見出し画像

自然災害が頻発する時代において、押さえておいた方がいい宅建士の知識について(建築基準法関係)

この記事は、こちらのブログの記事の続きとなります。


上記の記事では、宅建士として、次の項目(建築基準法関係規定)について最低限押さえておくべきだと説明しました。

①地区計画(建築基準法に基づく条例化されているもの)
②建築協定
③用途地域
④道路
⑤接道

上記の①から⑤は最低限押さえておくべき項目として必須の知識と考えることができますが、これからの時代においては、上記の知識にあわせて必要となる知識がもう一つあります。


それが、次項から説明する建築物の安全対策に関する規定です。


普段から防災という面で勉強されている方であれば読む必要はない記事ですが、少しでも防災に関する知識を得たいと考えている方はぜひ読んでみてください。

昼ご飯を購入する料金と時間で、コンサルを受けれられると考えてもらえれば安いと思うはず?なので。きっと、あなたの宅建士業務の役に立つはずです。


1. 建築物の安全対策

『建築物の災害対策』に関する知識ですが、大きい括りとしては、建築基準法第19条において規定されています。

また、より具体的な災害対策関係が規定されている法令ですと、法第39条の災害危険区域、法第20条ー令第80条の3の土砂災害特別警戒区域内における居室の構造方法を定めている政令が対象と考えられます。


まず、その建築基準法第19条ですが、次のように規定されています。
[衛生に関する部分を除いて読んでください。]

建築基準法第19条敷地の衛生及び安全)]
建築物の敷地は、これに接する道の境より高くなければならず、建築物の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くなければならない。ただし、敷地内の排水に支障がない場合又は建築物の用途により防湿の必要がない場合においては、この限りでない。
2 湿潤な土地、出水のおそれの多い土地又はごみその他これに類する物で埋め立てられた土地に建築物を建築する場合においては、盛土、地盤の改良その他衛生上又は安全上必要な措置を講じなければならない。
3 建築物の敷地には、雨水及び汚水を排出し、又は処理するための適当な下水管、下水溝又はためますその他これらに類する施設をしなければならない。
4 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。

この法令だけでは、具体的な数値が規定されていないため、どのような対策をとるかは明確化されていません。かなり抽象的ですよね。

この規定ですが、敷地の安全対策を取りなさいとするもので、出水する地域については、敷地の盛土等を行うこと、又、崖崩れの恐れがある地域では、擁壁などの設置により安全対策を取るよう記載されています。


これを踏まえ、多くの自治体では、『崖条例』や『崖規則』といって建築物の敷地の安全対策として、崖の定義や盛土・切土に応じた対策等を規定しています。


通常は、2mを超える崖がある場合、擁壁の設置や法面の安定計算により安全性の確認などの対策等を行うことが求められます。

この対策を行わない場合、崖から建築物までの距離を崖の2倍以上離すか、法面が崩壊しても建築物に影響を与えにくいと考えられる30度以深に基礎底部を設置する方法等があります(下図参照)

崖条例

この対策については、特定行政庁(役所)によって取り扱いが異なるので、事前確認が必要となりますが、擁壁の場合、建築物と異なり工作物となるためか、建築確認申請を行っていなかったり、完了検査も受けていない例が本当に多いのです。

そのため、既存擁壁がある場合、安全性が担保されるというのは奇跡に近いくらいだと考えて良いと思います。(ちなみに、開発行為による擁壁の場合には、安全性が担保されている可能性が高いです。)


そのため、盛土・切土があるか、または、敷地に接する土地の取引の際には、建築するにあたりどのような制限があるか予め確認しておくことがとても重要です。

場合によっては、対策工事に要する費用を事前に差し引いて取引きすることも考えられます。


あわせて、崖下建築の場合には、土砂災害特別警戒区域のエリアに入っていないか(今後、指定される予定はないか)確認しましょう。

ここから先は

1,965字 / 1画像
この記事のみ ¥ 500

わたしの記事を読んで役に立った!と言う方はサポートください٩( 'ω' )و頂いたサポートは書籍購入にあてて次の記事に役立てたいと思います。