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仕事と余暇の境目をマネジメントする能力の重要性と課題(令和元年版「労働経済の分析」より)

仕事と余暇の境目をマネジメントする能力の重要性と課題について紹介します。

以下、特記するものを除き、令和元年版労働経済の分析からの引用またはキャプチャーです。

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3 仕事と余暇の境目をマネジメントする能力の重要性と課題
●仕事と余暇時間の境目のマネジメントが「出来ている」と自己評価された方であって、ワーク・エンゲイジメントが高い者が心掛けている取組としては、「自己管理力を高める」「普段からプライベートの話を職場で出来る人間関係を構築する」「余暇時間に仕事が気にならないよう、計画的に業務処理する」といった業務遂行に関連する内容も挙がっている

最後に、働く時はしっかりと働き、休む時はしっかりと休むことで、後日再び就業する際の良質なパフォーマンスの発揮に結びつけていき、その両方の時の間にポジティブな循環を生み出していくために、仕事と余暇時間の境目をマネジメントする能力(バウンダリー・マネジメント)について考察することで、働く方の「休み方」について、労使で話し合っていく際の一助としたい。

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まず、第2-(3)-32図の(1)をみると、仕事と余暇時間の境目のマネジメントが「出来ている」と自己評価された方の割合は71.1%となっている一方で、同マネジメントが「出来ていない」と自己評価された方の割合は28.9%となっている。また、ワーク・エンゲイジメントが高い者と低い者で分けると、仕事と余暇時間の境目のマネジメントが「出来ている」と自己評価された方では、ワーク・エンゲイジメントが高い者の構成比が高いことが分かり、仕事と余暇時間の境目をマネジメントする能力(バウンダリー・マネジメント)は、ワーク・エンゲイジメントを向上させる観点からも有用であることが示唆される。

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次に、同図の(2)では、仕事と余暇時間の境目のマネジメントが「出来ている」と自己評価された方が、どのような取組を心掛けているのか、複数回答によって挙がった内容を整理している。同図の(2)により、調査対象計をみると、「家族や恋人と過ごす」が58.2%と最も高くなっており、次いで、「趣味活動をする」が53.3%、「一人の時間を過ごす」が30.8%、「仕事に関係しない人物と交流する」が26.6%、「余暇時間に仕事が気にならないよう、計画的に業務処理する」が17.6%、「普段からプライベートの話を職場で出来る人間関係を構築する(注)」が15.6%、「自己管理力を高める」が9.4%などとなっている。
(注)例えば、週末に家族旅行があることを職場内のチームに事前に共有した場合、万一、休日に仕事が発生しても、急な連絡を要する仕事でなければ、翌週の平日に連絡しようというインセンティブが生じたり、職場内のチームメンバーで休日出勤の調整がしやすくなったりすることなどを想定している。

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続いて、同図の(3)では、同図の(2)をワーク・エンゲイジメントが高い者と低い者で分けつつ、ワーク・エンゲイジメントが高い者が心掛けている取組内容として挙がった割合から、ワーク・エンゲイジメントが低い者の同割合を差し引いたギャップを示しており、同図によると、「家族や恋人と過ごす」が7.5%ポイントと最も高くなっており、次いで、「自己管理力を高める」が5.9%ポイント、「普段からプライベートの話を職場で出来る人間関係を構築する」が5.6%ポイント、「余暇時間に仕事が気にならないよう、計画的に業務処理する」が2.9%ポイントなどとなっている。すなわち、仕事と余暇時間の境目のマネジメントが「出来ている」と自己評価された方であって、ワーク・エンゲイジメントが高い者が心掛けている取組としては、「家族や恋人と過ごす」といった内容に加えて、「自己管理力を高める」「普段からプライベートの話を職場で出来る人間関係を構築する」「余暇時間に仕事が気にならないよう、計画的に業務処理する」といった業務遂行に関連する内容も挙げていることが分かる。

さらに、第2-(3)-33図により、仕事と余暇時間の境目をマネジメントする能力(バウンダリー・マネジメント)に関する課題を分析していく。分析の視点としては、企業や働く方が、向上させて欲しい(向上させたい)と考えている能力・意識の中で、仕事と余暇時間の境目をマネジメントする能力(バウンダリー・マネジメント)は、どのくらいの優先順位で認識されているのか、その状況を明らかにしたい。

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まず、同図の(1)により、企業が正社員に向上させて欲しいと考えている能力・意識をみると、「コミュニケーション能力」が59.8%と最も高くなっており、次いで、「協調性」が55.1%、「粘り強さ、忍耐力、継続力」が50.6%、「職場のマネジメント能力、リーダーシップ」が49.0%、「計画性」が44.5%、「分析力・思考力」が39.2%などとなる中、「仕事と余暇を切り分けるセルフマネジメント力」は15.6%にとどまっていることが分かる。

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次に、同図の(2)により、正社員が向上させたいと考えている能力・意識をみると、「コミュニケーション能力」が45.6%と最も高くなっており、次いで、「分析力・思考力」が38.0%、「計画性」が35.7%、「職場のマネジメント能力、リーダーシップ」が35.0%、「外向性(積極性、社交性)」が29.8%などとなる中、「仕事と余暇を切り分けるセルフマネジメント力」は16.8%にとどまっていることが分かる。

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続いて、同図の(3)により、企業の認識から正社員の認識を差し引いたギャップをみると、「協調性」「粘り強さ、忍耐力、継続力」「勤勉性」「コミュニケーション能力」「職場のマネジメント能力、リーダーシップ」などは、企業が正社員に向上させて欲しいと考えているものの、働く方に十分に伝わっていない可能性が示唆される能力・意識となっていることが分かる。「仕事と余暇を切り分けるセルフマネジメント力」については、企業が想定している以上に、正社員は向上させたいと感じている者が多いことが示唆される。

以上のように、ワーク・エンゲイジメントが高い者と低い者で分けると、仕事と余暇時間の境目のマネジメントが「出来ている」と自己評価された方では、ワーク・エンゲイジメントが高い者の構成比が高いことが分かり、仕事と余暇時間の境目をマネジメントする能力(バウンダリー・マネジメント)は、ワーク・エンゲイジメントを向上させる観点からも有用であることが示唆された。そして、仕事と余暇時間の境目のマネジメントが「出来ている」と自己評価された方であって、ワーク・エンゲイジメントが高い者が心掛けている取組には、「家族や恋人と過ごす」といった内容に加えて、「自己管理力を高める」「普段からプライベートの話を職場で出来る人間関係を構築する」「余暇時間に仕事が気にならないよう、計画的に業務処理する」といった業務遂行に関連する内容もあり、このような取組が有効である可能性が示唆された。
他方、仕事と余暇時間の境目をマネジメントする能力(バウンダリー・マネジメント)をめぐる課題としては、労使ともに、当該能力の重要性について、十分に認識できていない状況にあることがうかがえた。働く時はしっかりと働き、休む時はしっかりと休むことで、後日再び就業する際の良質なパフォーマンスの発揮に結びつけていき、その両方の時の間にポジティブな循環を生み出していくといった視点は、今後ともその重要性が高まっていくことが予想される中、当該能力の重要性に関する労使の認識がより深まっていくことを期待したい。
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仕事と余暇時間の境目をマネジメントする能力を「バウンダリー・マネジメント」と呼ぶのを私は初めて知りました。
昔から言われている「よく学び、よく遊べ」という考え方と共通ですね。
私が中学時代に通っていた塾(若松塾)の教育理念も「よく学び、よく遊べ」でした。

調べると、英語のことわざの邦訳で、
All work and no play makes a Jack a dull boy.
「勉強ばかりで遊ばせないと子供はだめになる」
ということを意訳したものだそうです。

切り替える力を高め、働くべきときはよく働き、休暇はフルに楽しむ。
ワーク・エンゲージメントを考える上でも重要ですね。

プライベートなことも職場で話せる人間関係をつくることも、そのために有効とのことです。私個人的には、自分のことについてはオープンですが、あまり他の方のプライベートなことに立ち入っては・・・と気を使う方ですので、ちょっと悩ましいです。



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