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事業計画のたて方。基本の考え方について。

「これから独立して事業を始めたい」って方いらっしゃると思います。そういう方の相談を受けたり、話を聞いたりしていて「事業計画」ってどうやって立てているんだろうと思ったので僕の経験から記録しておきます。

こんにちは。船橋市場の中で市場カフェを経営しながら、キッチンカーに乗って千葉県内でイベントに出店したり、自分でもイベント開催したりしている会社を経営しているやまけんです。詳細は以下のプロフィールページから。

プロフィールページでも書かせていただきましたが、僕はサラリーマンから起業して今の事業を運営しています。決して大きな会社ではありませんし、大成功も、いまだ小規模な成功すらしていないかも知れません。

大金持ちになりたい方には何のアドバイスにもならないかも知れません。小規模で良いから自分の事業を実現させたいとか、自分の身の回りの人を少しでも幸せにしたいと考えている方向けの記事を書きます。

銀行融資の基本

 銀行員もサラリーマン

はじめに断っておきますが、僕は銀行マンではないので、あくまで14年にわたって中小企業を経営してきた結果に感じたことを書いています。

まず、銀行員は金を貸しても良いかどうかを判断するプロだと思われるかも知れませんが、事業家ではありません。そもそも、事業の良し悪しを判断する人でもないのです。普通にサラリーマンです。組織の決まり通りに事を運ぶのが仕事です。組織が決めていないことをやる権利は持っていません。

僕もそうでしたが、初めて銀行との面談は、めちゃめちゃ緊張しました。しかし、向こうにとっては毎日の事であって、僕もその毎日出会う経営者とよばれる金を借りたい人の中の一人でしかありません。人間なので合う合わないはあるかも知れませんが決まり通りに事務的に事を進めてくれます。

借りられないからと銀行員を恨むのは間違いだと思います。もし、借りられないのだったら、返済計画が銀行の判断では通らないものだったというだけだと思います。

 返済できるのかどうか

銀行の判断で貸せる相手か、貸せない相手かを見極めるのは、返済できるかどうか。これに尽きます。既に事業をやっている会社の場合は、過去の実績を大きくみます。

売上は伸びているのか、下がっているのか。

返済の遅れがあるかないか。

不自然に経費が増えていないか。

なぜ、この人は金を借りに来るのか。

(あと思い出したら追加するかも…)

まぁ、その程度です。見るのは。

あとは、借りたい人に担保になるような資産ががあるのかどうかもみますけどね。きっと。

担保になる資産ってのは、返済が滞ったときに土地とか持っていたらそれをもらう代わりに返済しなくていいよとか、それ差押えするので返済を待つよとかそんな感じで使われると思います。(僕は資産持っていないのでいつも無担保です)

資産がない場合は、どうやって返せない人から返してもらうという理屈を立てるのか。それが信用保証協会と呼ばれる組織です。

 信用保証協会

各都道府県とかに設置されているんだと思いますが、信用保証協会という組織が、担保になる資産を持っていない人に対して「あなたが借金返せなかったら私が代わりに返しますね」と銀行と約束してくれるんです。めっちゃ、良い人たちですよね??

でも、お金かかります。保証料という形で、借り入れに対して数パーセント。保険のようなものだと思ってください。ちゃんと完済した人は丸々持っていかれてしまって「損じゃん」って思うけど、「返せない人」「資産のない人」にとってはありがたい存在です。

※参考までに…今回コロナ融資で僕が銀行から1000万円借入したさいの保証料ですが、40万円超です。このお金は融資額からそのまま差し引かれます。全体の借入金額の実に5%!高いと思うか安いと思うかはご判断ください。

銀行員は、自分の独断で「この人めっちゃやる気あるから、金貸しても絶対成功する。逃げたりもしない!」とかって融資を断行するみたいなことができる匙加減は少ないです。支店長とか偉い人になったら、ある程度の枠を持っていたりするみたいですけど。

そうして、銀行員は保証協会に裏付けをしてもらってお金を貸すわけですよね。返せなくなったりしたら大変ですもんね。

保証協会の方でも誰でも肩代りするわけにいかないので審査があります。この審査は通常、銀行の融資窓口の人が代行して保証協会の人に事業プランとか、借りたい人の信用担保を説明してくれる流れになります。

いよいよ事業計画

事業計画つくるときに、考えなきゃいけない事は最低三つ。

・売上

・固定費

・返済

 売上の考え方

売上に関しては、独立しようって人はワクワクしながら計画立てると思います。せっかく事業計画立てるんだから、売上がどんどん上がって「会社員の時よりも収入増えちゃって楽しいな」って思いながら「あー自分は事業の天才だ!」って計画を立てると思います。

その時に、上・中・下で計画を立てるようにしてみましょう。

1.全てが最高に重なった時のライン

2.まぁ妥当だよねってライン

3.う~んここまで悪くなることはないよね、どんなに最悪でもってライン

その上で3番目でも立ち行く事業を計画できたら最高です。最悪2番目でもそれなりに計画が成り立つ、例えば1年位で事業として採算の目途が立つような事業を計画しましょう。

独立しようって時は、「自分もやる気があるし、みんな協力してくれる。きっとうまくいく。あとはやってみるだけ。その時になったら考えながら色々やっていこう」とか考えがちです。実際よく耳にします。

あとは、自分の事業が「誰もまだやったこのない未知の事業だ!」とか考えて誰にも自分の計画を明かさない(真似されたら困る)ってパターンも要注意。人の意見を聞いてどんどん計画を練り直すくらいじゃないとすぐにコケちゃいます。世の中には使い古されたアイディアが山のようにあって、自分が考えつくようなものは世界のどこかで誰かが既に始めています。なるべく人に意見を求めて協力してくれる体制を整えた方が事業はうまくいくと思います。

もし、あなたが世界を変えるような発明を計画しているんだったら…この意見は参考にしなくってもいいと思います。

そもそも、独立しようって人が弱気なのは考えものですが…

基本的に良い方向に考えがちなので、うまくいく事しか考えないのです。僕も経験したのですが、独立する時に「協力するよ」って言ってくれる人の多くは、ほぼ全員が思っているよりも協力してくれないです。

これは、自分の期待値と周囲の人の「これくらい協力したら良いでしょ」って感覚のズレがあるから生じるんだと思います。万が一…たくさん協力してくれたらラッキーだというくらいの感じでいた方が精神衛生上も良いと思います。

 固定費の考え方

固定費には、何が含まれるのかは以前にも書いているので以下を参照してください。

固定費はなるべく小さく。カフェとかを始めようと考える人の多くが「素敵なお店を作って」とか「自分だけの城を」とか考えてしまいます。でも、最初スタートアップの時に事務所とか実店舗って本当に必要なのかな?と考え直すしてみるのもアリだと思います。

最初から固定費とか借り入れを作ってしまうことで、創業間もない、売上もほぼ立っていない時に返済とか固定費とかで生活を圧迫するのは避けた方が良いと思います。

カフェを持ったときにかかる最初の経費とかの試算については、こちらの「副業支援。おじさん珈琲初級講座」の時の記事をご覧ください。

 ・小さく生んで大きく育てる

小さなカフェの開業でも結構なお金がかかります(中古品を買うとか、自分でやるとかして初動コストは抑えるようにしてみてください)。ステレオタイプに事業を開始しようとするとサラリーマンが10年間、爪に火を点す気持ちで貯めた貯金を一気に使い果たします。

※ちなみに、僕の小さな会社ですら毎月支払うコストは300万円を超えます

ですから、最初に起業するタイミングで城を持つのではなく、どこかの軒先を借りてファン作りをするくらいのところから始めてみるのも良いと思うのです。営業関係の仕事の場合は、友人の会社の片隅とか、カフェの特定の席を月額で利用させてもらうとか…

「始めていたらイメージと違うと感じた」ってのはよくある事。カフェの場合は、場所を持つと固定コストだけでなく、時間も拘束されます。

今まで自由にいろいろなところに行っていた人が開店している間は動けなくなります。一人で営業しているとトイレの時間すら自由にならないのです。人を雇った場合のシュミュレーションは、「おじさん珈琲」の記事を参照してみてください。

何度も書きますが…最初の借金は少なく。固定費はなるべくかからないように起業するのがおすすめです。撤退の時を考えるのも起業家の大切な資質ですからね。撤退コストの方が始める時よりもかかる事って往々にして多いです。

 返済の考え方

今まで借金したことのない人が、借金して事業を始めるときに忘れがちなのが借り入れの返済コスト。これは僕もしばらくの間、痛い目をみました…無借金で始めた事業だったのですが、リーマンショックの時に6000万円借金したんです。

リーマンショック当時、売上1億円近くあった求人広告事業で13人雇用していたので必死で資金繰りしました。13人は次々に辞めていって、結局その当時の人は一人も残っていないんですけどね…その給料の支払いを経営者の「義務」と感じて借金したんです。その支払いは、借り換え…借り換え…また借り換えという形で今も残っています…

だから、強く伝えたい。

借金はなるべくしない方が良いと思います。レバレッジを利かせて上場を目指す事業をやるというのでなければ、最初は身の丈の起業ができる大きさを試行錯誤して考えた方が良いと思います。今はたくさんそういう方法があると思います。

どうしても借金して事業をする場合…忘れてほしくないのは。

借金の返済は、利益の中からするものだという事。

利益というのは、売上から経費を差し引いたものですが、ここに法人税や所得税がかかります。そのほかに消費税も。利益の中から税金を払って、そのうえで借金の返済をするのです。この順番を間違えたりすると大変!毎月の返済は何とかなるんですが、消費税は半年に1回とかの支払いにすることが多いので、忘れてしまいます。手元にお金があると使ってしまうんです…

(この消費税を忘れてしまって資金繰りが立ち行かなくなる会社って多いのです。その場合は、この消費税の支払いで借金の借り換えをして「自転車操業」という形の経営に突入します)

借金については、知りたいという人がコメントくれれば別の機会にもう少し詳しく書きますね。

売上ー固定費=利益と考えがちですが、自分の給料についても計画に盛り込みましょう。

代表者の給与の考え方

まず、ご自分の生存コストって考えたことありますか??生存コストについては、以下の記事を参照ください。

自分が「生きる」事に必要なコストを把握する事が必要だと思います。そのうえで、事業計画には「生活コスト」の部分を盛り込みましょう。我慢して我慢して、貧乏生活をして事業を継続する人が多いですが…それはお客さんとってもあなたにとっても、周りにとっても不幸です。あなたが頑張って踏ん張っていても、みんなだんだん離れていきます。

貧乏そうな人には近づきたくない人って多いですよね。残念なことに。

そして、貧乏している時は心も寂れてしまいがちです…

生活コストが十分に賄えるくらいの金額を先の上中下の2番目くらいでちゃんと出せる計画を練りましょう。2番目のパターンでも生活コストも返済をきちんとできるためには固定コストを削る事が大切。

家賃や給与などは、これでもかってくらいに見直してみてください。

運転資金

運転資金って言葉を耳にしませんか?

これは、自分の事業が軌道になるまでの間どのくらいお金が必要なのか?とか、毎月の経費、固定費や変動費(仕入れとか諸々※変動費についても要望あれば書きます)含めたコストを総称して運営に必要なお金のことを指します。

大抵の会社では、1ヶ月分の運転資金くらいをもっているのがいいところ。3か月分以上持っている会社はなかなかないです。今回コロナで「運転資金が尽きて…」って話を聞くと思いますが、町場にある普通の会社や商店では2か月くらい仕事を止めたら大抵事業が立ち行かなくなります。

起業当初は、すぐに現金化できる事業を立ち上げることが多いと思いますがその場合でも、当初3か月分くらいの運転資金(自分の給料含めて)を自己資金で持っておくくらいの余裕があると良いなと思います。

事業が1年以上継続出来て、法人だったら決算、個人だったら申告が終わったら一気に借入しやすくなります。運転資金として借りる場合は、月の経費の2~3か月分くらいしか借りられないのでその範囲の中で新規事業を立ち上げして最初の事業を大きくしながら次の事業を育てていく感じです。

「がんばる」はダメ

最後に…これから起業する人とかそれを考えている人と話をすると「まだ〇〇だけど頑張って何とかします」というのを聞きますが、基本的には起業する人とかって最初から頑張っているんです。そして、本当にやらなきゃいけないタイミングでは頑張るんです。必然的に。

なので、その「がんばる」を事業計画の中に盛り込んでしまうと達成率が厳しくなる感じを受けます。

そもそも、ある程度計画しているものがその通りに進めばいいわけで、計画段階でそこそこイケてる事業だったら頑張る余地はそこまでないんです。通常、「がんばる」時って時間を長く働いたり、お願い営業したりすることが多くなってしまって、非効率な仕事になるんだと思うんです。

まず、事業をはじめる時はその事業が達成可能な事業計画を立てておき、その進捗を計画と照らし合わせて管理する指標くらいに見ておいたほうが精神衛生上良いと思うんです。

どの部分が計画と違ったのか?その部分を見直しながら計画の甘い部分を修正していく。現実と照らし合わせて違和感のある部分は徐々に最適化していって事業を進めていくとかなり経営しやすいと思います。

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