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伍魚福の品質管理の取り組み(フロー図)

昨日のnoteで「品質方針」の説明をしましたが、今回は具体的にどんなことをやっているのかをご説明します。
食品メーカーとして当たり前の取り組みではありますが・・・。

20201021品質管理(表)

伍魚福は「工場なきメーカー」ですので、品質管理も協力工場の皆さんとの連携が必須です。

まずは、「こんな商品を作ろう」と商品コンセプトを考えて、協力工場に試作品を作っていただきます。
味、規格、包装形態が固まった段階の「試作品」で製造段階の所定の「予備検査」(食品添加物を測る「理化学検査」と工場の衛生状態や食中毒菌の有無を調べる「微生物検査」)を行うとともに、賞味期間を設定するための「保存検査」を行います。

予定する賞味期間からさらに一定の割合(安全係数)で計算した期間が経過した商品を調べる「保存検査」では、微生物検査のほか、味の変化が許容範囲内かを調べる「官能検査」(味の検査)を行います。
微生物が増えなくても、製造後、味はだんだん劣化していくものが多いため、賞味期限の設定の重要なポイントとなります。
微生物検査は外部の検査機関にお願いしています。

経営理念の一番に掲げた
「すばらしくおいしいものを造り、お客様に喜ばれる商いをする」
の実現に欠かせないのが「味」。
安全性には問題がなくても、味の変化が伍魚福基準の範囲に収まっているか。

伍魚福のドライ珍味No. 1商品の「ピリ辛さきいか天」は賞味期間が120日。
輸出したい、との引き合いを多くいただきます。
船便での輸送を考えると、輸出するためには180日以上の賞味期間が欲しいという要望をよくいただきます。
メーカーによっては、「安全性には問題ない」ということで国内向けと輸出向けで賞味期間の設定を変えているところもあるようですが、「すばらしくおいしいもの」を経営理念にうたっている伍魚福ではそのようなダブルスタンダードはありえません。
誰が、どこで、いつ購入されても「すばらしくおいしい」こと。
伍魚福はあくまでも正攻法で、賞味期限を伸ばすための研究を進めています。

並行して、「商品カルテ」を整備します。
商品の原材料全ての規格書を取り寄せ、内容を確認。
その上で、商品に適切な表示を行います。
原材料表示が正しく配合比の順になっているか。
アレルギー物質(アレルゲン)は、必ず表示しなければならない特定原材料7品目はもちろん、その他21品目、合計28品目全てを記載します。
ここまでができて新商品の発売が決まり、生産がスタートします。

実際の生産がスタートした後は、日々製造ロットごとに協力工場での検査が行われる他、伍魚福の物流センターへ入荷の都度、表示や重量のチェックを行います。

バラでピッキングを行う商品については、梱包の担当者が都度目視で異常がないかを確認しながら箱詰めします。

伍魚福の在庫についても「定期検査」を行い、味や微生物、添加物が適切かの検査を行います。

20201021品質管理(裏)

品質保証の担当が全国200社ある協力工場をローテーションを組んで訪問し、品質面の監査を行います。
毎年全ての工場を回ることはできません。
工場で生産いただく伍魚福商品の金額ベースで計算し、1年で全体の70%、3年通算で95%になることを目標に巡回を行っています。

とはいえ、協力工場の皆さんとの関係で最も重要なのは、同じ方向性で品質向上の取り組みができるかという考え方の部分です。
「伍魚福クレド」の内容も共有しながら、協力工場の皆さんにとって伍魚福との取り組みが「WinーWin」になっていると思っていただけるかが最も大事だと考えています。

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協力工場の皆さんにとって伍魚福が「おもしろい会社」なのか。

過去の食品に関する事件を見ていますと、会社の業績が悪く、倒産するくらいなら・・・ということで偽装に手を染めている企業が多く目に付きます。
そういう意味では、伍魚福との取り組みでその工場にメリットがあるのか、ちゃんと利益を出していただけているか、が重要だと考えています。
無駄なコストはかけられませんが、商品の価値(味や品質)を高められる部分に関してはきちんとコストをかける。
「少し高くても、すばらしくおいしい」、「味と品質から考えるとコストパフォーマンスの良い」ものをともに作り続けたいと考えています。

これらの考え方を背景に、年に1回全ての工場に対してアンケートを実施し、いただいた回答を元に取り組み関係を改善できるように努めています。

また、協力工場の皆さんへのメールマガジンでは、不適合品(クレーム品)についての情報共有を行い、全体のレベルを高めることを目指しています。

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本年6月、伍魚福は大阪版HACCP「大阪版食の安全安心認証」を取得しました。

HACCPとは、Hazard Analysis and Critical Control Pointの頭文字をとったもので、厚生労働省のweb siteの説明は、以下の通りです。

「HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。
この手法は 国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され,各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。」

国が示すHACCPに沿った衛生管理の基準には、「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」があります。原則は、国際標準であるHACCPの7原則を要件とする「HACCPに基づく衛生管理」が適用されますが、一般の飲食店や小規模事業者には、その一部を緩和した「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が適用される予定となっています。

大阪版食の安全安心認証制度は、正式なHACCP認証よりも緩和された「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」基準を適用して認証されるものです。

伍魚福では物流センター3階で「そうざい製造業」の営業許可書を取得し「いかなごのくぎ煮」等のリパック作業を行っています。

そのため以前から、HACCP義務化に向けて自治体HACCPの取得を検討していました。
そこで兵庫県の自治体HACCPの窓口に確認したところ、リパック作業での認証取得は出来ないとの回答でした。
われわれは兵庫県に位置する事業所なので、できれば兵庫県版HACCPの認証が取得できるようになるといいのですが・・・。

代替案について品質保証部で検討した結果、他の都道府県の施設も認証可能な「大阪版食の安全安心認証制度」の認証を取得することにしたのです。

認証基準に沿って書類や記録類を作成することで、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に必要な衛生管理計画の書類や記録類を網羅することができます。
「自主点検評価表」に基づき衛生管理とコンプライアンスの視点から点検評価を行います。
その上で、大阪府が指定した外部の認証機関の審査を受け、認証基準に8割以上適合していれば認証を取得することができます。

伍魚福では、阪急阪神東宝グループの株式会社阪急クオリティサポートに認証いただきました。
前回のnoteで書いた「日本冷凍食品検査協会」の指導を受けた際のご担当が、現在は阪急クオリティサポートさんに勤務されており、伍魚福を担当いただきました。不思議なご縁を感じます。

認証の有効期間は3年間。1年ごとに再度自主点検を実施し、その結果を認証機関に報告します。
3年後の更新時には、認証機関が改めて書類審査・実地審査を行い、更新後の有効期間が5年となるそうです。

伍魚福社内だけでなく、伍魚福の商品を作っていただく協力工場の皆さんとともに品質レベルを高め、消費者・お得意先の皆さまに「すばらしくおいしい商品」を安心して召し上がっていただけるよう、努力を続けてまいります。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan