ギリギリなおっさん

(2009年04月16日の日記より)

一昨日、電車に乗ってると、

歳は50代後半くらいで、

赤いチェックのちゃんちゃんこに、

ジャージのパンツをはいた、顔はどことなく中井喜一さんに似た、

一見変わった雰囲気のおっさんが僕の前に座った。

とは言っても、この程度の変わった人は、

別に珍しくもないので観察する気にもならなかったが、

やたらと体勢を変えたりカバンの中を探ったりとにかく動く。

そのうちカバンから缶コーヒーを取り出し、それを飲み始めた。

2度ほど飲み込んだら、缶コーヒーを脇に挟み、 

またカバンの中をさぐる。(※のどの動きから回数を割り出してます)

脇に挟んでるから缶コーヒーが少し傾いている。

その上カバンを探るから脇が動き、缶コーヒーも結構揺れる。

2度ほどしか飲み込んでないから、まだほとんど中身は残っているはず。

「あ~、こぼれるこぼれる!」って思っていたその時、

おっさんが前かがみになって自分の足元を見始めた。

やたら自分の靴を見ている。(※普通の履きなれたスニーカー)

もちろん缶コーヒーは傾く。しかも飲み口が下側になって傾く。 

「あ~っ、ホントこぼれる!」って思うほど傾くが何故かこぼれない。

で、また元の体勢にもどるとコーヒーを1度飲み込む。

そして今度は自分の横のシート上に缶コーヒーを置き、

またカバンの中をさぐり何やらメモ帳を見始める。

その間、缶コーヒーは比較的柔らかいシートの上で、

電車がゆられる度に不安定な感じで揺れている。

メモ帳を見ながらおっさんがまた缶コーヒーを手に取った瞬間、

電車が減速して、ちょっと大きめの振動。

ナイスタイミングだ。

その後、おっさんはずっとぼくを見ながら

ゆっくりと3回コーヒーを飲む。

ぼくは目をそらす・・・。

しばらくしておっさんにメールが入ったらしく

缶コーヒーをまた横に置いてメールを読み始めた。

その間も缶コーヒーは結構揺れて、

周りの人たちも気になっている様子。

その内、電車はある駅にとまる。

おっさんはメールの返事を打っている。っとその時、

おっさんは「あっ!」という感じで立ち上がり、電車を一旦降りるが

缶コーヒーをシートに置きっ放しにしてたことに気が付き、

急いで缶コーヒーを取りに戻る。

その時、発車の笛がなり扉がしまり始め、

おっさんは軽く扉に挟まれるものの、難なくすり抜けて出て行った。

出て行くときも、缶コーヒーはかなり傾けられていたが

不思議なことにこぼれなかった。 


とにかく何かとギリギリだったおっさん。

よくみると扉の手前に2滴ほどコーヒーがこぼれていた。

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