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定性調査を実効性高く楽しくやるために(4)

すみません、本業がバタバタしておりまして、ちょっと間をあけてしまいました。

1)背景や目的を定める
2)誰を呼んで/どんな話を/どういう形態で聞くのかの概要をまとめる
3)スクリーニング調査をかけて対象者を集める
4)インタビューフローを決める
5)日程やオペレーションを定め、見学者を集める
6)実査を行う
7)実査と同時に解釈のすり合わせを行う
8)報告書をまとめる

次は5)日程やオペレーションを定め、見学者を集めるですね。

このうち日程と見学者はセットで語るとして、まずはオペレーションからお話しします。

まず、リアルの場にインタビュー対象者をお呼びし、インタビュールームに対象者が集合してモデレータがインタビューを行い、別室(会議室)にいる見学者がそれを見て感想を言い合う…というケースについて。

こうしたインタビュー調査はまだ少し難しい状況かとも思いますが、さらっとだけ述べます。

インタビュールームと見学のための会議室の広さを充分確保すること。
ある意味でインタビューの本番は、インタビュー実施後のデブリーフィング(ラップアップ、アフターミーティングなど呼び名は様々です)にありますので、それがちゃんと機能する広さを取りましょう。

また、インタビュー対象者に提示する素材(CMのプランなど)が、見学者にちゃんと見えるようにすることや、録画すべきものがちゃんと録画できるようにしておくことなどがあります。録画については、提示素材が映っていなかったり、ユーザビリティスタディの場合にユーザーテスト内容が記録されていなかったり…ということがままあります。このあたりはきちんと要件に含めておきたいですね。

次に、おそらく現在の主流であるリモートでのインタビューについて。

最初にお伝えしておきたいのは、リモートでのインタビューでも、私は極力リアルの場を用意するということです。
私に調査を依頼した方、モデレータ、意思決定上のキーマンなど必要最小限の人数に絞り、その場にリアルで集合してインタビューにあたります。運営本部みたいなところですね。

この意味はトラブルが発生したときの機動性の確保と、デブリーフィイングの質を上げることです。特に後者について、実査中の見学者同士の会話はデブリーフィングの質を上げるものですが、どうしてもリモート環境では難しいものです。結果としてお互いの見解をすり合わせずにデブリーフィングに臨むことになり、今ひとつその日の発見のピントを絞りこめなくなります(リモートでも上手いやり方がありましたらぜひ教えてください)。

定性調査の成果は、見学者がその場でどれだけ実のある話し合いができたかに決定的に左右されます。そのための最善の環境をつくるコストは惜しまないようにしています。

その上でですが、リモート環境でとにかく怖いのが回線状況です。こう言ってはたいへん申し訳ないのですが、とにかくwifiは絶対に落ちるぐらいに思っておいた方が安全です。私はモデレータの環境は必ず有線にしていますし、ビデオ会議ツールは二系統準備するようにしています(予備系統は関係者間の連絡に使用し、いざとなれば切り替えます)。
この前、ZOOMに障害が起きましたよね。あれがインタビュー調査の最中に起こらない保証はどこにもありません。

インタビュー対象者の方のwifi環境が悪いときは、これはもうしょうがないです。少なくともこちら側に瑕疵がない状況をつくりあげ、インタビュー対象者がストレスを感じない状況をつくりあげておくのが、最低限必要なことと思います。

ちなみに、これはリアルのインタビューを中継するケースでも感じることですが、事前のセッティングが甘く、映像や音声が切れることは想像以上に頻発します。私は要件に「事前の予行演習をすること」を必ず入れるようにしていますが、それでもトラブルは起きます。例えば、いきなり集音マイクが機能不全を起こしたり、充分のはずだったバッテリーが切れたり(たぶんミスだと思いますが)、必要な配線の規格が合わなかったり、ということが起きます。DVDの規格が違って再生できないなんてこともあり、何度脂汗を流したことか…。多少高くつきますが、中継する際は中継システムを常備している設備を選択し、とにかく予行演習することをお勧めします。

なお、言うまでもありませんがZOOMなどを使用する際、見学者の映像と音声は必ず切っておくようにしましょう。

日程と見学者の話はまた後日に。

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