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降り落ちる雨は、黄金色#24

前回までのお話↓↓↓

 津田からのメールが突然きた。

 私は返事がもらえると思わなかったので、動揺した。スマホを見ると簡潔な文で「津田です」と書いてあった。私は津田からのメールをすぐに返信した。「ありがとうございます。連絡うれしいです」私は素直に感謝の気持ちを述べた。

 彼は現在新作の執筆をして忙しいが、私の作品を読んでくれると返事をくれた。まさか、あのプロの小説家が読んでくれるとは夢にも思わなかった。私は踊りだしたい気持ちを抑えて、机に座った。しかし、何も書けない。

 気晴らしにテレビを見ていると、桃太郎のCMがやっていた。私は急にインスピレーションが沸いたので、桃太郎について検索していた。

 桃太郎は村に悪さをする鬼を退治する為に、お婆さんからきび団子を渡され、たった一人で旅に出たとある。可愛そうだ。村に悪さをする鬼を一人で退治するなんて無謀だ。これでは、遠まわしに死ねと言ってる様なものではないか。

 村の為を思うなら、村人全員で鬼が島に殴り込めばいいのに。それとも、桃太郎は村にとって厄介者だったのだろうか?それだとしたら、辻褄があう。桃太郎はその後に、猿や犬や雉を仲間にして鬼を倒し金銀の財宝を手にして村に帰る。 めでたし、めでたし。全然納得がいかない。 それに、鬼を退治する位の力があったら、村人達から恐れられるだろう。

 なぜなら、特別な力を持つ人間は周囲から孤立するからだ。桃太郎は鬼退治の後は幸せになれたのかな。それとも、周りの村人に疎まれていたのか。そんなことを考えたら、自然と涙がでてきた。よし、この悲しみを小説にしよう。私は机に向かいこんな話を書いた。

 鬼退治をし、桃太郎の力を恐れた村人達は桃太郎を村から遠ざける為に、別の村でも鬼 が暴れていると嘘をつき桃太郎を村から離れさせました。桃太郎の持ち帰った金銀財宝で、お爺さんお婆さんの暮らしはとても裕福になりました。

別の村に到着した桃太郎一向を待ち受けていたのは、巨大な大蛇でした。大蛇は村の作物を荒らし村人を食べていたのです。桃太郎一向は巨大な大蛇を激闘の末、倒す事に成功しました。

それを見た村人達はたいそう感心し、桃太郎にこの村に住んで欲しいと頼みました。
 桃太郎は、私には帰る村があると言おうとしましたが、お供の者達は口を揃えてこう言いました。

「また村に帰っても戦いの日々ですぜ」

戦いの日々に疲れた桃太郎はよく考えた末、この村に残ることを決意しました。こうして、犬、猿、雉と一緒に毎日仲良く、幸せに暮らしました。

つづく、、

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