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SUBARU GLOBAL PLATFORMを雪道で試す。いまのクルマが達成している高みについて感じ入る

試乗コース:青森市内~十和田湖~安比高原スキー場
試乗車 SUBARU XV(2.0リッター水平対向4気筒・AWD・CVT)

SUBARUの次世代プラットフォームとなる「SUBARU GLOBAL PLATFORM(SGP)」を採用した最初のモデルであるインプレッサ/XVを雪道で味わうという機会があった。試乗したのはXVとセダンのG4。基本的なフィーリングは変わらないが、セダンのほうが全体に引き締まったフィーリングで、タイヤの滑り出し、曲がらない(摩擦円の縮小化)といった限界域の挙動がつかみやすい印象だ。しかし、安心感ではXVにアドバンテージあり。わずかながら視線が高いこと、最低地上高が200mmと確保されていることで、ワダチをまたぐときの干渉を気にせずに済むという面が雪道での信頼感につながっている。

SUBARUでは「VDC」と呼ぶ横滑り防止装置を利用したドライビングアシスト制御の入っているクルマでは、ドライビングに対して素直に挙動を見せない過干渉なこともあるが、SUBARUの新プラットフォームを用いるモデルに関しては、そうした違和感は少ない。XV、G4のいずれにも共通するのは、アクセルを踏んでいくと積極的に後輪を滑らせて向きを変える、オーバーステアを活用できること。しかもVDCをオンにしたままで、こうした振る舞いを見せる。アグレッシブな走りを意図的に受け止めるセッティングになっているというわけだ。なお、ドライ路面では後輪のメカニカルグリップが高いシャシーでリアが不安定な挙動を見せることはほとんどない。雪道でのオーバーステアを利用できる味付けが意図的なのは明らかだ。現行インプレッサからパーキングブレーキがEPB(電動タイプ)となってリアのスライドを意図的に作り上げることは難しくなったが、こうして意図的にヨーを強めるコントロール性を持っていることは、動的セッティングにおけるユニークポイントで、ドライバーの意図を重視した、コントロール性への意識が確認できたのは、雪中試乗の大きな収穫だった。

ABSについては、滑りやすい路面では確実に作動。個人的にはフィードバックもわかりやすく、完全にABSに頼らずとも踏力によって制動距離をコントロールしやすい印象。AWDのメリットとして、ブレーキロックしたタイヤを駆動力で回すことにより、車両速度とタイヤ回転をシンクロさせ、ABSの効きをよくする(ブレーキをロストした状態を防ぐ)制御も入っているという。ブレーキングでは四駆のメリットはあまりない(エンジンブレーキ以外)という見方もあるが、じつはABSの適正な作動をアシストするよう作り込んでいるというのは、雪国での支持が高いSUBARUらしいところだろう。

タイヤは「ブリヂストン ブリザックVRX2」を履いていた。個人的に先代モデルにあたるVRXを所有しているので比較すると、積雪路でのグリップはさほど伸びている印象はない。メーカー発表値ではブレーキング性能が上がっている(制動距離が10%短縮)しているというし、コーナリングスピードは高いレベルにあるが、それも驚くほどの進化ではない。むしろ、驚かされたのは舗装路での静粛性。スタッドレスタイヤから想像するノイズは見事に抑えられ、その静粛性はサマータイヤと変わらないと思えるほどだった。

SUBARUのセールスポイントといえる予防安全装備「EyeSight」については、一般道での走行が多かったため体感することはなかったが、雪で真っ白な状況で、EyeSightのキャンセルという表示が出たことがあった。ステレオカメラだけを使っている関係上「見えないものは判断できない」というシステムの限界を感じさせられた。長年、ステレオカメラをメインセンサーとして作り込んできたノウハウとアドバンテージは活かしつつ、ミリ波レーダーを追加するなどして、ロバスト性の強いシステムへの進化を望みたいところだ。ミリ波レーダーユニットのコストダウンも進んできたことではあるし…。

それにしても、雪道だからといって特別、肩に力を入れることなく運転できるレベルにあるのは、クルマとタイヤの進化のおかげ。とくにメカニカルグリップに優れる新世代シャシーと最新スタッドレスタイヤのグリップ力は、舗装路と同じような感覚で運転できるレベルに達していると実感した。

そうなると気になるのは道路インフラ。雪によってセンターラインなどの区画線がわかりづらくなり、また各種の標識も確認しづらくなってしまう。このあたり、ヘッドアップディスプレイにARテクノロジーを組み込むことで、見えない白線や標識が見えるようにできたら、より運転しやすくなると妄想したが、その前に自動運転テクノロジーが普及して、ドライバーがそれらの情報を確認する必要はなくなるのかもしれない。

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