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木材が導く未来の住まい|コンセプトデザインで作る新たな価値と可能性


木の魅力を伝える

木造ハウスメーカーには、木材の豊かな魅力を顧客に自分たちの言葉で伝えたいという強い思いがありました。私たち素人から見ると、木材はどれも同じように見えますが、実際には種類ごとに硬さや香り、色合いが異なり、それぞれに独自の価値があります。

また、輸入木材は、同じ種類でも生育環境の違いから国内材とは微妙に風合いや香りが異なります。例えば、杉は花粉症の原因として敬遠されがちですが、実は日本固有の木材として耐久性や独特の香りにより、根強い人気を誇ります。このように、知っているようで実はよく知られていない木材の個性は、まるでお米やお酒の品種や産地による味の違いと似ています。それは、木材が私たちの生活に溶け込み、当たり前の存在になっているからかもしれません。

また、住まいの安全性においても、木材の耐久性などを数値で示すことは可能ですが、それらの概念を体系的に整理し、わかりやすく言語化するのは決して容易ではありません。このような課題から、社内でも木材の魅力を伝える難しさが課題として認識されていました。

企業のコンセプトを木材で表現するためには、技術的な知識だけでなく、木材がもつ感情的な価値に対する理解も重要です。なぜなら、顧客は企業の実績や木材の知識だけでなく、その背後にある想いにも共感するからです。このような背景から、木材の魅力を具現化するコンセプトデザインの構築が求められ、プロジェクトがスタートしました。

想いを言葉に

まず、メーカーが持つ施工技術や専門知識、豊富な経験を整理し、木材の特性を再評価するところから始めました。現状では、木材の品質よりも価格が重視される傾向があるため、本来の魅力が十分に伝わらない場面も多く見られます。こうした課題を克服するため、社員一人ひとりに数十種類におよぶ木材への経験や思いをヒアリングし、木材の硬度や香り、手触りといった特性を多角的に言語化していきました。

この過程で、木材がもたらす感情的な価値、例えば「癒し」「安らぎ」「温もり」といった要素に改めて注目し、木材が「住まい(住空間)」にどのように寄与するかについて深く考察しました。木材のもつ特性、たとえば穏やかに光を反射する質感や、時間とともに変化する自然な香りが醸し出す空気感などを理解することは、単なる素材としての木材を超え、空間に「温もり」や「安らぎ」をもたらすために重要です。このように、木材がもつ物理的特徴を通じて生み出される感覚や雰囲気に対する理解が、木材の本来の魅力を伝えるうえで欠かせない要素であると、社内で共有するに至りました。

「住まい」とは、単なる生活空間ではなく、温もりや安らぎを提供し、心豊かに暮らせる場所です。そこには家族や個人が集うことで生まれる人の気配や、共に過ごす時間の積み重ねが記憶や情感として宿ります。これらが日常に潤いと安心感をもたらす空間を形作り、理想の「住まい」へと導くのです。そして、その理想を実現する素材として木材が最適であることを関係者全員が改めて認識しました。

木材と住まいをつなぐ新たな価値の創出

こうして「木材と住まい」をつなぐコンセプトが整い、木材の特性と空間イメージを調和させる提案の基礎が固まりました。木材は単なる品質評価の対象を超え、各空間にふさわしい理由が伝わる選択肢となったのです。顧客に「木と暮らす喜び」を実感してもらうことで、住まいの魅力がより深く伝わるようになりました。

木材の質感や香りは、住まいの空間にさりげない豊かさをもたらします。特に、手に触れたときの温もりや、湿度に応じて変化する独自の香りが日々の生活を豊かにし、心地よい空間を演出します。さらに、木材は時間とともに風合いが増すという特徴も持っており、住む人と共に歳月を重ねる「生きた素材」としての価値を感じていただけるでしょう。こうした特徴を踏まえた空間設計が、顧客の暮らしに長期的な安らぎを提供するのです。

この取り組みは顧客との信頼関係を深め、ブランド価値の向上にもつながりました。木材を使った空間設計がもたらす心地よさと豊かさを、より多くの人々に届けることができたのです。


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山名秀典|OFFICE P
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