なさけない&はずかしい

演劇から遠く離れて約1ヶ月。どこまでも普通に生活している。

朝起きて、バイトに行って、帰ってちょっとだけギターの練習して、稽古はなく、録画したアニメかドキュメンタリーを見ながら夕飯を食べ、台本に追われることもなく、読書もしくは再びギターの練習をする。

熱心にギターを触っているけれど、完全に独学で知識もないから、ギターコードはわかっても右手側、弦を弾くストロークがさっぱり分からず挫折しそう。

でも、挫折してもいいんだ。こんな時期だもん。みんな新しいことに挑戦してる。台本の読み合わせを配信したり、料理したり筋トレしたり、資格の勉強をしてみたり。いろんな人が戸惑いながら、持て余しちゃった時間を有効に使おうとしてる。新しいことなんて、きっと上手く行くことの方が少ないんだから、この機会に色々やってみて、色々挫折してみてもいいじゃない。

むしろ、今ならやらかして恥をかいてもいいのではないか。お客さんにお金もらってやってる演劇ならまだしも、ネットで無料でやるならそんなに文句も言われまい。そうだ。今だ。今しかねえ。俺たちはいつだって今を生きてる。なあ!そうだろ?

そう考えて、ゲーム実況をやってみた。ゲーム実況。あの、TVゲームやりながら一人でぶつぶつ喋るやつ。普段なら絶対やらない。滅多に見ることもない。攻略動画、解説動画はたまに見るけど。

でもやってみた。もしかしたら楽しいかもしれない。人に会えないストレスもたまってきてる。直接じゃなくても、せめてネット上でも誰かと遊びたい。

「山ちゃんそこだよ!そこアイテムあるよ!」「なんでそっち行っちゃうかなー、山ちゃん!」「うわあ、山ちゃん強えや!あはははは!」きっとこんな光景が繰り広げられるに違いない。それは小学生のとき、俺が得られなかったものでもある。友達いなかったからな!でも今は違う。なにせそこそこ長い間、演劇ユニットの主宰をやっている。作・演出として、それなりに多くの役者とも関わってきた。出たいと言ってくれる人も少なからずいる。

いける。今ならいける。きっとみんなとキャッキャウフフと戯れられる。ツイッターで告知なんかしない。恥ずかしいから。しなくても多分みんな来てくれるさ。信じてるぜ、100人くらいは居るだろう、俺と芝居で関わってきた人たち。

結論から話そう。とても悲しい話だ。人生には時折こんな辛いことが起きる。しかし忘れてはいけない。これは悲劇ではない。喜劇だ。

誰も見てくれなかったよ。

モニターの前で、このために買った9千円のヘッドセットをつけて1人で喋り続ける俺はまさにピエロ。お母さーん!あなたの息子は、こんなに立派なピエロになりました!そして知ってる?ピエロの顔って、泣いてるんだよ。

誰も見てくれていないのに、「あ、このゲームは…」なんて不慣れな喋りを続ける様は、まるで無人島からメセージボトルを流し続ける遭難者のよう。僕の前方に寂しさが、僕の後方に寂しさがあった。

半泣きでゲームを終了しようとする俺。「どうしたんだよ山ちゃん!」「もっとゲームやろうぜ山ちゃん!」「ここからがいいところだろ山ちゃん!」うるせえ!俺にそんな友達なんていねえ!

そのとき、プレステがぴょこんと反応し、コメントが付いた。

コメントだ!コメント嬉しい!

うちの常連出演者、吉成さんからだ!

なんだ吉成さんか…

まあ、別にいいけど…あいつ(年上)毎回稽古で俺にぶち切れられてるのに、よくコメントしてくれたなぁ…そういうこと出来るから、あいつ(年上)何だかんだ周りから好かれるんだよなぁ…毎回2ステ目で段取り間違うくせに!

しかし、1人で喋るの大変ね。解説出来る腕前も知識もないから、どうしても普通にゲームしちゃう。

ということを澤崎さん(うちの最多出演記録保持者)に話したら、2人でやろうと言ってくれたので、そのうち2人でやるかもしれません。何せヘッドセット買っちゃったから…

そのときは、そのときこそはキャッキャウフフと遊べると信じてる。

ああ、普通に芝居やりたいね…

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やまなみ

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