブルギャモン勝ちのその後のゲームで3a-6aでかつこちらが2倍のキューブを持っておりギャモン勝ちの可能性が50%ある状態。一気にマッチ勝ちと思っていたものの、ボードクラッシャー4ゾロが発動してしまいます。直前の4ゾロもほぼフォーストムーブでかなり薄いところを引いてしまった感じですが、この辺の応手はむしろ対局者同士笑うしかないような感じでしたねw

このゲームを落とし、強い相手は簡単に勝たせてくれないと思いました。スコアはそれでもリードしているものの心理状況としてはヒヤヒヤでした。

しかしDMPまでもつれた展開も運よく制し、3マッチ目へ望みをつなげます。

3マッチ目に入るまでにブレイクに入ったのですが、この時は仕事や色々とやらなければならないことや抱えている課題などが一切吹き飛んで、ギャモンだけのことを考えていました。一種のトランス状態に入っていた感じで、3マッチ目を何とか内容の良いものにしたいとばかり考えていました。

出目良道夫

色んなことを考えていた3マッチ目ですが、そんなことが吹き飛ぶくらいの超絶Luckであっという間に終わってしまったというのが所感ですw

こちらの逃げ出したバックマンはヒットされない、序盤に5Pを早々にメイクできる、ブロット発生時はとにかく当たる・・・などなど、本当に出目良道夫な展開で浮遊感がありました。

ただこうしたロングマッチでの一方的に出目が良く、リーダーとしてディシジョンが多い局面があまり多くなかったため以下のようないらんキューブも打ってしまいます。

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局面は圧勝でツーグッドで押して危うくなればキャッシュすればよいのに、マッチ勝ちに届かないとはいえオートの4倍の権利を与えることはもったいなかったと思います。この辺は何度も間違いを犯しているのに、またやってしまった・・・と思いつつリーダーとしての難しさ&知識のなさを痛感します。

とは言え、このゲームを無事に制しマッチ勝ちに達しました。

片上さんとのリアルボードでの初ギャモンでこのような僥倖を勝ち取れたことは本当に良かったと思いますが、素直に喜べないのは試合内容です。

3マッチいずれも(当然とはいえ)PRが大差で負けてしまい、ただ単にLuckで勝ったという内容です。

そんなことは長くは続かないですし、実力を上げていかなければいつかはPR小数点以下の争いがマッチ勝ちを左右するという局面に出会うかもしれない。

勝利は非常に励みになりますが、このことを糧にさらなる研鑽を磨いていかなければならないと思ったきっかけとなりました。またgalaxyと異なりどのような候補手で悩んでいるのかがわかることはこちら側も非常に勉強になりますね。

とにもかくにも、こんな恥ずかしいエラーをしているようなヤカラでも勝ち上がれてしまう余地があるのがギャモンの醍醐味です。これを読んでいる皆様にも大舞台に上がれるチャンスがある!という希望を託してこのnoteの終わりとしたいと思いますw(泥酔)

P.S 明日は名城君戦です(震え声)

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