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「受託事業者」の取引類型別に見たパフォーマンスの比較(中小企業白書2020年度版より)

中小企業白書2020年度版、「第2部 新たな価値を生み出す中小企業」「第3章 付加価値の獲得に向けた取引関係の構築」。
今回は、「第2節  中小企業と下請構造」より「取引類型別に見たパフォーマンスの比較」です。
以下、特記した場合以外、引用は中小企業白書2020年度版から、図はそちらからのキャプチャー画像です。

昨日のnote同様、本稿の数字は、約11万者を対象に実施された中小企業庁の「中小企業実態基本調査」をもとに、「経済センサス・活動調査」などを母集団として拡大推計されたものです。

受託事業者=広義の下請業者の調査結果に基づき、委託・受託取引の有無によって、以下の4類型に分類して分析します。

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「委託事業者」(委託だけ行う)
「下請事業者①」(受託するとともに再委託を行う)
「下請事業者②」(受託だけ行う)
「独立事業者」(受託も委託もない)

受託事業者が多い「情報通信業」、「製造業」、「運輸業,郵便業」の上位3業界でその企業割合を見たものです。

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情報通信業では、約半数が「委託・受託」に関わり、約半数が独立事業者となっています。ただ、全般的に意外と独立事業者が多い印象です。

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従業員の規模別で見ると、個人企業は「独立事業者」である割合が高く、規模が大きくなるにつれて、独立事業者の比率が下がり、委託・下請等の関係が増えていく様子がわかります。
運輸業では「請負契約」が多いように思うのですが、そのような契約形態が「委託・受託」に含まれていないようにも感じます。

取引類型別の経営指標の差を見てみます。
2017年度における売上高、営業利益、労働生産性の三つの経営指標の上位25%(75パーセンタイル)、中央値(50パーセンタイル)、下位25%(25パーセンタイル)に分けて見たものです。
それぞれの経営指標の中央値でみると、3業種とも全ての経営指標で、「下請事業者①」の水準が最も高くなっています。また、「独立事業者」の経営指標については、ほとんど全ての指標において、他の類型を下回る水準となっています。

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受託と委託を使い分けしている「下請事業者①」が最もパフォーマンスが良いのは、おもしろい現象です。それだけ「機能」が受託側、委託側に評価され、金銭価値に還元されているといえそうです。

次に、取引類型別に「設備投資」、「研究開発投資」、「知的財産所有」の割合を比較します。

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設備投資に関しては、どの業種でも「下請事業者①」が最も高い傾向にあります。先ほどのパフォーマンスの高さもこれと関連がありそうです。
研究開発に関しては、「製造業」では「委託事業者」が最も高く、「情報通信業」では「下請事業者①」が最も高い結果となっています。
「運輸業,郵便業」では研究開発を行っている企業はほとんどありません。
知的財産に関しては、「製造業」、「情報通信業」ともに「委託事業者」
が最も高く、次いで「下請事業者①」が高い傾向にあります。

続いて労働生産性が高い企業は、どんな企業かの分析です。
各企業の労働生産性を算出し、各業種の労働生産性の上位30%の企業群を
「高生産性企業」、それ以外の企業群を「その他の企業」と分類して分析を行っています。

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「高生産性企業」では、「委託事業者」、「下請事業者①」に分類される企業の割合が各業種ともに高い傾向にあります。
業種別に見ると、「製造業」の「高生産性企業」では「委託事業者」が「下請事業者①」よりも多く、「情報通信業」の「高生産性企業」では「下請事業者①」が「委託事業者」よりも多くなっています。

次の図は、設備投資を実施した企業、研究開発を実施した企業、知的財産を所有している企業の割合を、「高生産性企業」と「その他の企業」で比較したものです。

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特に「製造業」と「情報通信業」において、「高生産性企業」が投資に対して積極的で、知的財産を保有している割合が高いです。
また、取引類型別に見ると、「委託事業者」、「下請事業者①」、「下請事業者②」と取引の階層が低下するほど、「高生産性企業」と「その他の企業」との差が縮小する傾向にあります。

「高生産性企業」と「その他の企業」の1社あたりの受託先企業数を、「下請事業者①」、「下請事業者②」別に見てみます。


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「下請事業者①」においては、「高生産性企業」は「その他の企業」と比較して、受託先企業数が多いことがわかります。
「下請事業者②」においては、「製造業」で「高生産性企業」と「その他の企業」で同じような差がありますが、「情報通信業」と「運輸業,郵便業」では大きな差がありません。

次の図は、「下請事業者①」、「下請事業者②」の売上高に占める受託取引の割合を知的財産の有無別に比較したものです。

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知的財産を保有している企業は、保有していない企業よりも売上高に占める受託取引の割合が低いことがわかります。
これは、知的財産を保有している企業が、受託取引以外の取引を通じて売上を高めていることを示しています。

食品業界では、「委託」「受託」というよりは、売買取引であるケースが多いと思われますが、売る側、買う側と置き換えると同じような傾向にあるように感じます。
伍魚福は自社ブランドでの食品製造ですので、委託事業者的なポジションであると言えます。

★エンターテイニングスパイラル図

伍魚福製品を作っていただいている協力企業のパフォーマンスが高まるよう、「伍魚福エンターテイニングスパイラル」をスパイラルアップし続けなければなりません。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan