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「運だけじゃないすごろく」で伝えたいこと

「うん、確かに運は悪かったかもしれない。でも今あなたが負けたのは、運のせいだけじゃないんだ。」

そんな気付きに繋がればいいなと思って、「運だけじゃないすごろく」というゲームを作りました。

是非勝手に遊んでください。
ルール2が特に大事。

いわゆる「すごろく」が骨組みですが、進み方に自由度があるのが特徴です。正月の集まりでキッズ共々遊んだのですが、親戚の大人も首を傾げならプレイしてる様が印象的でした。

簡素ながらゲームを作るというのは想像以上に面白い体験でした。ゴール前の解説を通して、その一端を記録しておきたいと思います。

ちなみに普段は映像作品を作っています。YouTubeのリンク貼っておきます。


ゴール前の広場

最も勝率に影響が出るであろう、ゴール前の話だけ深堀りしましょう。
あなたは上側からゴール前の緑マスに止まりました。さて、どこに進むべきでしょうか?是非一度考えてみてください。

まずは問題の整理です。2か3選んで進むということは、次の図のような4つの選択肢があると言い換えることができます。まずはこれを認識するのがとても大事です。

ではABCD正解はどれでしょう?わずかな差ながら、それでも確かに有利な選択肢がひとつだけあります。

まず最も避けるべき選択肢はCです。感覚的には最もゴールに近づいていますが、ルール3がある以上、ゴールまでの距離が1マスだろうが6マスだろうが次にゴールできる確率は同じです。この感覚的なバイアスを外せるかどうかで、勝率は大きく変わることでしょう。

ではなぜCだけ劣るのか?それは次のターンのゴール目がCだけ少ないからです。「遠回り」できることを考えると、Aであれば4or6、B,Dであれば3or5を次のターンに出せばゴールできます。これに対し、Cはルール2の影響で遠回りができず、2を出さないとゴールできません。いわゆる「待ち」や「受け入れ」と呼ばれる考え方です。

さて、ABDに差はないのでしょうか?どのマスも次のターンは2/6=1/3の確率でゴールできます。子どもがここまで考えて「2すすむ」を選べたら合格点でしょう。

しかし正解は「3すすむ」Aです。これは次のターンにゴールできなかったときどうなるかを考える必要があります。

次にゴールできる目

ゴール前のマスを見渡すと、図のオレンジ色のマスのみ「2面待ち」できることがわかります。つまりこのオレンジマスのいずれかにいるときが最もゴールしやすい状態であり、例えゴールできなくともいずれかのオレンジマスに留まり続ける動きが理想的です。

Aのマスは4or6でゴール、それ以外の目でも必ずオレンジマスのどこかにどまることができます。
これに対しB,Dは3or5でゴール、1or2or4でもオレンジマスに留まれますが、6を出してしまうとルール2が効いてオレンジマスに留まることができません。よってAが正解といえます。

1回やすみの谷

盤面には2箇所、避けられない「1回やすみ」が連続する場所があります。これを一気に飛び越えられないとき、「手前で足踏みする」「そのまま突っ込む」という選択が生まれます。

「でも、あのとき1回休みに突っ込んでたら今ごろゴールできたかもよ?」

これは実際にプレイしていた親戚の発言ですが、この判断は相対的な順位状況が絡むため先程のゴール前よりも断然複雑でしょう。そして結果論になってないか、常に注意が必要です。私自身、とても正解できる自信はありません。

ゲームから学ぶもの

私は戦略ゲームが好きです。真剣勝負で最善手を求めた果てに、なにが起きるのか見たいのです。特に対戦、いわゆるPvPにおける洗練されたそれが垣間見える瞬間は、ジャンルを問わず大好きです。

カードゲームにおけるソリューションデッキの開発、人狼ゲーム最終日における狼カミングアウト、サッカーの統率されたオフサイドトラップ。いずれも初めて目の当たりにした際は自分の想像力の限界をひしひしと感じ、またその境界が押し広げられていく快感がありました。

ゲームと比べ、日々の問題はもっと、途方もなく複雑です。外的要因が星の数ほど絡まり合い、まさに運のせいにしたくなります。しかしながらそこには同様に想像力の限界があり、その境界は押し広げられるものでもあるとゲームに向き合った経験を通して思うわけです。

「そこそこ運良かった方かもしれんな」「もうちょっと自分でどうにかできたかもしれんな」と思えるようになると、ちょっと生産的になれるんじゃないかなと思ってます。


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