数値は使うもの、数値に使われるな。

今から会計士としてはちょっと変なことを言いますね。

中小企業では、どんぶり勘定であったり、部門別会計が導入されていないなど、会社の状況が適切に数値として把握されていない会社が多々あります。
人と違って会社は頭が痛いやお腹が痛いなど教えてくれず、資金ショートするといきなり倒産してしまいます。
会計数値や適切な管理指標を見れるようにしておくことはとても大切です。

そんな便利な数値ですが、数値を使う際に陥る罠があります。

予算や経営計画を立て、目標を達成するためのPDCAを回しましょうと言う話は聞かれたことがあると思います。

これ、短期的には成功します。
しかし2年3年と続けるうちに結構な数のメンバーが疲弊し、離職率が高くなっていく傾向が見られます。

なぜか?

それは数値のみが目標かつ目的となってしまっているからです。
人が数値を使いこなしているのではなく、数値に使われてしまっている状態。
これがメンタルを疲弊させます。

予算や経営計画、そしてPDCAが悪いわけではない。
予算や経営計画は過去の自社の数値から、こうなった場合はこうなる。というシミュレーションを行うためにはとても有効なツールとなります。
そしてPDCAも行動を計画し、予定された行動を管理するのにはとても有効なツールです。

だか使い方を間違う事が多い。

予算や経営計画で出てきた数値、これを絶対達成しなくてはいけないものとして詰める・やらせる・やらされる。
多くの人がこの仕組みに疲れてきている。
これは会社のメンバーだけではなく、経営者であっても金融機関や株主から要求されることが多いと思います。実はみんな辛いんです。あなたの上司も社長も。

数値は現状を把握するためのツールでしかないにも関わらず、その範疇を超えてすぐに権力をもってしまう刃物のようなツールです。
刃物はすごく効率的に素材を捌き料理できるようになるが、使い方を誤れば自分も他人も傷つけてしまうこともある。数値も同じ。

ではどう使うのが正しいのか?

数値を目標かつ目的とすることではない。
OKRでいえばObjective
ティール組織で言えば存在目的

何のためにこの組織は存在しているのか?

という事が最も大切で、数値はそのために使うツールに過ぎません。
目的があって、そのための目標でしかない。それを忘れてはいけない。

人は、自分で立てた目標についてはモチベーション高く意欲的に取り組むことができる。しかし、他者から与えられた(強制された)目標についてはモチベーションがわかず、ただ目の前の作業をこなすだけになります。結果として生産性も落ちてしまう。

ここで1つ例を挙げます。
例えば、筋トレが趣味の人は、何kgを何回・何セットやると言うの嬉々としてやっています。より筋肉が辛いと感じる方法で。

他方、部活などで強制的にノルマを決められ、それを黙々とこなす場合は早く終わりたい。しんどい。となってしまう。この時はノルマを1回でも早く、そして楽に終わらせようとします。

パワフルな筋肉を作りたい、美しい筋肉を作りたいと言う目的がある方が結果もモチベーションも雲泥の差が出ます。


そして、うちはメンバーからボトムアップで数値が上がってくる仕組みになってるよという方、
意図した数値目標を上げてくるように誘導していませんか?
メンバーが納得する事なく、さもメンバーが自ら目標を掲げたように誘導(無言の圧も含む)もしくは忖度させ、お前が立てた目標だろうと詰める。
これをやるくらいならまだ最初からトップダウンのノルマを与えた方がマシです。いずれにせよ幸せにならない方法ですが。

数値は使うもの、数値に使われるな。
数値はすぐに人を支配しようとします。

これを常に意識した上で数値をご活用ください。

素晴らしい効果が期待できるはずです。

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