起業×エフェクチュエーション×M&A
優れた起業家には、共通する思考プロセスがある。
この思考プロセスを明らかにしたものがサラス・サラスバシー教授の
エフェクチュエーション理論だ。
またこれとは別に、最近はある本の影響からか、サラリーマンがM&Aで会社を買って独立開業するというニーズが出てきている。
今回はM&Aを使った独立開業について、エフェクチュエーションの観点から留意点を挙げようと思う。
エフェクチュエーションは4つの原則と1つの世界観から構成されている。この原則のうちの2つについて今回は見て行きたい。
①「手中の鳥の原則」
自分が今持っているスキルや能力、人脈などを利用することで新しいものを創り出すという原則。
例えばスターバックスは町の焙煎豆の販売業者がプレミアムコーヒーのチェーン店を作るというブランディングに成功した企業だ。コーラなどのソフトドリンクに取って替わられコーヒーが安売りをしていた時代に、美味しいコーヒーをどうやって楽しんでもらえるかという事を試行錯誤した結果、プレミアムコーヒーチェーンという新しい市場を作り出したのである。
とはいえ、スタート地点が焙煎豆の販売業者であり、ビジネスのシーズ(種)は既に存在していた。
このビジネスのシーズ(種)を外から買ってくる方法としてM&Aが利用できる。
開業したものの生き残れる企業はごくわずかと言われ、その多くがスタートアップでつまずいている。
利益を得る仕組が整った企業をM&Aを利用して買ってくることには、初期のつまづきを回避し、次のステップに早く進むことが出来るというメリットがある。
②「許容可能な損失の原則」
どこまで損失を許容する気があるか、あらかじめコミットしておく原則。
私個人はM&Aを使って独立開業する場合はこの原則が一番大切だと考えている。
サラリーマンであれば
・今までの貯金+退職金という手元資金だけで始める場合。
・創業融資などの借入資金も加えて始める場合。
といったリスクの採り方が考えられるが、
エフェクチュエーションでは優れた起業家は致命傷を負わない程度にリスクを小さく抑えているとされている。そのかわり、小さな失敗を繰り返して成功に結びつけていくのだ。
1回1回、一世一代の大勝負をしてはならないのである。
従って、手元資金だけで、しかも失敗したところでやり直しができる規模の企業を買う必要がある。
また、企業をM&Aで買う時は買収価格だけでなく、営業していくための運転資金、さらに成長させていくための研究開発や追加投資などが必要となることを忘れてはならない。
M&Aで独立開業を考えている皆様は上記2点に留意したうえでM&Aの検討を進めてほしい。
最後に、今回紹介したエフェクチュエーションは、訳者の1人である京都大学の高瀬先生からその存在を教えて頂き、もう1人の訳者である立命館大学の吉田先生ともお話しさせて頂いた。
今回紹介した2つの原則の他にもエフェクチュエーションには起業家が覚えておくべき大切な原則や世界観がある。
要点を分かりやすく知りたい方は吉田先生が解説されているサイトを、
https://www.mana-biz.net/2018/01/post-275.php
もっと深く知りたくなった方はサラス・サラスバシー先生の訳書を読んでみて欲しい。
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M&Aのご相談は山川会計事務所 グローアルM&Aコンサルティングへ
公認会計士 山川 賢記
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